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August 12.2015 実は熱い男
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「トアさんは何処でスカウトされてここに来ることになったんですか?」
中休みに気になっていたことを聞いてみた。
ミネさんの「おじさん」こと高村さんと、どういう知り合いなのか考え出したら夜も眠れない(嘘です、ちゃんと寝られます。)
「もともと広告代理店でコピーライターをしていたんです。それが潰れてしまって。
まさか市内最大手がひっくりかえるなんて思っていませんから、まさしく路頭に迷う、しかも30才超え。」
はぁ。しかしコピーライターという、なんだか格好いい職業だったのに会社がつぶれるとか大変です。
「一番のお得意様が潰れてしまって、そのアオリですね。案外会社って簡単に倒れるようにできているんだなと、ちょっと達観しちゃったぐらいです。
その会社に在職中、高村さんに逢いました。」
ほぉ。仕事がらみってやつかな(僕が一生使わないセリフっぽい)
「『吉川類のぐい呑み探訪記』っていう番組あるじゃない。あれの元ネタになった本があるんだよね。
『有楽町ガード下探訪記』っていう磯田忠彦が書いたガード下めぐりの。
なんでも高村さんが有楽町のガード下で意気投合して磯田さんに言ったらしい。「それだけ楽しい話ができるなら、まとめて文章にしたらいい。売り込んでみろよ。」
磯田さんは最初は全然その気はなかった。でも結局書いてみる気になって原稿をあげた。そして有楽町飲食店組合のフリーペーパーに売り込みかけたら採用。
限られた人しか読まないはずのコレが面白いと評判になって、本までだしちゃって。
その後は寂れた繁華街を巡り、それを連載してね。全国で甦った繁華街は数知れずです。
磯田さんが店に現れると、誰もが「神様」と呼ぶらしい。」
ああ・・ええっと。トアさん、いつになく熱く語っていますが肝心の「なぜ?」の答えがどこにもありません。
よしかわたぐいのぐい呑みなんだかっていうのは見たことはあるけど、おっさんが庶民的な店を回る番組で若造の僕にはミートしなかった。
磯田さん・・・ごめんなさい。貴方のことはコレっぽちも存じ上げません!
「磯田さんが札幌に来たとき、高村さんのその日最後の仕事が僕の働いていた会社のビルでね。
喫煙コーナーで磯田さんの本を読みながらサボリーマンしていた時に声をかけてくれて。
「その本人とこれから飲みにいくんだけど、くるか?」ですよ?そりゃあ、行くに決まってますよね!
逢ってみたら抜群に話は面白い。文章にするときのコツとか色々聞いてもちゃんと答えてくれる、本当にいい人で。その日を境に作家になると決めたんですよ。
そうしたら会社がなくなっちゃって、作家にならねば食っていかれない状況になってしまいました。
ああ~でもね、作家にも全然なれてなくて、しょぼい文章ばっかり書いてるから悲しくなります。
SABUROに来ると気持ちが上向いて、精神衛生上すごく僕にイイ!」
この人、こんなに喋るのか・・・口を挟む隙なんか全然ないし。
説明ながっ!
テンポ早っ!
「どんなの書いているんですか?」
礼儀として聞いてみた。
「あ~『すすきのダイマラnight♪』って知っていますか?案内所とかにザクザク置いてあるフリーペーパー。
ダイナマイトとマラで大マラ(でかちん)+ナイトの掛け合わせ・・・ダサイすぎです。
そこの風俗コーナーを担当中。各店いちおしの女の子の紹介文を書いてます。
例えば、今回OKもらったのが
『ヌッキーマウス』の潤ちゃん。B:88 W:60 H:85 のセクシーボディ。
ベビーフェイスとのアンバランスさが男心をくすぐります。
フェラが大好きなんだって!ぽってりリップであんなことやこんなこと・・・生唾ものです!
潤ちゃんのゴク潤ボディを前に、こっちの息子も臨戦態勢!僕が先に濡れちゃうこと間違いなし!
とか・・・です。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
なんとなく、作家への道のりが遠いものであることだけは理解できました。
「ハルさん、でも見ていてください。絶対モノにしてやります。高村さんが言うように、SABUROで何か掴めば『ディナーラッシュ』も夢ではないと思えるのです!」
「ディナーラッシュってなんですか?」
トアさんは、僕が珍獣に化けたかのような驚愕の表情を浮かべた。
何?それって知っていて当たり前の何かですか?ディナーラッシュ?
「えええええ!あのB・ジラルディの傑作にして、おすすめ映画のテッパン「ディナーラッシュ」をしらない?B・ジラルディはCMやミュージックビデオの先駆けみたいな人で、マイケルジャクソンの「beat it」は彼の監督です。
話しを戻しますが『ディナーラッシュは』NYのトラットリアの一夜の出来事が物語。色んな人が繰り広げる群像劇です。
イタリアものといえばアイロエ。彼がレストランのオーナー。ウェイトレスにはサマー・フェニックスが扮しています。彼女の兄はホアキン・フェニックだし、もちろん伝説の俳優リバー・フェニックスの妹。この映画最高です!ラストは「うっひょぉおおおお!」って叫ぶ、絶対叫ぶ。」
さて、これも礼儀で言ったほうがいいよね・・・。
「今度レンタルしてみます。」
「何言ってるんですか!ハルさん臭い!僕が明日持ってきますから。」
そして翌日、ニコニコ顔で渡されたDVD。
面白いのだろうか、コレ。
しかし早いとこ見て返さないと、どうだったどうだったどうだったどうだった・・・と聞かれまくるだろうね。
毎日毎日毎日。
さっそくその夜みたわけです。
「うひょおおおおぉおおおぉおお!えええ、マジ?うわ、なにこの人、えええええ!」
絶対叫ばないと誓ったのに、あっさり夜中に叫びました。いやあ、これが鉄板なのも頷ける。これは最高に面白い!
少しだけ見直しました、トアさん。
「最高でした!嘘だ~って思ってたのに叫んじゃいました!でも叫びますよね、あんなねええ~!」
「でしょでしょ?」
「わざとらしい大どんでん返しとか、ヘタクサ~なんてバカにしていたけど、これは楽しいドンデン返し!」
「さすがハルさん。
大ドンデンが御所望ならとっておきのがあります!
ガブリエル・バーンがメインなんですけどね、ボールドウィン兄弟の末っ子のスティーブンもでてますよ。あとね、この頃日本では無名に近かったK・スペイシー。ベニチオ・デル・トロまで出演しています。
この映画が公開された当時はシネコンよりも、劇場が多かったんですよ。その頃は一度入場したら何回見てもよかった。入れ替え制なんて滅多になかったわけです。
でもこの映画の結末のどんでん返しのすさまじさに「結末は言わないでください」なんていう御触れもでたし、映画館側は入れ替え制を導入して自衛したんです!
この映画のすごさがわかりますよね?
「シックスセンス」のオチもなかなかよかったけれど、これにはかないません!
この映画の名前は「ユージュアル・サスペクツ」
もちろん、明日DVD持ってきます!」
はぁ・・・長い、そして熱い。俳優の名前とか当たり前にポンポン言ってますけど、知らない人ばかり。だから一応知っていることを少しだけ言ってみる。
「ああ、そういえば『ディナーラッシュ』のギャングの人、『ボーンコレクター』にでてましたよね。」
「・・・・なんですって?僕としたことが・・・。中休みGEOに行きます。今晩速攻で確認しますから!」
わかったことがあります。
おすすめ映画に外れはなさそうですが、夢中になると止まらない。
エネルギーが吸い取られる・・・。
トアさん相手にエンタメ話は控えることにしよう。
卒論もあるのに、毎晩DVDみている場合じゃないし。
そうはいっても、『ユージュアル・サスペクツ』がちょっと楽しみな僕でした。
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