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feb.5.2017 バレンタインミッション
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あったかいっていうのは最高に気持ちがいい。
同じ男だってこと最近まるで考えなくなった。俺にとってハルはハルっていう物体?それは失礼か・・・人間なわけで、男はもっと後ろにくっついて来る。ハルはハルである、しいていえば人間である。付け加えるとしたら男に分類される。そんな感じ。ムギュウと抱きしめると、さらに温かい。
むふふ。
ようやく普通の目覚めが戻ってきた。俺は旅行から戻った翌日から頭痛に悩まされた。頭痛持ちでも何でもないし、ひどい二日酔いの朝ならわかるが、これといって具合が悪いわけでもないのに頭痛。
たぶん環境の変化に気温の変化。気温差10度どころの騒ぎじゃなかったし。普段の3倍は歩いたのに全然疲労感がなかったのは、きっとアドレナリンとか幸福なんだかっていう物質が身体を巡っていたに違いない。頭痛はその反動で回復するための副作用みたいなものだ。
サトルでさえ「だるい」なんてボソっと言ったくらいだ。ついでに言うと「ダルいっていうより、こわい~~っていう疲労度かな。」なんてダルさ加減を教えてくれた。鉄仮面はいつものように鉄仮面なのでよくわからなかった。口数が少ないのもいつものことだし。
いずれにしても生活リズムが正常化するまで何となくピリっとしていないのは確か。定休日を迎えて「いつもの月曜日」をこなせば、きっと楽になるだろう。
トアだけは元気炸裂。こころなしかお肌もツルツルな気がする・・・温泉なだけに。
ハルがモゾモゾ動いて頭がこっちを向いた。
「おはようございます。」
「おはようさん。」
「頭は大丈夫ですか?」
・・・なんかね、お馬鹿さん正気ですか?って聞かれたみたいな気分になったよ。頭痛くないですか?頭痛はどうですか?
俺はそう言ってほしかった!
「うん、痛くない。もうバファリンは飲まない。なんかさ、鼻の奥が渇いて嫌な感じになるから。鎮痛剤って全部そうなのかな?」
「鼻の奥が渇く?僕は鼻炎カプセル飲んだらそうなりますけど、バファリンじゃならないな。」
「そうなの?フリスクを鼻の奥にガンガンつっこまれてヒヤ~~っと乾く感じ。」
「・・・いえ、僕のはそれと違います。」
どうやら俺達の感覚は違っているらしい。
「早くお箸届けばいいですね。」
「まだあの職人さん、木を削ってもいないと思うぞ?5月まで出来上がらないって言ってたし。」
「一日に何膳くらい作れるんでしょうね。」
「さあ~、聞けばよかったな。」
「お箸に夢中で忘れちゃいました。」
頭痛は朝食のせいかもしれない。
勢いのまま仕込みを済ませた後、皆で食事に行って話に花を咲かせた。サトルの話を聞くと三十三間堂は素敵なところらしいから行きたくなった。箸には皆食いついたが値段を言ったらびっくりされた。トアは「今度はもう少し高いものを選んでみます。」と言いながら箸置きに置かれている箸を眺めた。
プラスティックの黒い箸。SABUROでも使っている業務用のひと箱100膳入りの箸。あの職人さん「味が違いますから。」と言ったよな。俺はずっとそれが気になっていて、もう少し違う箸を使おうか検討中。お客さんにはより美味しく食べてほしい。
一番盛り上がったのはトアの温泉。照れるトアに全員がグイグイ食らいついたから、赤くなったり青くなったりしてたっけ。おまけにサトルが「シネマレストラン」のコメント欄でトア目撃情報を見つけたから、さらに大盛り上がりした。
『トアさん、洞爺にいました?お似合いのお二人で絵になっていましたよ!お幸せに!』『さりげなく赤がお揃でしたね!』という二件。
「これにも・・・レスしたほうがいいでしょうかね?」
涙目のトアに皆で笑いながら、もうすっかり有名人だな!とワイワイ。
長々と脱線しました、はい、ええとね、そんなこんなで帰宅したので、その日は何もできなかったのですよ。俺達の休みといえば常備菜作りですよね。これがまったくできなかったのです!
翌日は冷凍庫にあった五目御飯を解凍して味噌汁とだし巻きであわただしく済ませ早めに出勤。片手間に作っても美味しくできないし、集中しないで作ったあげくボケボケ味のキンピラ前科がある俺は宣言した。定休日がくるまでパンで朝ごはんにしよう!と。
いつもと違う休暇を過ごして、いつもと違う朝ごはんを食べる。
今週はなんとなく落ち着かない日の連続だった。それも今日で終わり!明日から通常に戻る。
「ミネさん、今日もバターだけですか?」
「バター以外に何つける?ジャムないし。」
「グラニュー糖かけたら美味しいですよ!」
「・・・いや、バターだけでいい。いっそのこと卵のっけて焼くか?」
「それなら目玉焼きを乗せたいです。」
「俺はスクランブルエッグがのっかってるほうがいい。ケチャップかける。」
「ケチャップか~。ギョニケチャトーストはどうかな。」
「魚肉ソーセージがないで~~す。」
ハルの髪をピンピンくりくりと遊びながらの会話。とても大人の議題ではない。おまけに甘ったるい朝にも程遠い。
「そういえば、ハル。まだ今月のパン買ってないだろ。」
「あ、本当だ!2月になったの忘れていました。なんだか定休日が来て一区切りしないと普通に戻れないですね。」
「ハルもか。」
「はい。今月のパンは絶対チョコものだと思います。」
「なんで?」
「なんでって2月はバレンタインじゃないですか。」
「・・・だった。なんだよ~またチョコのデザートとか、チョコのお返しデザートとか考える時期が来たってこと?」
ハルがブウと膨れる。わざとなんだけどね、これがかわいいのね(何度でも言いますよ、俺はしつこい男ですから)
「何を膨れてらっしゃる?」
「バレンタイン・・・なのに。」
「あ~ハルはサトルにクランキーだろ?」
「理さんは別枠です。」
「別枠ってことは本枠もあるの?」
ハルがもぞもぞと俺の腕の中に潜り込む。わかっているけどね、言わせたいっていう男心わかる?
「ミネさんしかいないでしょう、そんな枠。」
「それは嬉しい。」
「何か欲しいものありますか?」
「んんん・・・特にないかな。旅行とお箸で俺の物欲は満タンに満たされちゃっているしな。ハルは欲しいものあるの?高級チョコレートとか?」
「チョコレートはお客さんがくれます。」
「・・・ああ、そうでしたね。貰ったチョコ食べるもんな、ハル。」
「物に罪はありません。」
「いやまあ・・・そうだけど。」
本当にね、今欲しいものってないのよね。クリスマスが終わってすぐにバレンタイン、誕生日・・・世の中にはイベントが多い。皆さんその度にプレゼント交換しているのだろうか。
「あ~じゃあさ、ハル。怖すぎて発注しないままのワイン覚えている?」
「ああ、チョコレートフレイバーのワインでしたっけ。」
「チョコレート梅酒、チョコレートビールでもいいけど。」
「・・・なんだかバツゲームみたいなラインナップですね。」
「よし、決めた。俺達のバレンタインデーのテーマは「チャレンジ」だ。」
「チャレンジですか?」
俺はまたもやハルの髪で遊び中。くりくり、もしゃもしゃ、ワシャワシャ。
「この世の中にある「チョコレート味」に果敢に挑む日としよう。世の中甘ったるい日だと思っているようだが、食品知識の幅を広げる勉強の日とする。ハルはチョコワインを入手。俺はチョコビールにする。そしてバレンタインデーの夜、それを飲む。来年はまた考えよう、絶対色々あるから。
「そういえば、チョコレート味の歯磨き粉があったような・・・」
「うわ~それなんだか虫歯製造歯磨き粉みたいだな。ってことは食品以外にもチョコ製品は沢山あるってことだな。」
「そうなります。」
「じゃあ、俺達のバレンタインはずっと安泰だ。いろんなチョコを試そう、毎年一つずつ。」
「面白いかも。」
「俺達ぐらいじゃないか?こんなバレンタインするの。」
「いいと思います!」
モゾモゾしているハルをギュウギュウ抱きしめて、よし今日も頑張ろうと思う。
温かいのは気持ちがいい!そして元気とヤル気が湧き上がる!
一応お断りしておきますが、今日も一日頑張ろうというヤル気です。
(別な方は・・・見て見ないふりをしてやりすごす、これに限ります。)
さてさて、チョコレートビール、さっそく今日買いに行くか!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
疲れてだるい、具合が悪い。これを北海道では「こわい」といいます。恐ろしいと同じ「こわい」
方言って、標準語よりも症状が重い、そんな風に感じるのは私だけかな。
「男前とヤサ男」と「水曜どうでしょう」を押さえておけば、北海道弁の学習はバッチリです!
(なんのタシにもまりませんがww)
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