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妬み
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「着替え終わって、累くん探しに来たら、こんな普段使わないとこから話し声が聞こえるから、まさかと思ったけど。ほんとどうなってんのこの学校」
ルリ君は臆する様子はなく、怖い表情のまま部屋に入ってきた。
「手、離せよ」
普段の暖かいルリ君からは想像もつかない冷たい声。
「お前、鍵閉めなかったのかよ」
「あー、わるい。お前が閉めたと思ってた」
へらへらと四人が小突き合っている。
だめだよ、ルリ君、逃げて。
こいつらは悪魔だ。
そう言いたいのに、呼吸が苦しくて、声がでない。
「あー、人呼ぼうと思っても無駄だよ?もうほとんどの部活も終わって、校内には誰も残ってないし」
「……………」
ルリ君はその言葉を無視して、つかつかと僕のところに来て、僕の肩をだいた。
「る、………っは……っはぁ……だめ………はぁっ………に、げ………っ」
「累君、大丈夫だから落ち着いて」
そして、こんな状況だというのに穏やかに微笑んだ。
そのまま次の瞬間には僕をドアの方に思い切り押し出した。
咄嗟のことで、ドア側に立っていた二人を後ろに倒れこむ。
ビックリして見上げると、他の四人も驚いたように固まっていた。
「オレ、喧嘩強いから大丈夫。逃げて」
言葉と同時にルリ君は二人の横顔に回し蹴りをした。
突然のことに動けない四人から僕を庇うように立ち、ドアから僕をさらに押し出した。
「る………っ」
勢いよくドアを閉められ、鍵をかけられる。
きっと鍵をかけたのはルリ君。
「はやく、にげて!」
その声に、僕はたまらずその場から駆け出してしまった。
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