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小さな体
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出来ていたお粥を少し器によそうとレンジにいれた。
IHで鍋ごと温めてもよかったけど、たぶんあいつそんなに量は食えねぇだろうし。
普段から食は細いし、昼飯と言えば、見かけるときほとんどが栄養ゼリーか、カロリーメイトだ。
食べるのがめんどくさいとか、胃もたれしやすいからとか、言っていた気がする。
チン、とレンジがなり、中身を取り出した。
俺の食べる量のおよそ半分。
俺も、男にしてはそんなに食べる方じゃないけど、たったこれだけの量ですら、あいつは食べきるか怪しいと思う。
今日は薬も飲ませてるし、食べれるだけでも頑張ってもらおうと、お盆に乗せて寝室に向かった。
「あ、持ってきてくれたの?オレ、イスに座って食べれるよー?」
お粥が出来たら、呼ばれると思っていたのだろう、アンジェリーはベットの掛け布団を綺麗に畳んで枕カバーを取ろうとしていた。
「お前さぁ、寝てろって何回言えばわかんだよ。英語で言わねぇとわかんねぇの?」
小さな鼻をぎゅっと摘まむと、「う」と間抜けな声を漏らす。
それから、また困ったように笑った。
「いや、でも………風邪引いたとき、どうしてもらうのが普通か、わかんなくてー」
「あほか。風邪の時なんて、食って薬のんで寝る以外なにもしなくていんだよ」
わしゃわしゃと頭を撫でると、さらさらと細い髪の触り心地がいい。結構こいつの頭撫でるの好きかも。
「えへへ」
すりっと撫でていた手にアンジェリーが自分から擦り寄ってきて頬を染めて笑う。
「せんせーの手、すき。きもちいー」
そーゆーこと言われると、やりづらいんだけど。
「ほら。温めてきたから、さっさと食って寝ろ」
「はーい」
ぱっと手を離すと、アンジェリーは素直に頷き俺が片手に持っていたお粥を両手で受け取って、ベットサイドにあったイスに躊躇いがちにちょこんと座った。
「えと、いただきます」
「はい、どーぞ」
両手できちんと手を合わせ、スプーンで少量をすくって、少し息を吹いて冷ますと口に運んでいた。
お粥なんて、誰が作っても味は変わらない。
そもそも、薬で胃が荒れないための言わばオブラートのようなもののつもりで作ったお粥なのに、アンジェリーは嬉しそうに笑う。
「食べやすくて、おいしいー」
「ああ、そう」
短く返事を返し、タバコに火をつける。
食欲はなくはないようだ、と内心少し安心した。
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