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november.23.2015 トアの内緒ごと
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「暇だ・・・。」
プチ連休なる日程にワクワクしたのは日曜の仕事が終わった間際だけだった。
お疲れ様を言いあいながら、15:00過ぎに自由の身になった僕は、映画館のプログラムを確認した。
・・・でも、これといって見たいものがなかった。自宅にあるDVDコレクションから何かを選ぶ気にもなれず、そのままGEOで物色。う~ん、ピンとくるものがない。
漫画でも借りようと思い直し『僕だけがいない街』を借りた。正直絵はとっつきにくい感じもしたけれど、なんとなく気になったから。
そしていつものように一人暮らしの家に帰り、借りてきた漫画を読み始めた。
借りた分をすべて読み終えたとき、自分の浅はかさにかなり腹が立った。
なんと、これはまだ連載中の漫画で完結していなかった!どうしてくれよう、この気持ち!
最初の印象は覆され、どんどんストーリーに引きこまれてしまった。
そして面白かっただけに・・・消化不良。
一気読みした、この先は1冊刊行されるたびに読む羽目になる。
浦澤さんの『MONSTER』状態だ。1冊ずつ発売になると漫画喫茶に行って読む。しかしその前の展開をちゃんと覚えていなかったり入り組んでいるので、前の巻を読むことになる。それを毎回毎回完結するまで繰り返した。それからは完結したものにだけ手をだそうと決めたのに~~何故!一生の不覚。
「1月からシーズン3が始まるので、見ておきなさい。」
そう言われてミネさんから押し付けられた「ブラックリスト」という海外ドラマのDVD。もちろんミネさんの手によるCSの録画。いりませんとは口が裂けても言えない。
ノリノリな気分ではないけれど暇よりずっといい。ということで缶ビール片手にのんびり見始めたら!なんとこれが面白いのです!おまけに主演はジェームス・スペイダーじゃないですか!
1話を見終えて一時停止にしたのちDVDコレクションの中から探し当てました。『セクレタリー』
ジェームス・スペイダーの恋愛映画・・・といいっていいのか。自傷癖の主人公が自立を決意して弁護士事務所の秘書になる。しかし上司であるこの男は陰湿ないじめのような「教育」で彼女をおいつめるのだが、なんとどんどん苛められて快感を覚えてしまうのです。ドSの上司とドMの秘書。「ここを離れるな。」と上司がいえば、机にすわったままです。食事もしない風呂もはいらない、あげくトイレまで・・・。
僕なら間違いなく愛よりトイレをとりますが・・・。
しかもこの二人やっている「教育」という名のプレイはとんでもないのに、心は純情という性質の悪さ。お互い気持ちを打ち明けられない!というオイオイな映画ですが・・・割と好きだったりします。はい。
お返しにこれをミネさんに貸してあげよう。喜んでくれるといいけど。
おっと道草はいけない!
そこから10話ぶっ続けでみてしまいました。もう寝ようと思うのに止められない。
窓の外が明るくなるし、ベッドからひっぱってきた布団にくるまっていても寒い。しかも身体のアチコチが痛い。嫌がる脳みそを捻じ伏せて床に転がってテレビに背中を向ける。
ああ・・・こんな生活じゃ結婚どころか彼女さんも遠いな。
寝入りっぱなに考えるには、ちょっと寂しい現実だったり。
【ピンポーン、ピンポーン】
んがっ!首痛っ!
音がしていのは間違いなく自分の部屋で、ノロノロ起き上がる。
ドアスコープの向こうには宅配のお兄さんがいました。ええっと、何頼んだっけ。
「お届け物で~~~す。」
「はいはい、すいません、お待たせして。」
「アマゾンからお届け物です。」
下駄箱の上においてあるガラストレーに指をつっこむ。小銭や鍵にまぎれていたシャチハタを取り出し受領印をポンと押した。
「ありがとうございました!」
小走りに遠ざかって行く足音を聞きながら思う。あのお兄さんはいつも小走りだなと。まあ、どうでもいいことなんだけど。
届いたのはDVD。
『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』というタイトルのフランス映画。映画館でみたとき、けっこうな掘り出し物だと嬉しくなったっきり忘れていた。でもハルさんに見せてあげたいなと一昨日あたりに思い出して速攻発注したことを忘れていました。
これでハルさんの感想がきけます。楽しい中休みになりそうです。
・・・そういえば、今日は店にストーブが入る日だった。たぶんミネさんは立ち合いで出勤しているだろう。これ以上この部屋にいたら「ブラックリスト」に灰にされてしまう、それは不味い。シャワーを浴びて、ミネさんにDVDをお届けしよう。
「ヘンテコだけど好きだ。」そんなふうに『エターナルサンシャイン』のことを言ってくれたから『セクレタリー』も気に入ってくれるかもしれない。ヘンテコというか変態・・・ですが。
さて!シャワー浴びましょう!
「おはようございます!」
「あれ?どしたの?」
思った通りミネさんは店にいて年賀状の宛名書きをしていた。店内には作業服の男性が2人でストーブに取り組んでいました。
へえ、格好いいストーブじゃないですか!鋳物っぽいです!まさか薪ストーブ?
「することもなくてですね、それに「ブラックリスト」がすごすぎて朝まで見てしまったら、なんだかこの興奮を放っておけなくて。それとジャームス・スペイダーのDVDをお届けにきました。
僕も宛名書きしますよ。」
「暇なの?」
「ええ、それもものすごく。」
ミネさんはニヘラっと笑って立ち上がった。
「トア、コーヒーでいい?外寒かったろ?雪だし。」
「いえいえ、自分で淹れます。宛名書きの分担を分けてくれませんか?その間にコーヒーもってきますので。」
「さっき落したからさ、ポットまんま持ってきてくれる?」
「了解です!」
そのあと黙々と宛名書きです。ミネさんは絶対手書き!に拘ったので一人一人コツコツ書くことになりました。なんでも理さんと飯塚さんはお泊りデートらしく(ちょっと照れました。)ハルさんは実家に顔だしにいったようです。ミネさんは宛名を書くので、あとの3人に一言メッセージを分担させる!と息巻いております。
「住所と名前、それと一言メッセージ。どっちが文字数多いのかな~。」
なんて別に答えをほしがっていない独り言をポツポツ挟みながら穏やかに休日は過ぎていきます。
ストーブに目を向けると黒い本体に黒い煙突が入口上の位置に開けられた穴まで繋がっていました。
へえ~なんか煙突って雰囲気がありますね。
「ミネさん、なんかいいですね。」
「ああ~思ったよりね。夏は暑苦しいかもしれないけどオブジェとしてゴリ押しする。」
近くで見たくなって、傍に行くとドンと黒いストーブがいい顔をして座っています。もとは6人掛けのテーブルだったけど寒い場所で落ち着かない席。どうしてもという時以外は案内しない席。
でもここに座れるお客様をお待たせすることになるのも心苦しいですよね。
ミネさんは作業の人と確認をしているから、間もなく終わるだろう。宛名書きをしながら居残るのかな。
せっかくだから、ちょっと遅い昼を食べにいこうかな。
・・・あれ?ちょっとひらめいた!
「トア~。もう書くの飽きたし作業は終わった。無事ストーブさんが仲間入り。なんか食いにいく?腹減ってない?」
「ミネさん!!」
「はい?!なんでしょうか、トアさん。」
「ちょっとした思いつきなのですが・・・・。」
僕はその思いつきをミネさんに言ってみた。最初は「?」だったミネさんの顔がどんどんキラキラしてくる。やっぱり、あったらいいと思いませんか?思いますよね!
「トア・・・君は素晴らしい!寸法計ろう。そして昼飯はあとにしてお出かけしよう!」
「どこにですか?」
「そりゃあ、もちろん、この素晴らしい案を実現させるためにお買いものに。トアは言いだしっぺなんだから付き合いなさい!」
「え?ミネさんの好みでいいじゃないですか。」
「なにいってんの~。こういうのって相談してあ~だこ~だ言いながら決めるのが楽しいんだよ?
うわ、もしかして俺達カップルに思われちゃったりして!ま、いいけど、トアなら、男前だし。」
「ミミミ・・・ミネさん!なにをおっしゃるのですか!」
「ニャハハハ~。でも俺の本心だもんね~。うし!善は急げだ、トア、メジャー持ってきて!」
ということで、僕は初めてミネさんと「お買いものデート」しました。
ブラックリストの話しをしたり、持ってきたDVDのあらすじをちょっと教えたり。
友達とも、同僚とも、彼女とも(そりゃあ、ちゃんといた時期もあるのです!)違う、なんだか素敵な時間で、楽しい休日になりました。
さて、僕達のお買いものが何だったか?
それはそのうち皆さんも知ることになるでしょう。
それまで内緒です!
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