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july.3.2017 豚バラ&エプロン三本勝負!
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二本目!!
・・・・・・・・・・・・・・・
「洗濯物干したよ。夏はいいよね、すぐ乾くから」
ベランダで洗濯物が風にはためいているのは見ていて気持ちがいい。それに大きなものがすぐ乾くのが有り難い。とはいえ、あそこの住人はよくシーツを洗っているね、そんなチェックが入っていないといいが。
「ありがとう、取り込むのは俺がするから」
理はペタペタ足音をさせながら俺の横に来た。
「きょうの献立は?」
「豚バラせんべい。ベビーリーフにルッコラをたっぷり目にしてモッツァレラとサラダにする。全粒パンをスライスしてハモンセラーノと一緒に食べよう」
「ハモンセラーノね。ああ、こないだネットで買った生ハムか」
『kuradashi.jp』というサイトがある。消費期限が間近、訳アリ、在庫処分の商品を中心に販売している。廃棄するのではなく無駄を減らそうという理念の会社が運営していて、半額、半額以下の掘り出し物がけっこうある。俺達は時々チェックしていて、ハモンセラーノはここで買った。
「赤ワインより冷やした白のほうが合いそうな献立だな」
理はワインの箱の検分を始めた。赤ワインを中心に買っているが、セットの中に白が含まれていることもある。スパークリングワインセットに白があったような気がするが……。
「お~あった。あった。さっそく冷やそう」
理はガシャンと音をさせながら白ワインを横にして入れた。立てておくとコルクが乾燥してボソボソになりコルクを抜くときにかすがワインに入ってしまうことがある。冷やす時だけでも横にしたい。
「それと衛。俺が気が付かないとでも?」
理が指差すのはエプロンだ。そろそろ恥ずかしくなってきたところで、止めておけばよかったと後悔し始めた頃に、ようやく理がアクションを起こした。
「ハダカで料理をするなと言うから」
「あのなあ、腰から下だけのエプロンを上半身マッパに組み合わせてどうにかなるわけ?」
「……その反応は裸エプロンには興味がないんだな」
理は呆れ顔でペタペタペタと足を速めて横に立つ。
「悪いが俺は裸エプロンにロマンを感じない」
「みたい……だな」
「それに変だよ、それ。男前が台無し」
理は結び目をほどいてエプロンを外した。パジャマの下+上半身裸のいつもの俺の姿になった。
「いいよ、もうこれで。てかこれがいい」
「……そうか」
「衛の悪ふざけが何を目指したのかさっぱりわからないけどね」
何かを目指したわけではない。俺だって変な格好をしている自覚はある。「なんで格好してんだよ!」とケラケラ笑う理がみたかっただけだ。思いきり笑う理を見ていると幸せになるから、休日の午前中に楽しみが欲しかった。
「もっと笑うかと思ったんだよ」
「衛は笑いのセンスなし。諦めたほうがいい」
違う手を考えるか。何をしたら大笑いしてくれるのだろう。
「衛、あのさ。キンキンに冷えた白ワインだろ?サラダをカッペリーニでパスタに改造できない?」
「冷製パスタか」
「そうそう、オリーブオイルと塩胡椒、そしてバルサミコ多めで」
「加熱した玉ねぎすりおろしを加えてソースを作るよ。コクがでるからいいソースになりそうだ」
「やった!豚バラせんべいとパスタ、ハモンセラーノとキンキンに冷えたワイン。やる気でてきた」
理はクルリと背をむけてキッチンを出て行った。下ごしらえは終わったからシャワーを浴びて着替えよう。少し本でも読もうか……出かけるより家で寛ぎたい気分だし。理が出かけようと言ったらスーパーで我慢してもらうことにする。のんびりしたい。
ペタペタペタ
ん?戻って来たのか。
「もう下ごしらえは終わった。シャワー浴びて着替えるよ。今日は家でゆっ……」
戻って来た理は素っ裸だった。見慣れている……が不意打ちに脆い俺。
「何事……だよ」
「なにごと?いつもごとだよ。風呂にお湯いれた、ちょっとぬるめ設定。一緒に入ろう」
「え?」
「え?ってなに。衛シャワーまだじゃないか」
「ああ、だけど」
理は俺の前にきてムンズと顎を握った。唇が触れるか触れないかの距離に近づけるくせに、それ以上なにもしない。お互いの唇の間の空気が震えてピリピリする。
「衛がパジャマの下だけで料理しているのが好きだ」
「……な」
「照れ隠しに誤魔化してきたけど、俺のスイッチだったりする」
「理……」
「献立は決まった、洗濯も終わった。もう少し腹を空かせる時間を過ごすべきじゃない?すきっ腹にキンキンの白ワイン。すぐに回っちゃいそうだから、先にやることをすませよう」
理の唇は触れることなく離れていく。俺は物足りない顔をしたのだろう、理がニヤっと口の端を上げる。掴まれたままの顎に唇が落ちてきて舌先がねっとりと皮膚を舐める。左手は器用に履いているパジャマをずり下げた。左足がそれに続き、あっさり裸に剥かれる。
「こんなになってるのに……風呂に行かないなんて言える?」
「……言えない」
「商談成立」
これのどこが商談なんだ?俺はその言葉を飲み込んだ。それはあまりに無粋というものだ。
好きな相手に求められている……これに勝る幸せはないのだから。
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