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november.18.2015 Happy birthday,Mamori
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「占いってバカにしてたけど、けっこう当たってるのかもな。」
ようやく少し落ち着いたので、そんな話題を振ってみた。
朝起きてちゃんと「おめでとう。」は言った。日曜日に出かけるから、なんだかその日が誕生日本番みたいな気分になってしまって、めでたい日だというのに俺は自分の悩んでいたことを衛に聞いてもらう結果になって、なんだか申し訳ない。
背中をトントンしてもらって、どっちの誕生日なんだよ・・・という現状はさすがにごめんなさいだ。
ワインで乾杯しなおして、仕切り直しをして・・・正明がくれた紙を取り出す。
「それは、北川からの占いだろ?」
「そうなんだよ。でもなんかさ・・・当たってる。俺よりも衛のほうがドンピシャ感がある。」
「どれ、見せろよ。」
「やだよ、俺が読み上げてやる。」
紙を取ろうとする衛を遮って朗読してやることにした。
「11月18日生まれのあなたは、思いやりを忘れない、優しい心の持ち主です。
ほら見ろ、しょっぱなから大当たりだろ。」
「・・・そうか?俺はあまり優しい人だと言われたことがないぞ。理限定だと思う。」
なにシレっとこっぱずかしい事言ってんの?というか、そういうの恥ずかしがらずに堂々と言えるのって凄いよな。俺には当分無理っぽい。
「じゃあ、続き。
11月18日に生まれたあなたは、いつも家族や他人を大切にすることを心がけているやさしい人です。
誰かの役に立つことを生きがいにしているようなところがあり、時間さえあれば、自分のことを後回しにしてでも人のために動いています。そんなあなたのところには、たくさんの友人、知人が悩みの相談に訪れます。
その内容は、日常生活の些細なことから、人生を左右する大きな問題に至るまで、実にさまざまです。
もちろん、全てのことを解決できるわけではありませんが、少なくとも親身になって話を聞いてあげることができれば、それだけでも多くの人の心を救うことができるでしょう。
ほら~。さっきまで俺の相談にのって答えをくれたじゃないか。あまりにもタイムリーすぎて逆に怖い。」
「本当にサイトから引っ張ってきた文章なのか?理が読んでいるふりして創作してない?」
「してないよ!それに「家族」ってキーワードまで入っているから、すごいと思わないか?」
「・・・まあな。」
「次は注意点。
しかし、少々心配なのは、あなた自身の身体のことです。自分でも気づかないうちに、多くのストレスを溜めこんでしまう危険性があるからです。人の重い話を聞いてばかりいると、それが負担となり、気づいたときには胃痛が起きたり精神的に不安定になったりと、体調に悪い影響が出てしまうこともありえます。
ですから、人の相談に乗るのは、ほどほどにし、自分の悩みを相手に相談するなど、常日頃からバランスのよい人づきあいをするように心がける必要があります。長くよい関係を保つためにも、お互いが楽しめるつき合い方をしていきましょう。
だってさ。」
「俺に相談してくる人間なんかそうそういない。渡辺と石川はたまに電話してくるぐらいだし、あとは村崎との相談はメニューとか料理のことだぞ?真剣に考えるのは理が悩んでいる時ぐらいだ。
そんなもんで胃腸をこわすほど、弱くはない。」
メニューは真剣じゃないのかよ!と言おうとしたがやめた。仕事には常に真剣なのは俺が一番よく知っている。この項目の心配はしなくてよさそうだ。胃薬を飲んでいる衛なんか見たことないし、風邪だって全然ひかない。
「やってきました、次は恋愛に関して!
このようにやさしいあなたですので、多くの異性からも好意を寄せられます。一見、穏やかな性格に見えるのですが、情熱的な部分を秘めており、特に恋愛においては、その特性が強く出るようです。理想の異性が現れると、ありったけのあなたの思いを、積極的に相手にぶつけることでしょう。そのため、仮に、相手があなたに全く興味がなかったとしても、最終的にはその思いに心を打たれ、あなたに振り向くことになりそうです。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
読んでいる俺のほうが恥ずかしい・・・です。まずい顔が赤くなってきた。
「俺の好きだっていうのが理に伝染したのかもな。」
「はあ?」
「絶対俺のほうが先に好きになっていたと思うし。」
ええっと・・・考えたことなかったけど。どっちが先とか、いつからとか。ドキドキしたり、おっかないとか危ないとかくすぐったかったりのムズムズとか・・・。
それはけっこう前からあって、でも俺は誰かとつきあったりもしていて。
それってすでに好きとか・・そういうことだったのかな。
・・・・・・・。
いや、今があるから、そういうのは考えなくてもいいんだけど・・・。
ちょっと聞いてみたい気もする。
「先か後かはしらないけど、いつからなんだよ、衛は。」
「今にして思えば、長続きしない女との付き合いを見ながら、また3ケ月で別れるだろう、大丈夫だ。なんて考えるあたりが変といえば変だろ?別れるから大丈夫って。普通は長い付き合いになればいいな、幸せになってほしいと思うはずだから、もうそのあたりは完全にアウトだな。」
「・・・・ですか。」
鎮まれ!俺の心臓!血を送るな!顔が熱い!
「思えば最初の時かもな。俺のつくった料理を旨そうに食べた顔。また作ってやるって自然に思った。
その顔が見たいって。」
「・・・・ですか。」
「なんだよ、その気がぬけたような返事は。」
「だって、どうして恥ずかしくないのかと。そんなに堂々としていられるのか不思議。俺は心臓が煩いし、聞いているだけで恥ずかしい!・・・嬉しいけど。」
「嬉しいならいい。」
ああ~~もう!
左手を伸ばしてギュウと衛の右手を握る。
「情熱がなくなったら言ってくれ、善処するから。」
「なくならないよ。」
衛はそういってほほ笑んだ。
確かにね、俺だってなくなる気がしないっていうのが本音だ。
どこぞのバカップルみたいな俺達だけど、それもいいかと思えるから、俺も変わったんだろうな。
帰ってきた時はグズグズしていたのに、今はフワフワしている。
正明に引っ張ってもらって、衛に甘やかされた。
そんな自分でいい。
うん、そんな俺でいい。
Happy birthday!衛
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