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chapter27 男前、卑怯者になりさがる <1月>
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「気になることがあって、毎日不眠なわけよ。」
水を向けたところで言わない時は言わない、言いたい時はベラベラ話す。
村崎はそういうヤツなので、相槌なんか必要としていないのだ、だから俺は黙ってコーヒーをすする。
「お前・・・サトルとやった?」
「うぐっっ!」
熱いコーヒが鼻からでるかと思った。
「お前突然なにを言い出すんだ!」
「そんな突飛なことか?友達に「そんで?彼女とやった?」って聞くだろ。」
「彼女じゃないだろうが!」
「じゃあ、彼氏でもいいけど?」
「・・・。」
「好きです!ぐらいは言ってるんだろ?当然。」
「・・・。」
「うっそ~まじで?お前さすがにそれはまずいだろう!」
「ま、まずいのか。タイミングがきたら自然に言うだろうと・・・」
「お前のその余裕ぶっこきが時たま腹たつ。考えたことあるか?」
「なにを・・・だ。」
「てっきりお前が好き好き言ってサトルを繋ぎ留めているのかと思っていたよ。アイツは何の保障もないままだってことだろ?
どうすんの、お前は傍にいられないのに、他のやつに持っていかれたら。」
「なんとなく、それはないと・・・」
「なんだ、その俺様思考は。俺は危ないと思うね・・・サトルはモテるだろ?選びたい放題よりどりみどりだぞ。余裕ぶっこきもわからんが、好きなヤツに好きっていえないお前がわかんねえ~」
包丁を貰ったあの日、武本は大丈夫だと言ったから、俺は安心した。
あの大丈夫はどういう意味だったのか・・・
そう考え始めると、俺と武本の間には「確か」なものが何もないことに気付いてしまった。
◆
『助かりました。忙しいのにすいません。』
それは渡辺からの電話で、取引先の面倒くさい狸おやじに関しての相談だった。恩を売ったついでに、聞いてもいいだろう・・・というか聞きたい。
「皆は変わりないか?」
『変わりないですね、でも騒がしいですよ。』
「騒がしい?」
『来月バレンタインじゃないですか。石川も辟易って感じですけど、武本さんの身辺に関して聞かれまくりです。』
「・・・。」
『飯塚さんも覚えありって感じですね。』
俺の小さなため息が聞こえたんだろう。
『恋愛関係の話を武本さんしないから本当のところはわかんないですけど。いっそうのこと「本命がいるから望みなし」って御触れでもだしたいくらいです。周りがウザイですからね・・・俺ヒガミっぽいかな。』
渡辺の笑声を聴きながら、そうだな、それもありだと思い至った。
「本命いるって言っていいぞ。」
『え、まじっすか?マジ情報ですか、それ!』
「情報のソースが俺だと言えば、外野も黙ると思うぞ?」
『飯塚さんは逢ったことあるんですか?』
「まあな。」
『どんな人です?やっぱり綺麗な人なんでしょうね。』
「それは・・・俺の口から言えないな。こんなことバラしてるだけで、すっげ~怒られる。」
『・・・ですね。怒ると怖いですよね、武本さん。今日はいい情報もらいました!
チョコレートを目論んでいるアイツらをギャフンと言わせるのを想像しただけで楽しくなってきました!これから石川にも話します、おつかれっした!』
やや卑怯な絡めて手だったことは認める。でも多少一歩は踏み出した。
さあ、これがどこに転がるか・・・。
しかし・・・俺は武本のことになるとホントに情けない。
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