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september 16.2015 ハル、大人の魅力に攻撃される
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「がっつり肉喰いたい、ハル行こうぜ~肉。」
ミネさんがそんなことを言いだしたから、肉食べるって遅いでしょ・・・「仕事あがり何時だと思ってるんですか!」という僕の反論は口をつままれて阻まれた。僕はアヒルではありません、断じて。
いや、肉が嫌いなわけではない。でもね、まもなく23:00ですな時刻から肉ですかって事ですよ。
で、結局ついていくことになったのですが、向かっているのはすすきの方向。
遅い時間までやっているお店はやっぱり札駅や大通り界隈じゃありません。歓楽街すすきのです。
「4の4、5の4、ここはいっつも混むわけよ。近いからね、あまり待たずに食べたいなら6の4が一番。」
ミネさんが言っている数字は住所のことです。南4西4、南5西4の店じゃなく一番遠い南6西4にいきましょうねってこと。
大学の友達に道外出身のヤツがいるけれど、碁盤の目になっている道はかえって迷うと言います。
東西南北の感覚がわからねえ!って。
「だからね札幌駅背中にすると後ろが北、正面が南、テレビ塔は東だよ」
というこれ以上わかりやすい説明ないでしょ?な僕の回答にもダメだししてくる。テレビ塔みえない場所だったらどうすんだよ!って。この段になると面倒くさいので放置、自分で学習しろって事。
「焼肉ですか?」
「焼肉にはかわりないけどジンギスカン食おうぜ。なんか久しぶりにそんな気分。」
「・・・ジンギスカンですか。」
沖縄の人は飲んだ締めにステーキ食べたりしますけど、飲んでもいない23:00にジンギスカン。
いきなり肉とか、ミネさん発情でもしているのだろうか・・・。
そんなアホいことを考えていると目的地に到着。
店から煙がでています・・・。
「ラッキ~並びが外まで出てないね。」
「ええ、行列とかしちゃう店ですか?」
「ええ?知らんの?来たことないの?」
「ないです、なんて店ですか?・・・だるま?」
「ハル、君は非道民に決定だ。いかんな~。じゃあ入ろう。」
店内煙っています!油で木の板床がツルツル滑ります!カウンター席のみで、炭台の上にはジンギスカン鍋が鎮座している。背もたれのない丸椅子がギュウギュウに並べられて座り心地は悪そう・・・です。
「お二人様~こちらどうぞ。」
言われたとおり席につくとドリンクのオーダーをとられる。でもねメニューはなし、壁に貼ってある数少ない中からビールを選びました。肉食べないですむ方法を得る為サイドメニュー的なものはないかと壁メニューを見てもあるのはキムチ、チャンジャ、焼き野菜・・・・むうぅぅ。
そして問答無用!とばかりに巨大ビニール袋にむんずと手をつっこんだ店員さんがジンギスカン鍋に玉ねぎを投下!ぶつ切りのネギ投下!(ビニール手袋してましたよ、店員さん)
白い脂身をてっぺんにボン。この溶けた脂身が焦げ付きを防ぎます。
「とりあえず3枚もらえるかな。」
ミネさん、3枚って何?皿?3皿も食べるの!
「んじゃ、お疲れ~。」
ぷはぁ~ビール最高!
「ビクビクするなって、3枚くらい楽勝よ。早い時間だと「上」と「ヒレ」があるけどね、オープンして1時間ぐらいでなくなるわけよ。この時間だと普通のしかないけど旨いことにはかわりなし。」
「繁盛してるのですね。」
「ハイ、超有名店でゴザイマス。」
「はい、3枚ね。」
トントンと置かれた皿は、あれま!僕の家にある小皿くらいです。そこに4~5枚肉がのってました。ビール園とかで出される丸肉じゃなくて、肉です!焼肉みたいに厚い肉。
「うし!焼くぞ。」
鍋のてっぺんに肉を4枚並べるとジュウっていい音がする。なんかだんだんテンションあがってきた!
「ハル、タレどうする?こっちが唐辛子、こっちはおろしニンニク。」
大きなマグカップくらいのステンレスの入れ物に真っ赤な刻み唐辛子とニンニク。唐辛子だけ運ばれてきたタレにいれました。ミネさんは迷ったあげく、小さじ半分くらいのニンニクを入れた。
明日仕事だしね、ぷはぁ~ってニンニクだと不味いですから色々と。
「うし、焼けた!喰うべし!」
タレにくぐらせてパクリと口に放り込む。
「んんんん!!!」
うま!うますぎる、柔らかい、おまけにジンギスカン的クセがない。これはジンギスカン嫌いだって人にこそ食べてもらいたい!
おもわず隣のミネさんの上腕部をボンボン叩いてしまいました。
「うまいだろ~~~~。」
「驚きの味です!」
「これを知らないとは、非道民だって意味わかっただろ?でももう大丈夫、君は立派に道民です!」
肉がおいしいと野菜も美味しい。焼ける肉の油はジンギスカン鍋の溝を降りていって縁に溜まって行きます。そこにいるのは野菜君たち。肉の旨みで焼けた玉ねぎとネギ最高!
結局もう2枚と野菜の追加をしてしまいました。ビールも3杯飲んじゃった。
ヘタな焼肉屋にいくより断然いい、そしてリーズナブルっていうのがこれまたお得。ミネさん奢ってくれたわけですが、罪悪感の少ないお代でした。
店の外の爽やかな秋の夜風を吸いこんだら・・・自分が激しく臭いことに気が付いた。
臭い、肉は全然臭くなかったのに煙はまさにジンギスカン。あのモクモクの中にいたのだから当然です。服も髪も全身もはやジンギスカン!です。
「臭い・・・うわあ、ファブりたいくらいです。コンビニに置いてませんよね。」
「俺も臭いし、ハルも臭い。クサクサな二人でいいじゃないか。洗濯すればすむし。それよか電車はもうないよな。タクシーで帰るか?」
「なんか気持ちのいい夜だから歩いて帰ろうかなと思います。」
「ハルのとこって飯塚の近くだよな。」
「ですよ。電車通りですから。」
ミネさんは携帯をとりだすとサクサクとタップしはじめた。なんだか嫌な予感がするのですが・・・。
「悪いな、まだ起きてた?あのさ、ファブリーズ貸してくんない?あははは、いやさハルとだるま行ったのよ。そしたら臭い臭いって騒ぐわけよ、ハルが。ああ、ん・・・うんうん。にゃははは。
わかったよ。了解したぜ!」
ほろ酔いというのでしょうか、僕もミネさんも「にゃははは~」なんて平気で言える程度には酔っておりますが、話の先が見えない僕はどうしたもんかと考えていました。お礼を言ってさっさと帰った方がいいですよね?そう思いますよね?
電話を切ったミネさんにタクシーにつっこまれて走りだす車。
「お客さんジンギスカンですか、いいですね。」なんて運転手さんに言われた。ヤッパリ臭いじゃん、僕たち!
降りたのは、僕の元職場。ミネさん・・・いったい何したいの?
「パンツは貸せないからパンツは買えってさ。あとビールとワインで手を売ってくれるそうだ。」
カゴの中にパンツを2枚、Tシャツ2枚。ビール500缶6本セットを4つ(一人1Pがノルマ?)ワイン3本。
誰が飲むというのか、この量を。そしてもう日付はかわろうとしております。明日はもちろん営業です。
僕はここから自宅に行けば帰ることができるので、そうしたい・・・うううぅぅ。
ちゃっちゃと会計をすませて僕の手首をムンズと掴んで子供のようにブンブン振りながら大股で歩くミネさん。僕は引きずられています、悪さをみつかって父親に連行される子供のようで恥ずかしい。
「はい、到着~。」
オートロックのキーを押して「ついたよ~」と陽気なミネさん。ウィーンと開く自動ドア。
へえ、何回か来たことあるんですね飯塚宅。意外です。
部屋の前でピンポン鳴らしたらすぐに開いた。おわ!ザックリ長Tにラフなパンツ、ウエストの紐のタレ具合がお洒落です。緩んでいる飯塚さんは優しさ度が急上昇、反対に鉄仮面度が暴落しています。
「まったく~入れよ。」
笑顔です!いや・・ちょっとこんな顔知っていたら自然に好きになってしまいますって!理さんはこんな顔ばっかみてたって事ですよ。そりゃあね・・・陥落しますよ。ゲイじゃなくたって。
「おじゃましま・・・す。」
意地悪そうにニヤリとされて心臓がビクってなりました。僕に色気ふりまかないでください。
ドキドキしている心臓を押さえていると、「そんな飲んでないのにな、ハル~」というミネさんの呑気突っ込みがはいりました。この胸の高鳴り!ノンケにはわかるまい!
「いらっしゃい。二人は仲良し兄弟みたいだな。正明をかわいがる気持ちわかるけど。」
袖口と裾があえてユルユルな生地感の薄手のパーカーに柔らかそうな生地のハーフパンツの理さん。こんなお洒落な部屋着がこの世に存在していたのですか?僕は知りません。
そして緊張感ゼロの理さんは、タケさんの前にいる時のようです。
なんでしょうか甘えんぼオーラがでていまして、ミネさからコンビニ袋を受け取ると中のパンツをみて大笑い。
「なんだよ、パンツもお揃いか?あははは。」
雑味ゼロ、魅力度MAX、すさまじい破壊力。収まりかけたドキドキがまたもやぶり返す。かわいくなってますって!理さん。あのデキる男満載の理さんの格好よさを知る身としては、このギャップは反則技です。
こんな姿を晒して、旨い旨いと自分のつくった料理を食べられたら、そりゃあ飯塚さんじゃなくたってゲイじゃなくたって・・・陥落します。
恐るべし最強の「陥落カップル」鎮まれ心臓。惚れるな僕、勘違いはいけない!気を引き締めろ!
「顔まっかっか、かわいいなあ~ハルは。」
ニヘラのノー天気オーナーめ!今の僕がどれだけ苦境に立たされているかわかりますか?
ノンケには・・・わかるまい!うううぅぅぅ
つづく
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