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August 31.2015 理さん、実はMの巻
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「ハルさん、漫画読むんですね。」
そりゃあね。日本人で漫画読まない人っているのかな。ちびっこの頃から絶対読んで育ってきたよね?
ですよね?
「トアさんは読まないの?」
「読みますよ。アニメがわりとよくて、さすがマッドハウスです!作画といい原作へのリスペクトが感じられますしね。安定している感が素敵なプロダクションです。
・・・すいません。あやうく横道にいくところでした。
そのアニメの原作漫画です。「寄生獣」を再読して、やはり名作だと感心したところです。
これだけ時代が変わっていても、まったく古さを感じない素晴らしいですよ。
ところでハルさんは何を借りてきたのですか?」
「『孤高の人』です、山登りものですね。なんだか『岳』がスッキリしないっていうか・・・結末が、う~~んだったんで別の山ものはどんな感じなのかなって。」
「へえ、そういう題材もあるんだ。」
中休みの時間を利用して、すぐ近くのGEOに行ってマンガのレンタルを利用したのです。
漫画は増える量が半端じゃない。小説に比べると増殖率が高いから、できるだけ買わないことにしています。本棚ばかり増やしても困るし。
「お疲れ~。」
「おはようございます!」
「おはようございます。」
理さんがやってきました。仕事中にちょくちょく店に来てミネさんとなにやら密談して帰っていきます。
営業さんは行動の自由があるんですね、そう飯塚さんに言ったら「できる人間は時間をつくる。別に自由でもなんでもない。」と切り返されました。(それって何気に理さんを褒めてませんか?)
スーツ姿で颯爽と店に入ってくる姿は飯塚さんじゃなくても、つい見惚れてしまう。
デキル感アリ、清潔感アリ、なんでもアリ!
「ミネいる?」
「さっき、飯塚さんと裏行きました。在庫の確認かもしれませんね。」
「そか。」
理さんはGEOのパンパンにふくらんだ黒い袋を指差した。
「正明が借りてきたのか?」
「そうですよ~。1週間レンタルだから読み終わったら貸しますか?」
「何借りた?」
「『孤高の人』です。」
「わりと好きかな、絵がうまいよね、この作者。『イノサン』は絵が上手いだけにけっこうグロい。」
御存じでしたか・・・漫画まで守備範囲ですか!
理さんにできない事とか、知らない事とかありますか?時々真剣にそう思います。
「トアも漫画読んだりするの?」
「しますよ~。でもスポーツものは読まないですね。運動音痴だったせいか、イマイチ手がでなくて。」
理さんは腕組みしながら考え始めた、というか記憶をひっぱりだしている感じ?
「じゃあさ、トア。『ラストイニング』を読んでみなよ。スポコン度低いし、指揮官の心理戦とか、ようは指導者によって野球が変わるっていう面白さがあるから、たぶんいけるよ。『ジャイキリ』もいいけど、あれまだ連載中だしね。」
「それはなんだか興味がわいてきます・・・。」
「同じ野球が題材でも、アプローチが違えば別物になる。『巨人の星』『タッチ』『砂の栄冠』全部違うしね。
トアの小説も切り口かえれば、どんな題材でも可能性があるってことだし。」
とあさんがピョコンと立ち上がった。ひょろっとデカイ、5cm僕にくれませんか?
「GEOに行って借りてきます!」
それこそダッシュで出かけて行きました。
◆◇
「理さんはぜったいMですよね。」
「間違いないですね・・・八潮君の仲間ですよ。」
「ミネさんは・・・Cかな。」
「自由なところが、それっぽいですかね。オーナーですから能力は高いとみていいでしょう。」
「飯塚さんは?一番どれも違うよね。」
「ええ・・・動じないですからね。象?もはや規格外。」
「とあさんと僕はDだよね。」
「ええ・・・Mでありたいと思いますが、Dですね。」
理さんおススメの『ラストイニング』に僕たちはすっかり夢中です。トアさんなんか来年は絶対甲子園を見ます!ってくらい感化されちゃって、今はU18世界大会を見て今更オコエとか清宮言ってるし。(やっぱり少しズレた感が残念ですよね、トアさんって・・・)
借りた漫画は回し読みするためにバックヤードに積まれています。全44冊。
ちなみにMとかDのアルファベットはですね。野球部の監督さんが選手のタイプを分類して指導法に反映するのですが、そのタイプのことなんです。
Mはモンキー、知能が高く、つねに考えるから(理さんでしょ?)
Cはキャット、自由気ままで群れを嫌うけど能力は高い(ミネさんっぽい)
Dはドッグ、従順で命令に従うし、群れ大好き(トアさんと僕はこれかなって)
そうなると飯塚さんがどれにも当てはまらないですよね。それでトアさんが象って言ったわけ。
理さんが電話しながら店にきました。
「やっぱりMですね。」
「ええ・・・まさしくMです。」
「おはよ、どうしたの?」
「すっかりトアさんも僕もラスイニにはまっちゃって。それで理さんはMでミネさんC、僕らはDって話で盛り上がっていました。飯塚さんは象かなって。規格外ですよね、飯塚さん。」
理さんはキョトンとしている。
え?そこでキョトン?どうしてですか。
「ええ~なに言ってるの、わかりやすいだろ一番。DだよD!
命令に従順だし、頭撫ぜたら耳倒して喜ぶ犬そのものじゃないか。
でかいの・・・そうだなセントバーナードみたいな感じ?
頼りになるけど、寄ってこられると暑苦しいところがピッタリだ。」
なんですと!
あの飯塚さんが「命令に従順」かつ「頼りになる」けど「暑苦しい」・・・・。
そんなこと言えるの理さんだけですよ。
そうかぁ、あの飯塚さんも理さんの言う事は何でも聞いちゃうってこと?
僕の頭の中に浮かんだのは・・・
セントバーナードの背中に乗ったサルが手綱をひいている姿です。
いきなりの映像に噴きだしたら笑いの発作がとまらなくなってしまいまして、呆れた理さんはミネさんを探しに裏にいっちゃった。
ひーひー言いながらなんとか笑いをひっこめて、滲んだ涙をゴシゴシこする。
「ハルさん・・・何想像したんですか・・・。」
「いやぁ、セントバーナードの背中にのったサル。手綱ひいてるのサルが。」
3秒後、トアさんが大爆笑するのをみて、やっとひっこんだ発作がぶり返した。
二人でヒーヒー泣きながら笑う声に何事かとミネさんが顔をだす。
「なにじゃれてんだよ、二人とも。」
『犬のくせにサルのせてやんの。ダッセ~』と喋る猫がそれに加わって笑いの発作は長引いた。
これはきっと僕のテッパンネタになる。
思い出し笑い、100連発は余裕でクリアですよ!
やっぱりここは楽しいね。
うんうん、僕はDで間違いなし。この群れが大好きなんですから。
ネコとサルか一匹ずつで、あとは全員犬って・・・漫画の野球部と同じ構成じゃないですか!
これを想定してのおススメだったのですか、理さん!
「M」・・・恐るべし・・・。
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