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February.24.2016 期限が迫るがまとまらず
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「ハル。しってるか?」
「なにをですか?」
「もうね、2月24日なるわけよ。そしてね2月は29日までしかないのよ。」
「・・・はい、そうですね。」
「なんか俺が聞いたのは今月末までには引っ越しますとか言ってなかったけ?」
「・・・はい、いいました。」
「でもさ~さっき電話しているの盗み聞きしたってか聞こえたんだけどさ、来月一杯で退室します的なこと言ってたよね?俺の空耳。」
やはり・・・聞かれていたのですか。ですよね。
「あの、ミネさんの所に行くのが嫌とかそういうことじゃないのです。」
「じゃあ、どういうこと?」
「引っ越しの準備が遅々として進んでおりません。僕は物を捨てられないタイプだったようです。いちいち想い出が作業を阻みます。身軽になりたいのに全然で、今の僕の部屋にきたらびっくりしますよ?引っ越ししてきたばかりで整理できていませんみたいな有様です。ダンボールととっ散らかった色々でもう・・・あの部屋に帰りたくない。」
「へえ~。いい方法教えてやるよ。俺の場合3ケ月・半年・1年というくくりをつくる。3ケ月たったとき一度も触っていないものは捨てるかどうか検討をする。ポイっと捨てる物もあるし悩むものもある。悩んだ場合は半年たったらもう一度考える。で1年たっても一回も着てないとか使ってないってものは文句なしに捨てるという方法。」
「あ~なるほどですね。」
「安物買いを後悔できて無駄遣いが減るし、物が増えないからおすすめ。」
「へえ~そういう方法もあるんですね!」
「おう!頑張れ!君は俺の同居人になるんだぞ、それも早くな。」
ど・・どうきょ人。同居人。同棲じゃないから!
ふーふーふー。
「俺我慢できなくてハルに買ったベッドにゴロンしちゃったぜ。あれはいい、次買い換えるとき俺も同じの買おうと思ってる。」
ベッドがお揃いですか!よりによってベッドが・・・。
ゴロンしちゃった?僕のベッドに寝たってこと?ちょっとだけゴロゴロしたってこと?
ふーふーふー。
最近の僕は一日に何回もふーふーふーです。
メンタルを鍛える日々を送れば飯塚さんみたいな鉄仮面を装備できるでしょうか?
聞いたら怒り出しそうだから黙ってますけどね。
帰宅してみればやはり同じひどい部屋。
留守中に小人さんか妖精さんが荷造りしてくれないだろうかと、もはや逃避と妄想を繰り返す毎日です。
本の選別は一番最初に着手したのにいまだに終わっていない。売らねばならぬ、いや売れぬ。この繰り返し、いっそうのこと持って行けばいいのか。でもまだ増えるだろうし。ああ!そっか実家に送ればいいんだ、実家実家・・・だめだ。あそここそダメだ。
僕は実家をでるときお気に入りコレクションを選別して部屋に置いてきた。たまに帰ってきたら読み返すのに持ち帰ればいいと思って。
しかし・・・です。
「部屋に置いて行っておまけにダンボールにつっこんでいるからいらないと思って売っちゃったわよ。」
あっさりそんなこという母親に憎悪を覚えたあの瞬間。
「いるんだったら本棚に並べておけばいいのに、ごみみたいに梱包してあるから。」
うわ~あの怒り再燃!メラメラ。
結局自分で始末つけないといけないということです。
ミネさんは捨てる必勝法なるものを伝授してくれましたけど、3ケ月とか半年スパンの長期選別法は今の僕にはミスマッチです。
こういうことは理さんですよね。なんでもテキパキさくさくしちゃいそう。
捨てるなんて悩むことなくポイポイしそう。羨ましすぎる!
一緒に過ごしてきた物を捨てるというのは時間や思い出を捨てるのとは違うってわかっているんですけどね。恋愛のもつれで一人暮らし。マスターに優しくしてもらって、あのお店でガス抜きを覚えた。
ここに住んでいたから飯塚さんと理さんに逢えた。
コンビニからの帰り、「bright」からの帰り、学校からの帰り。僕はいつもここに一人で帰ってきてベッドに潜りこんで朝を迎えた。こまごまとした色々な物と・・・服と・・・本と。
それが変わる。
たぶん僕の生活が大きく変わるタイミングなんでしょう。ミネさんへの想いを飲み込んで、たとえ少し苦しかったとしても傍にいることを僕は選んだ。
選んだからにはちゃんとしたい。
できるかどうかの不安もあるし、実はそっちが大きい。だからこの慣れ親しんだ物から離れていいのか迷いみたいなものがあって手を止めてしまうのかもしれない。
でも決めたんだ。
僕は傍にいることを・・・選んだ。
明日引っ越しマスターの理さんに相談してみよう。
誰かの手を借りれば後戻りできない状況に自分を追い込めるよね。
まだまだ弱ちんですけど、僕にだって意地があるし、かわいいけどれっきとした男です!
でも今日は・・・いいか、甘えてしまおう、自分に甘えることにする。
僕はベッドにもぐりこんだ。
あと何回、このベッドに眠るのかを考えながら。
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