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january.9.2016 ハルのてへへ
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「そういや、ハルの卒業式っていつ?」
「どうでしょう。3月の20日前後だったような・・・なんかそのあたりですね。」
「まだまだ先だな~。」
新年があけたSABUROは静かです。仕事始めで忙しい人が多いのでしょうか。それとも年末年始でお金をいっぱい使っちゃったのかもですね。帰省したりすれば交通費もかかるし、親戚があつまればお年玉だってあげなくちゃいけない。お年玉といえば、僕も今年で最後です。もう来年からはお年玉をあげる立場になるってこと。弟は「5千以下は受け付けません。」なんて生意気なことを言いました。
自分でバイトをして、5千円稼ぐ大変さを思い知った方がいいと思います。思いますよね~。
卒業式か・・・。なんだかあっけないものですね。大学生活が終わろうとしていますが、僕にとっては理さんと知り合ってからの日々がいっぱい詰まっていて、学校のことはあまり思い出がない。
コンビニでバイトしていた頃が懐かしいです。
まだあの頃は理さんと飯塚さんは仲のいいお友達だったっていうのが信じられないです。なんだか最近の二人はピッタリすぎて怖い。ベタベタしているわけじゃないのに、なんだろうな・・・磁石でくっついているような・・・。
恋は実ってからが大変!なんて聞きますけど、あの二人に限ってはまったくそんなことがないですね。
僕もあんな風になれるかな・・・うっ、いけません。これ以上考えては駄目です。
穏やかに毎日を過ごす、そしてミネさんの笑った顔を見る。仕事を頑張る。今年の僕の抱負はこんな感じです。
多くを望まなければダメージも少ない。ローリスク、ローリターン。
まずはここから始めます、はい。
「いつ引っ越しするかね。北川君。」
「は?」
「なんか家賃もったいなくない?3月まで今住んでいるところに居なくてもいいんじゃないの?って気がついちゃったの俺。」
「僕は全然気が付いていませんでした。なんとなく4月くらいから?とか。」
ミネさんはマグカップを両手で持ちながら僕を見た。いつも手を温めるみたいにマグを握るんですよね。僕のクリスマスプレゼントは毎日ミネさんとチューしてるってことです。・・・言う事までミネさんっぽくなってしまった。気をつけなくっちゃ。
「今月の26日から『ブラックリストシーズン3』がはじまるわけよ。シーズン1とシーズン2を見ないでシーズン3なんて絶対ダメだよな。だから俺我慢してシーズン3をせっせと録画しようと思ってさ。それでハルは早目に引っ越しをしてきて、シーズン1と2をシーズン3最終回までに見るっていうの、どお?」
どお?と言われましても。
『俺ハルと一緒に住むの楽しみなんだよね、早く越してこいよ!』的じゃない・・・ですね。全然違いますね!海外ドラマのスケジュールありきですか!
「僕の都合はナシですか。」
「都合あんの?」
うううう・・・ないです。全然ない。単位も卒論も問題ない。ほぼ学校にいかなくていい状態に整っています。僕の卒業までの予定は、ほぼ毎日SABUROに来る。これ以外に都合も予定もない。
「俺よくわかんないけど、卒業旅行とかいかないの?」
あ・・・なんか皆盛り上がっていましたね。海外いったり、温泉いったり、沖縄とか。一応誘われたけど、なんとなく返事を渋っているところです。
仕事を休むのは気がひけるし、費用もかかる。コツコツためた貯金で行けるけど、なんとなく気がすすまない。就職の話題以来、なんとなく友達関係が面倒くさかったりしています。
「一応誘われてはいますけど、あんまり気が進まないというか。」
「そうなの?でもあれよ?この仕事しちゃったら、どっか行くとか不可能に近くなる。日曜ランチのあとの月曜休みのプチ連休しかないから、海外とか行けなくなるし。行きたい所あるなら行っておいたほうがいいと思うな~。」
理さんと飯塚さんが実行した「ゴージャス割烹旅館登別の旅」ぐらいでしょうね、プチ連休で行ける所といったら。
温泉か~いいですね。ポカポカです。そして寒い時期の露天は最高です。バリバリ氷点下の温度だから頭や首筋が超冷たい。でも露天に入っているから寒くない。それで延々露天につかっても湯あたりしたり逆上せたりしないのです。気持ちいいですよね~いいな~ゴージャス割烹旅館!
「ミネさん、提案があります。」
「はい、なんでしょうか北川君。」
「今年はSABUROの皆で、慰安旅行しませんか?」
「慰安旅行?」
「プチ連休でもいける所に皆で行って息抜きをするのはどうですか?今年が無理でも来年はいきましょう!そのために毎月積み立てをすればよくないですか?3000円ずつでも1年たったら36000円になります。ゴージャス割烹旅館も夢じゃないですよね。」
「おおおお!!!」
ミネさんはワシャワシャと僕の頭をグシャグシャにした。タケさんカットが!
「なるほど、そういうご褒美があったら色々頑張れそうじゃないの!俺なんか修学旅行以来何処も行ってないのよ。うわっ!なんかワクワクしてきた。
温泉は絶対サウナ付のところにしちゃおう。」
年末以来、ミネさんのマイブームはサウナらしい。僕はサウナより氷点下外気で露天風呂派です。
「誰が一番長く入れるかっていう競争をビールを賭けてするのはどうかな。食事はバイキングじゃなくて勉強できるような料理のほうがいいだろうな。そうなったらオーベルジュでフレンチとか?
しかし和食も捨てがたい。」
なんでしょう、この子供みたいにキャッキャしているの。
なんだか可愛いから、僕もつられてニコニコしちゃいます。
「よし、積立プランの回覧をつくって皆に提案だ!ついでに行きたいところのリクエストも募ろう。今年がだめでも来年は絶対どこかに行くことにする。
そうだな、夏は皆でバーベキューくらいしたいよな。おじさんの庭借りればいいか。」
「慰安旅行は高村さんも誘いましょうよ。」
「そうだな・・・。ハル。」
「なんですか?」
「そうなると・・・ハル父もセットで来そうな気がするのは俺だけ?」
「はっ!」
「だろ?なんかそうなったら広美さんも誘いたくなるよな。」
・・・何を言い出すのですか。
「そうなったらハル弟も混じった方がいいかな。」
「・・・ミネさん?」
「あ~まあ~これは可能性の話しってことで。でもアレだ慰安旅行と積立、バーベキューは決定。
それとハルの引っ越しだ。もう来月くらいに越してこい。家賃がもったいない。2ケ月の家賃なんか、アレだろ、3000円積立2年分以上になるだろ?うわ~~もったいない!
ということで引っ越しの荷造り、コツコツするように。あとご両親にも引っ越し時期の通達をすることだな。うし、なんか今年、俺すっげ~~前向きになれそうな気がする。
この気持ちを持続できたらミネベーダ―にもならないで、年末を乗り越えられる気がする!
コーヒーおかわり!」
ビシっと立ち上がって厨房にむかうミネさんはスキップしそうな勢いだ。
ミネさんと一緒に暮らす。
てへへ。
ちょっとくらいニヤけてもいいですよね?
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