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feb.13.2017 SABUROのバレンタインは一日早いのです/衛と理 1
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煮込みは骨付き肉に限る。
鶏もも肉は夜のうちにハーブとオリーブオイルとガーリックでマリネにしてある。レッグ状態もいいが今回はぶつ切にすることにした。鶏肉がギリギリ被るくらいの水をいれ圧力鍋で5分。
シュシュシュという音とともに蒸気がキッチンに充満した。鶏肉とハーブの香りがいい味を証明しているようだ。換気扇を回し、洗い物をする。
ペタペタペタ
思わず口の端が上がってしまう。「裸で料理するなよ。」と言うために寝室からやってくる理。いっその事上だけではなく下を脱いでやろうかと思ったがそれはやめた。俺は理の言うとおりちゃんと服を着ているし、なんとエプロンもしているのだ。さて、どんな顔をするのか。
「衛!上半身裸・・・・で。」
俺は蒸気を背にして理に振り向く。引締めようとした表情は緩んだままだ。この状態で無表情を作れるほどの耐性はないー理相手に限ってだが。
「おはよう、理。」
「お・・おう。」
「ぶっ。」
とうとう可笑しさに負けて俺が噴き出した。理は困ったような、拍子抜けしたような複雑な顔でペタペタ足音をさせてこっちにきた。
「シチュー?」
「そうだ。今年は鶏にした。あと野菜たっぷり。」
「そうか。」
理の肩口あたりを拳でトンとする。理はその拳を握ったあと手を繋ぐように二人の間に下ろした。
「なんだろうな。」
「なんか変な顔しているぞ。俺は理のいう事を守ってエプロンまでしたっていうのに。予想と違って悔しいって顔でもないし。」
そうだよな、理なら「何だよ!俺の裏をかいてしてやったりか?おまけに笑うなんてさ!」とプリプリしてもいいはずだ。それなのにこの反応は?
「意外だな・・・。」
「何が?俺が理の言う事聞いたこと?」
理はふうとため息をついて少し悔しそうな顔をしながら俺の肩に顎を乗せた・・・近いって。
「なんだかんだ言ってさ、衛が上半身裸で料理しているの、俺好きだったみたい。」
「なっ!」
「服着てエプロンまでしてさ、なんかつまんないよな。」
これにニヤリとしない男は男ではない!
ピーピーピー
タイマーの音で加圧時間が終わったことがわかった。ガスの火を止めて理の腰を抱き寄せる。
「圧力が下がるまで蓋も開けられないし、何もすることがないんだよ。」
「そうか、じゃあ掃除と洗濯してしまう?」
「理のお望みのままに、ここで服を脱ごうか?」
「なるほど、それはいい考えだ。俺にやらせろ。」
理はエプロンの紐を器用にほどきシャツの中に手を差し入れた。頬に唇が触れる。
「衛・・・たぶん、俺にとって・・・バレンタインの日は特別で、色々思い出してさ、なんだか少し泣けてきそうになる。きっと毎年この日は俺のほうが衛のことが好きなんだと思う。」
力一杯抱きしめると理の腕が背中に回った。
「そんなことない。俺も負けていない。」
「・・・ん、そうだね。圧力抜けるまで、本気で脱がせ合う?」
「もちろん。」
ジタバタしながらベッドに向かう俺達。床には点々と着ていたものが落ちていく。
一日早いバレンタインは始まったばかり。
まだシチューにすら辿り着いていない・・・。
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