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エゴイズム 7
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「何してんの、お前ら」
低い声に振り向くと、手にごみ袋を持った光邦が顔を顰めて立っていた。
ここは店の裏口からごみ捨て場に繋がる裏の細道で、たしかにそろそろ瓶のゴミがいっぱいになる頃だった。
「……倒れてるの、ルリ?」
ルリは、地面に叩き付けられた時に頭をぶつけてしまったのか、手で押さえる左の額からは血が滲んでいた。
「オレは大丈夫」
頭をぶつけたせいで目が回っているのか、片目をつぶって立ち上がらずに上体だけ起こし、片手を上げる。
最悪な状況だった。
「みつく───」
光邦を止めようとしたけれど、もう遅く孝一が殴り飛ばされルリが殴られた時とは比じゃない音が響いた。
光邦だって、細身なのにどこにこんな力があるんだろうって思うくらい昔から喧嘩が強かった。
孝一はガリガリだし、力の差は歴然。
倒れた孝一の胸ぐらを掴みあげ、そのまま二、三発拳を叩き付けた。
「光邦!!やめろって!!!」
「………お前は一応、暁の彼氏だからこれくらいにしといてやる。
さっさと消えろ」
「うぐ……っ」
孝一は一度俺を見て、また泣きそうな表情を見せた。
「孝一、俺はルリとルリのお連れさんに謝ってから帰るから」
「………あきら………」
「ちゃんと孝一のところに帰るから、今はひとりで帰って」
まっすぐ見つめて言うと、孝一は力なく頷いて頼りない足取りで帰っていった。
一人にして大丈夫だろうかとも心配したけど、それよりも今はルリが心配だった。
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