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February.8.2016 ソバカスさんのご来店
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「いらっしゃいませ。」
「Hello~~。」
はい、見るからに外国の方です。そしてお一人様です。フランク・・・です。
「Table or counter?」
お一人様ですかトークをとっさに英訳できない僕は単語を並べました。これが精一杯です。
自慢じゃないですが、僕は色白さんです。でもこうやって実際見ると、やっぱり僕達は黄色なんだなと実感。本当に白い、というかピンク?外は寒いし。ソバカスさんですね、僕初めて見たな、ソバカスさん。背は僕より少し大きい位かな。え?僕?・・・165cmですが、なにか?
はい、おっしゃるとおりテンパっています!
くるりと店内を見回して指を差したのはカウンター席。ソバカスさんの視線の先は飯塚さん。ここのスタッフで一番はっきりクッキリは飯塚さんですからね、わからないでもない。
こちらにどうぞって英語でなんていうの?わかんない!
「ご案内します。」
僕は日本人だから日本語しか話せないのです。6年間も勉強して何故英語が話せないのか不思議ですよね。なんのための授業だったのだろうかと思います、はい。今猛烈に疑問です。
カウンターにご案内してホっとため息。
「メニューと水、俺だすよ。正明、お客様ご案内して。」
ドアをあけてまたもやお客さんがご来店。本当に本当に人が多いです。おまけに今日は月曜日なのに営業なんですよ~~。そして11日は祝日なんですよ~。雪まつりごとどっかに引っ越ししてくれないかな、なんて思っちゃいます。
そして僕は気が付いてしまいました。SABUROのメニューは英語表記がない!テーブルにお客様をご案内して急いでお水を取りに行く。とにかく回転させなくちゃ、お客様は減らないのです。
カウンターでは理さんが対応していました。ビシっと日本語のみのメニューを出して。
「I can’t read Japanese.」
ですよね・・・。
「Sorry.I can’t speak English.」
「You speking!!」
一瞬理さんがヒクっとなったのがわかりました。他の人を騙せても僕は騙せませんよ。素早く立ち直った理さんは堂々と言いました。
「ランチメニューは4つ。パスタ。カレー。ハンバーグ。ヒレカツです。」
日本語・・・ですね。
「I like soba and curry!」
「それではカレーをお持ちします。しばらくお待ちください。」
蕎麦は無視ですか・・・。パスタは蕎麦とは違うからいいのか。麺ならヌードルとか何とか言うだろうし。なんといいますか、「ここは日本だ、日本語を話しやがれ」的なオーラが理さんから出ているような気がします。
空いた皿をさげてきたトアさんに聞いてみた。
「トアさん英語は?」
「まるでダメです。」
「あんなに映画見ているのに?」
「そんなこと言ったら映画評論家や映画ファン全員ペラペラになりますよ。」
「あ~そっか。」
「だから僕は聞くだけで英語が話せるようになるっていうのに懐疑的です。対訳がないと無理でしょうね。対訳があってだったら成立するかな?あ、いらっしゃいませ!」
おしゃべりしている場合じゃない。
それこそ働いて、お客さんを回転させなくちゃ。回転、回転。
13:30を過ぎるとようやくひと段落です。
先ほどすずさんがいらっしゃいました。カウンターでコーヒーを飲んでいたソバカスさんと何やら楽しそうにお話し中。やっぱりすずさん、英語もいけるようです。
「実巳君、とっても美味しかったって。」
「それはそれは、サンキュ~です。」
ミネさんが言うと、英単語も全部日本語に聞こえます・・・。
「飯塚君が格好いいって。」
「へえ~まあ、一番凸凹してるしね、パーツが。俺なんか超日本人ですからね。」
「何言ってるの、このカウンターに沢山いるじゃない実巳君ファン。」
そして僕は再度目撃。本日二度目の理さん「ヒク」っとなる巻。飯塚さんは無表情。ホントにこういう話題になると飯塚さんは鉄仮面に変身します。時折見せる理さんにデレっとした顔、あれと比べたら別人かと言いたくなるくらい。
カウンターのお客さんが眺めるだけで何も言わない気持ちがわかります。ゾッコンの本命以外相手にする気がありませんオーラが猛烈ですからね。特に鉄仮面中は。
「一息つきましたね。」
「ですね、でもまだ夜がありますよ。」
「さっきの話しですが、映画を見ていて覚える英語は変なことが多くて役に立ちません。」
「え~どんなのですか。」
「『おひかえなすって。』ヤクザ映画ででてくるじゃないですか。あの字幕がhow do you doだったときの衝撃。そんなんでいいのか!とか、あと Do you want Fuck って太鼓腹のおっさんが言って、僕その時食事中で皿見ちゃったから字幕読み損ねたのです。こんなおっさんが男娼なのか?と思って巻き戻したら字幕は『なんか用かニイちゃん。』だったんですよ!
ね?役に立ちそうにないですよね。」
・・・なんかそれ、トアさんだけな気がします。目のつけどころ(あ、耳か)がズレまくりじゃないですか?
「字幕なしで映画を見たい願望はあるんですけどね。石川遼君も使って話せるようになったらしいので、あの教材試してみましょうかね。」
「なんか最近無料でお試しってCM結構流れていますよ。」
「お試ししてみようかな。レビューを調べて考えます。」
「僕にも貸してくださいね。」
「ですね。でもまずはレビューです。」
せっせと皿をさげてしまおう。洗い物をしないとシンクがとんでもないことになっているし。
落ち着いた店内を見回してトアさんと理さんにまかせて大丈夫だと判断。皿洗い部隊になるために厨房に入った。
「正明、皿は俺が洗うよ。」
「いえいえ、大丈夫です。」
「俺が大丈夫じゃない。」
僕はマジマジと理さんの顔を見てしまいました。そこには不愉快全開のニガにがフェイス。向こうからは見えない胸の前で背後を指差します。
あ~ソバカスさんとすずさんですね。
「しつこいんだよ。大和撫子を見習え。」
こわ・・・。
「お店が終わったら何処か飲みにいきませんかって聞いてくれっていうのよ。飯塚君には本命がいるから無理だと思うよって言ったんだけど。」
成程・・・すずさんもちょっとお困りな様子。
「無理ですね。忙しいので。」
鉄仮面&超棒読み。怖くて理さんの顔を見れません。ミネさんだけニヤニヤしているから、なんだかこの厨房空気悪すぎというか・・・イヤ~!
僕はホールに避難しました。
フランクでアグレッシブ・・・ですね、ソバカスさん。
わしゃわしゃ皿を洗いながら背後の会話にダンボな耳の理さん。顔が店内に向いていなくてよかった。優しくてクールという理さんのポジションが消滅するところでした。あんな不愉快極まりないお顔で「しつこいんだよ・・・。」なんて言われたら、いやはや恐ろしい。
カウンターのお客さんの前に飯塚さんが立ちました。
「申し訳ございません。ご一緒できません。」
こちらもがっつり日本語です・・・。
横ですずさんが小声で伝えています。それを聞いたソバカスさん、目の前の飯塚さんに手を伸ばしました。理さんの派手にたてる水道の水音が怒りのバロメータですね。
飯塚さん一歩さがって襟元に手をつっこみ何やらとりだしました。
「an engagement ring.」
一言そう言って、チェーンを通した指輪にキスをし・・・ました。はい、しました・・・。
鉄仮面は消え去り、それはもうトロトロの優しい顔で・・・。
僕の方が猛烈に恥ずかしいのは何故でしょうか?理さんにキスするときはあんな顔でするんですね。
今、理さんにキスしてるつもりですね!ですね!飯塚さん!ウキャ!
さすがのミネさんもこれ以上大きくできないってくらい目を見開いています。
カウンターや店内のお客さんから「ほう」ってタメ息。
すずさん、目がキラキラ。
ソバカスさんは肩をすくめる、あの外国の方のポーズです。仕方ないわね~。これじゃ無理ね、他を当たるわ、なんてセリフがぴったりな。
飯塚さん一礼して背中を向けました。そして当たり前のように理さんの隣にいって皿洗いを始めたのです。いや・・まあ、仕事ですから皿洗っても不思議じゃないですよね。ええ、そうなんですけど。
僕はトアさんを見ました。
トアさん、驚きというか照れくさいという顔、いや二人並んじゃっていいの?と僕に聞いているような感じ。
僕もちょっと首をかしげて返事の代わり。
ミネさんを見ると苦笑いしつつ、なんで並んでのよ、このタイミングで?的な顔。
お二人の事情を知っている僕達三人が視線を飛ばしあうという奇妙な時間。
とうとうソバカスさんがお帰りです。
理さんは颯爽とキャッシャー係として厨房からでてきました。
そしてソバカスさんに満面の笑みで「またお越しください。」と言ったんです。
なんか、京都のぶぶづけがどうしたこうしたってアレを思い出しました。
だって僕には「二度と来てはいけません。俺のものに手出し無用。」って聞こえましたから。
飯塚さんはやることが大胆すぎです。理さんへの想いの深さを改めて認識しました。僕はあんなこと恥ずかしすぎてできません!
そしてやはり・・・モンキー理さんは怒らせないほうがよろしい・・ですね。
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