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january.31.2016 明日は何の日?「ニオイの日」
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「衛、ちょっと買い物つきあって。」
賄を食べ終わって皿を洗っている時に理に声をかけられた。振り向けば、ちょっと買い物いこうぜという顔じゃない。やたら真剣で何やら切羽詰まっている様子に不安が押し寄せる。
「何かあったのか?」
「なんもない。」
「ほんとに?」
理は横に立って洗い終わった皿を勢いよく拭いたあと、所定の場所に戻した。明らかにおかしい、いったい何があったというんだ。
「早く、上着着て。時間がない。」
何を買う?時間がない?時計は15:00を少し回った時間を指していた。これといった仕込みはないから17:00くらいから活動開始になるだろう。18:00のオープンまで今日はノンビリできると思っていたのに買い物かよ。
理はドアの所にいて「衛と出て来る。」なんて言っている。わけがわからないまま、俺は上着を片手に厨房を出た。あっという間に外に出てしまった理を追いかける。
そしてタクシーに押し込まれ・・・俺達が向かったのは店でもなんでもなく家だった。
◆◇◆
力の抜けた理をしっかり抱きかかえながら、気だるさに身を任せる。
嵐のような熱波は過ぎ去ったようで、理の顔は穏やかだ。
俺に両手を絡めたまま体重を預けてくる。壁にもたれてその重みを受け止めるとホっと一息溜息がでる。ようやく整った呼吸を感じながら、どのくらいの時間がたったのかと考える。あっという間のような、でもそれなりの時間だったような・・・わからない。
「抜かないと・・・。」
「ん・・・。」
「中に出しちゃったし。」
「ん・・・。」
「出さないと、腹をこわす。」
「ん・・・。それはまずい・・・けど、あと5分だけ。」
肩口に押し付けられた額。頭のてっぺんにキスを落す。ぼんやり玄関のドアを見ると鍵がかかっていない。そんな暇もなかった。誰かにドアを開けられたら大変だった。脱ぎ散らかされた2足の靴がバラバラに転がっているし、ボトムはぐしゃぐしゃのまま丸まっている。
さっきまで感じなかった床の冷たさが、むきだしの下半身に刺しこんできた。
「理・・・もう動かないと。床が冷たい。」
「俺は冷たくない。」
そりゃあそうだ。俺に乗っかっているのだから。
「手ぶらで帰るわけにはいかないから、何か買って戻らないと変に思われる。」
「三越のジョアンでパンを買う。今日から新商品が販売されるらしい。お客さんがそんな話をしていた。」
「仲良くパンを買いに行った?恥ずかしいなそれ。」
「盛ってヤリ帰りしましたってバレるよりずっといい。」
・・・まあな。
何が何だからわからないまま自宅に戻り、玄関のドアを閉めたとたん、噛みつくようなキスをされた。押し付けられた体は熱かったし、すでに反応していたから理の意図を理解できた。
理はようやく腕を解き、俺の顔を見た後視線を下に落とし顔をしかめた。
「白衣、取り替えなくちゃダメだね。」
「だろうな。」
「昨日洗濯してよかったな。」
いつもは月曜の休みに一気に掃除と洗濯をするのがきまりだ。でも昨日に限って理は洗濯をはじめたのだ。しかも帰ってからの夜に。男の勘?
「乾いているかな。」
「乾いてなくても着なくちゃね。俺の洗濯も役にたったかな。・・・衛?」
「なに?」
ふわりと触れる優しいキス。
「気持ちよかった。」
何を言い出すんだ!反応しそうになって無理やり転がった靴に視線を合わせる。理の顔を見たら今は不味い。
「正明とトアのおしゃべりのせいなんだ。なんでも明日の2/1は「ニオイの日」らしい。」
「そうか。」
そろそろ動かないと、本当に不味いと思う。(色々と)
「トアがさ、僕は無味無臭です!って言って、正明が「味」ないのですか?いやいやエンタメ味があるじゃないですか。そんな会話。それで俺、いきなり衛の匂いと味・・・を思い出しちゃって・・・スイッチが入った。」
くそう・・・無理だ。制御不能。
「ちょっと衛・・・なに。」
「なにじゃない!理のせいだ!」
結局パンを買う時間はなかった。
村崎が「あれ?買い物じゃなかったの?」と理に聞き、理は「気に入った物がなくてね。」なんてサラリと返していた。
男の性もなかなか大変だ。おまけに男が二人・・・。
たぶん、これからもこんなことが起こるだろう。
明日は休み。
ちゃんとベッドでたっぷり・・・。
そして、何となくまだ乾いていない白衣のまま夜の営業を乗り切った。
早く帰りたい、帰りたいばかりを考えながら・・・。
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