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june.26.2017 北広島三井アウトレットパーク 3
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「素敵なワンピースね!」
トアさんに披露しようと試着室を出たら、そこにはトアさん以外のゲストが3人。去年一度だけ会ったことのあるトアさんのお義姉さんと翔君。今日はお兄さんまでいる……私にとってバナリパは鬼門?
「ああ……ええと」
「色違いも着てみたら?残念ながら160cmない私には長すぎて着られない丈」
「皆さんでお買い物ですか?」
トアさんのお義姉さんは悪戯をしかける子供みたいな顔をした。大人なのにこんな顔ができるなんて狡い。去年ここで偶然出くわした日のなんとも言えない気持ちが甦りそうになる。
「実はね、メルマガを見て来ようって思ったの。私の勘はバッチリだった。やっぱり来ていたのね」
「えええと……はい、来ました」
ああああ!もう!もっと気が利いたことを言えないのか、私は!
背中をポンと押されて試着ブースに逆戻りすることになった。
「色違いも着てみて?」
そこに浮かぶ笑顔は優しかった。私は頷いて試着室に入った。落ち着くには一人になるのが一番だったから狭いスペースが救いに思える。
待たせてはいけないと焦りながら、気持ちを鎮めるために深呼吸しつつの着替え。どっちが似合っているのか私には判断不能――頭が回っていない。
「これもいいけど、さっきのほうが素敵かな。稔明さんはどっちが好き?」
私と同じように動揺しています顔のトアさんが私を見た。フワリと浮かんだ笑顔を見てホっと一息つけた。そうだった一緒に来ているから私は一人ではない。
「ホワイト&ブラックが好きです」
「私もそう思ったのよ」
「これにします……着替えてきます!」
ダッシュで試着室に戻り、急いで着替える。ホンワカ買い物がいきなりのドキドキ展開に変わり、変な汗がでてきた。外に出るまえにハンカチで汗を拭きとる。あああ……こんな月曜日は初めてだ。心の準備があるのと無いのでは全然違う。このあとどうするのかな。前はお茶をしましょうをお断りしているから、帰りますは失礼だろう。
焦ったり動揺している姿をこれだけ晒してしまったら、今更繕うことに意味はない。そう考えて開き直る。もう減点されようがない、いつもの自分でいい。トアさんが好きでいてくれるのはそういう私なんだし。
よし。
ぐっとお腹に力を入れて試着室のカーテンを開けた。
「さかぐちさん、おそば食べる?」
「おそば?」
「おそば食べるんだよ!皆で。玉子の天ぷら美味しいよ」
フードコートの八雲のそばね。顔合わせですってどこかのレストランに行くより気が楽かもしれない。ガヤガヤしたフードコートに座って親睦を図る。親睦……うまくできるだろうか。
「坂口さん、お会計すませましょう」
トアさんが横にきてそう言った。「すいません、こんなことになって。それもいきなり」そう耳元で言われ大丈夫ですと答える。
「あ!とっちゃんエッチ!チューした!」
トアさんと私は文字通り固まった。視線の先には苦笑いをしたお兄さん、そして楽しそうに笑うお義姉さんがいた。
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