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幼馴染みの変化
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「転校生なんて別にルリが初めてじゃない。ルリだけが特別扱いされてるよ」
愚痴を溢すように言うと、ルリは困ったように笑って俺の前で屈んだ。
「ゆーいちの気持ち気付かなくて、オレかなり無神経だったね。ごめんね」
「お前が謝んな。俺がおかしいんだし」
俺は、本当は気付いてる。
ルリも俺と同じで月城先生に恋してることを。
だって、月城先生の車の助手席で頭を撫でられていたとき、顔を赤くてはにかむように笑うルリの顔は今まで見た顔の中で一番かわいかったし、一番嫌いな顔だった。
「………わかった。保健室に行くのは控えるよ。授業サボるときは屋上にいるから迎えに来てね」
そして、俺がこういったらルリが素直に俺の気持ちを優先するのだって、俺はわかってる。
「ははっ。サボるのはやめねーのかよ」
「当たり前じゃん。昼間寝なきゃオレ睡眠不足で死んじゃうってのー」
「バイトは最近どうなんだよ?もうなれた?」
「そうだねー。みんな優しいし楽しいよ」
自分の都合のいいことだけを押し付けて話題を変えるずるい俺に合わせて笑うルリに後ろめたさを感じながらもほっと胸を撫で下ろした。
それから、二時間くらいしてルリは今日もバイトらしく我が家を後にした。
なに食わぬ顔でいつも通りの笑顔を浮かべて手をふるルリに、俺も笑顔をつくって手を降った。
また少し、胸が痛んだ気がした。
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