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feb.13.2017 SABUROのバレンタインは一日早いのです/トアと坂口さん 1
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「おはようございます。」
「朝はあっという間にきちゃいますね。」
私はなんだかおかしくなってクスクス笑ってしまった。
「なにか、おかしいことでも?」
「なんだか、月曜日はトアさんがコーヒーいれる決まりになっちゃったみたい。日曜日が終わるとトアさんの所に来ていますよね、私。考えてみたらトアさんがお店終わってからまっすぐ私の所にきたほうが面倒がないのに。」
トアさんはフワっと私を抱きしめた。
「そんなことありませんよ、日曜日が終わって「明日は休みだ~」って寝るだけだったのに、坂口さんが来てくれて、僕の休みが少しだけ早く始まるような嬉しさがあります。」
「そうですか。でも来週は私の所に来てください。美味しいコーヒー豆買ったんですよ。」
トアさんはニッコリ笑って「喜んで。」と言った。
眼鏡の向こうから見える優しい瞳も好きだけれど、こうしてまっすぐ私を見てくれる笑顔もいい。
眼鏡をかけていないトアさんの顔・・・それが見られる時間が私は好きだ。
「トアさん、一日早いバレンタインしましょうか。」
「明日ですね・・・バレンタイン。」
「お客さんに沢山もらうんですね、チョコレート。」
困ったような顔。それって沢山もらいますって言っているのと同じですよ、トアさん。
「全部翔にあげるので僕は食べませんよ。」
「ほんとに?」
「ホントです!それに3/14は女性のお客様全員に小さなデザートをお出しします。お店からのお礼ということで。」
「あら、じゃあ、チョコレートをスタッフさんにあげていなくても貰えちゃうの?」
「そういうことになりますね。スタッフとして貰っていますし、本当です。手紙が入っていたなんて事は一度もありませんでしたよ。」
「ほんとに?」
「ああ・・・ええと、教えてくれた映画面白かったです。くらいはありますが、それだけです!」
「ふ~ん。」
「あ、なんですか、ふ~んって!わかりました、今日バレンタインしましょう!僕がちゃんと坂口さんしか見ていないということを証明します。」
私はまたおかしくなってクスクス笑ってしまった。
「・・・僕、変なこと言いました?」
「変なことというか・・・坂口さんしか見ていないって、強烈な告白だなって。」
トアさんの顔がボンと赤くなった。
「あわわわ・・・いやその・・・それは。」
「ほんとに?」
「なにがです?」
「私しか見ていないって。」
トアさんの表情が真剣なものに変わる。そしてやっぱり優しく抱きしめてくれたあと耳元で言ってくれた。
「はい、そうです。坂口さんだけです。」
こうしてわたし達の一日早いバレンタインデーが始まった。
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