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ギイさんのたくらみ <土曜日>
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ヒロが仕事に出かけた後、俺はコソコソでスーパーに出かけ買い物をした。シールを台紙に貼って指定された金額を支払ってフライパンを無事ゲット。
箱買いしたビールを肩に担ぎ、フライパンと食材の袋を持つのは無理だった。ビールを預かってもらって急いで帰り、袋とフライパンを玄関にドサっと置いてまたスーパーにとって返す。近所だから何とかなっているけれど、遠くにしかスーパーがない人達は大変だなと実感。
フライパンを箱から出すと、さすがの貫禄。サツドラとは厚みも重さも違うし、テフロン加工もハイグレードに見える。おおお~このガラスが重しがわりのパリパリ製造機か。けっこう重量感あるな。
箱は小さく破いて証拠隠滅。
鶏肉はキイに教わったとおりにしてみた。一番無難なのは中間だからニンニクはスライスをチョイス。ビニールに入れた鶏はビールの奥に隠した。冷蔵庫をあけてもビールのおかげで見えることはない。
一仕事終えた爽快感とともにさっそくビール。
ヒロは今頃客に笑顔を振りまいているはずだ。酒をつくり愚痴やノロケを聞いていることだろう。
テレビをつけたらスケートの映像。世界選手権だったか。そういえばフィギュア選手って有名どころはほとんど本州だったよな。こっちはスピードスケートの選手ばかりだし。そういう俺だってスケートを履いたことがない。ここはスキーエリア、北国だからといってスケートOKとは限らない。それを言ったらスキーのできない北海道民だって沢山いる。要因は環境ってことか。
「環境。」
ここに引っ越してきて2ケ月もたっていないのに、すっかり馴染んでいる俺。こうやって一人で部屋にいても、何故か一人だと感じない不思議さ。二人で暮らしている時間が安心感につながっているせいか、ヒロを待っている時間を寂しいと思ったことがない。
「おかえり、お疲れ。」そう言えるし、出迎える嬉しさがある。出かけていくヒロに「いってらっしゃい、頑張れよ。」と送り出すのだって充実感がある。
人間変われば変わるもんだよな・・・。
ちゃんとスーパーで買い物して、フライパンにお金をかける。ヒロをびっくりさせようと料理を仕込んで、ハーブの鉢植えどうだ?なんて聞こうとしている。
おかしくなってクスクス笑ってしまった。ちょっと前の俺なら「格好悪い」に分類していただろう。でも格好悪くたって嬉しかったり幸せだって感じられる方がずっといい。
これも全部ヒロが気持ちを打ち明けてくれたからだ。
俺ができるのは、ヒロをたくさん喜ばせること。
明日の鶏肉、うまく焼けるかな。
きっとフライパンのマイヤー君がどうにかしてくれるはずだ。期待しているぞ、マイヤー君!
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