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happy new year の男前
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大晦日の引き渡しを終えて理は実家に帰った。
引っ越しや転職の事をちゃんと両親に伝えるつもりらしい。
鼻水をすすりながら家に一人で帰り、紅白が始まる前に寝てしまった。気が付けば日付が変わっているという間抜けな年越し。
さむっ・・・。風呂に入るか。
少し熱めの湯につかってボーっとする。
31日の朝から暖房がいっさいない寒い店内で過ごしたから冷えて当然だ。
北海道は冬こそ食品に注意だったりする。半袖でアイスを食べるくらいに暖房を効かせるから、物が腐りやすい。
仕出し物は自分達の手が離れたらもうどうにもできないから、引き渡すまでは最新の注意を払うのだ。
「氷点下の外よりマシ!ぐだぐだ言わない!」
こういう時の村崎は厳しい。ちょっとくらいいいかな~なんて言いそうなのにそれがない。
だから信用できるし、一目置いている。
今年の暮れも…極寒の中で盛り付けかよ。『暗黒の12月』とは村崎の言葉だ。
非常に共感できる。365日先のことを考えてウンザリしてどうするんだ、俺。
身体が温まり、することもないのでベッドにもぐりこんだ。
精神安定剤のように俺を落ち着かせる温もり。
目覚めるギリギリの所を漂いながら、温もりに自分の鼻先を寄せて包まれる-大好きな匂い
柔らかいものが額に触れたのをきっかけに一気に覚醒した。
目の前には理の顔。
「あけおめ。」
ん?もしかして元旦ずっと寝たまま過ごしてしまったのか?
たしか2日に帰ってくるとか、そんなことを言っていたような。
「お~い。寝ぼけてんのかよぅ。新年早々失礼だぞ。」
やっぱり理だ。
ぎゅうと抱きしめて確かに存在していることを認めて安心する。
「帰って・・・きたの?」
「おう、報告も終わったし、コンビニは開店だろ?俺することないし、お前の顔を元旦に見たいってのもあってさ。なんせ「一年の計は元旦にあり」だよ。
今日逢わなかったら、なんか縁起悪いなって考えちゃったら、居てもたってもいられなくって。」
背中に回される腕の確かさ。
俺だって逢いたかった、実家に帰るなって言いたかった。
(面倒くさい女みたいだから、さすがに我慢したけれど。)
「親にちゃんと言えたんだな、なんか言ってた?」
「別に何も。家賃が助かるな、よかったなって。仕事に関しては自分が決めたことだから全うしなさいって。一応報告したから、肩の荷が降りた。
それはそうと、お前なんで素っ裸なんだよ。パジャマ着ろよ、風邪ひくじゃないか。」
あ・・・風呂あがってそのままだった。
「帰ってきてソファに転がってそのまま寝ちゃってさ。気が付いたら年越ししてた。
んで体が冷えてたから風呂はいって落ち着いて、また寝た。まだ寒い。」
「あああ?新年早々風邪とかありえないって。元旦から風邪ひいたら一年グズグズ野郎じゃないの?それまずいでしょ、さすがに。」
当たり前のように首筋に手の甲を当てる。
初めてこうやって体温の確認をされたときは不覚にも赤面した。なんだか懐かしい。
「熱は無いね。逆にいつもより低いかもしれないな。」
服を着たままベッドにもぐりこんでいた武本のボトムからシャツをひっぱりだす。
俺の意図がわかったのか、手首を掴んで抵抗を始めた。
「ちょ、なにやってんの!」
「寒いから。」
「はあ?」
「何にもしないから、理であったかくなりたい。」
盛大に顔を赤くしながら、ヘタくそなしかめっ面をつくる。怒っているぞ!なポーズだが、あくまでもポーズにしかなっていないし、俺はこの顔が大好きだ。
かわいくて噛り付きたくなる。
「しょうがないなあ・・・もう。お年玉だからな!」
ブツブツ言いながらモゾモゾとボトムから足を引っこ抜いてシャツのボタンをはずし始めた。
迷わずその隙間から手を差し入れる。
「おいこら!」
「手伝ってやるから。」
鎖骨に唇をおとせば、理の身体から力が抜ける。
さくさくと服を全部脱がして胸と胸をぴったり合わせた。
伝わる体温・・・もらう鼓動。
「理、今年もよろしくお願いします。」
「・・・お、おう。」
明確な意図をにじませて背中に手のひらを滑らせる。
「ちょ、なに!」
「一年の計は元旦にあり・・・だろ。今年一年、理が俺を欲しがってくれますように。」
首に巻きつく力強い腕。
「じゃあ、お返し。今年一年、衛が俺で一杯になりますように。」
何てことを言いやがる!
そのまま体勢を反転させてシーツに理を押し付ける。
「ご希望どおり、証拠をおみせしましょう。俺で一杯にしてやる。」
触れあう唇ははじまりの合図。
二人の一年が続いていく・・・そんな素晴らしい新年の朝。
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