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正木の出張 2
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部屋の空気はモワンと暑かった。空調が効きすぎている部屋も時々あるけれど、だいたいは重苦しく暑い。ルームキーのスティックを壁面にあるスペースに差し込むことで室内の電気が使えるようになるタイプの部屋。こういう場合は冷蔵庫のスイッチも手動のことが多い。やはり扉の上にスイッチがあった。
冷蔵庫の電源を自分で入れるなんて考えたこともなかった頃、キンキンに冷えているはずの水が生ぬるくなっていてびっくりしたことがある。冷蔵庫壊れてんじゃんか!とフロントに電話をしたら手動スイッチであることを告げられて恥ずかしい思いをした。二度と同じ轍は踏みたくない俺は、部屋に入ったらまず冷蔵庫をチェックすることにしている。
荷解きは帰ってからするしかない。鈴木さんを待たせるのは嫌だ。
細長いデスクの上にあるメモパットとボールペンのホルダーからボールペンだけを取る。ルームキーを抜くと部屋は真っ暗。そこにボールペンを差すと室内の電気と空調が戻った。ようは細長い物を差しておけば通電するってこと。これで帰ってきたらヒエヒエの室温にお出迎えしてもらえる。
ルームキーがカードの場合はプラスティックのメンバーカードで代用する。Tポイント、ポンタ、美容室のメンバーカード。代用品には事欠かない。
室内灯は消して部屋を出た。急がないと、鈴木さんまだ降りてないよね。俺は小走りにエレベーターホールに向かった。
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