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オードブル大作戦③
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へえ、働く男って、こういう顔になるんだ。
理さんはパソコンに向かってエクセルでなにか作っている。疑問点や必要作業が書かれたポストイットが剥がされてゴミ箱へ。
その合間にもキーを叩き、電卓を叩き、チラシとにらめっこして手帳をめくる。
ちゃんと僕があげたスケルトンのサファリが握られているのを見て、くすぐったい気持ちになりました。えへへ。
「ミネ、プリンター借りるね。パソコンたちあげてもいい?それかプリンターのCDここにある?」
「CDはあるかもだけど、わからん。今手が離せないから、すきにやって.。」
「正明、パソコンいじれるだろ?」
「エクセルで関数組めとかいわないですよね。」
「そこまで望んでいないよ。このUSBに保存したファイルを出力してくれるかな。うまくかないときは言ってくれ。」
「わかりました~」
なんでここに呼ばれたのかは一目瞭然。理さんの下働きの為だ。自然に二手にわかれて、僕は「チーム理」事務方ってところかな。
実動部隊は厨房で試作品を作り始めた。オーナーさんは料理をしながら電卓をたたいたり紙をめくったりしている。量りもあるし、オール目分量のいい加減さんかと思いきや・・・以外と違うらしい。
鉄仮面と呼ばれている飯塚さん・・・たぶん、こんな顔を初めて見ました。ウキウキしてる飯塚さんって、男前だけど少しかわいい。
この人けっこうかわいいもんね。僕の苛めたいモードを発動させてもいいけど、理さんを敵に回すのは嫌だ。それはつまりタケさんの怒りを買うことになるので、考えたくもない。
出力した紙を理さんに渡す。パラパラとめくって確認したあとOKをいただきました。あざ~す
「じゃ、こんどはパワポ。3つあるからその出力お願い。」
「ぱわぽ?」
「あ~悪い。パワーポイントってあるから。オレンジっぽいファイルの色。「ラフ1」から「ラフ3」までお願い。」
「は~い」
実動部隊は料理制作中。でも理さんがやっているのは一体何なのか?さっぱりです。
出力した「ラフ」はオードブルのチラシらしい。えええ~こんなの作れちゃったりするわけ?
お店のメニューって落差あるじゃないですか。いかにもプロにお任せしました感満載のバリっとしたパターン。対して自分で撮りました~な料理の写真とワード感満載でクリアファイルに入ちゃっているみたいな残念メニュー。
「武本理」作のこれはその中間。この店のアットホーム感に妙にマッチしている。
恐るべし・・・タケモトの血(あ、タケさんとは血のつながりはなかったんだった。)
「お店の雰囲気にあってますね、これ。」
「ん?あ、これね。正明はどれが好き?」
「この緑かな。」
「これか。この店のカラーらしいんだ。」
「料理作っている時の飯塚さん、あんな顔なんですね。」
理さんは頬杖をついて厨房の方を見たけれど、柱にかくれて飯塚さんは見えない位置だ。
「楽しそうっていうか子供みたいな顔してるんだろ?
神様はアイツに5ブツぐらい与えてると思わないか?不公平だよな・・・俺も欲しい。」
理さん・・・あなたもけっこう神様に祝福されてるクチですよ?
「ハル~運ぶの手伝ってくれる?」
のんびりオーナーのお呼びがかかり、出向くはめになった。
「んじゃ、そこのトレンチ、お盆のことね。のっけて向こうに運んでくれるかな。真ん中のテーブルでいいから。」
うわぁ~美味しそう!
こんな短時間で作れるなんて、さすがプロ。リーマンの飯塚さんがどんな姿なのかしらないけれど、最後はスガッたというオーナーさん、あなたは正しいです。
というか・・・オーナーさん、ニヘラっとしているけど腕は確かなんですね
(あくまでも料理の見た目といい匂いの判断だけど。)
僕は嬉々として料理を運んだ。これから試食がまっているのだから張り切るのは当たり前だ。
「オーナーさん、取り皿はどこにありますか?」
「あ、そこの適当に。」
「調味料いるものありますか?」
「いや、とりあえずナシで食べてもらうから。」
腰から下のエプロンって何かエロい感じがします・・・。腰骨のところで紐を結ぶからかな?
ニヘラオーナーがちょっと格好良く見えるくらいだから重要アイテムだ・・・エプロン。。
「理さん、試食ですよ~」
オードブル作戦、ようやく試食段階に突入です!
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