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February.29.2016 理の手ほどき
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<2/25>
「引っ越しって面倒ですね。」
引っ越し先輩の理さんにちょっとだけ愚痴りモードで水を向けてみました。物がないと思っていたのに、高校生の時から住んでいる部屋にはそれなりの時間が積み重なっていたんですよね。引きだしやベッドの下の収納に詰め込まれた物の数々。増えてしまった本たち。
家電や家具といった大きい物がないというだけで、細かい物が沢山ある。
ダンボールに詰めていく途中で想い出をひっぱりだしたり、捨てることを躊躇したり。
僕の荷物整理は全然進まず頓挫しております。
「俺一日で終わらせたよ。そうはいってもチョクチョク衛がダンボール運んでくれたから出来たってこともあるけど。ハルのとこ家具がないから楽そうだけどね。」
「荷物の選別がつかないというか、なかなかすすまないのです。」
「んじゃあ、手伝ってやるよ。あれはね他人がいたほうがはかどる。」
「そうなんですか?」
「そうなので~す。」
ということで次の店休日、僕の荷造りを手伝ってくれることになりました。
極意を教えてもらえれば上出来だと思っていたので、これはまさに救いの神!これで僕の引っ越しミッションも何とかなりそうです!
<そして2/29(月)>
「ダンボールが全部半端!随分難儀してるね、正明はチャッチャと済ませるタイプだと思ってたよ。」
はい・・・僕もそう思っておりました。しかし真逆だったようです。
そして並んで腕組みして立っているお二人。理さんだけかと思っていたのが甘かった。飯塚さんもセットでご訪問です。テキパキしないと怒られそう。
「じゃあ、まず衣類からやっつけるか。床のダンボールよけて、衣類関係全部出して。」
指示されるままに収納BOXをひっぱりだしクローゼットをあける。
「よしじゃあ、これを全部4つの山に分ける。
1、 これは絶対のお気に入り。誰が何を言っても手放しません。
2、 これはないと困るのでとっておく。
3、 あれば着る気がするけど、どうかな。
4、 これはもういいや。
サクサクいくよ。はい、まずこれ。」
ええ?!僕が自分でするのではないのですか。どうやら僕は番号を言うだけのようです。理さんはクローゼットの中からジャケットをひっぱりだし右手に掲げております。
「それは1です、いります。」
「はい、これ。」
「う~~~ん、3。」
「はい次。」
「それは、いります2です!」
という具合に服がどんどん4ケ所に分類されていきます。いやなんだか自分の服の備蓄を見られるのって恥ずかしくないですか?ちゃんと洗濯してますけど、なんだかね。
無事選別が終わると、次のお達し。
「じゃあ、この先3日間で必要な服のコーデをまとめてくれるか?下着も忘れずにね。それを・・・このボストンにいれてしまおうか。はいどうぞ。」
言われるがままに洋服をボストンに詰め込む、旅行にいくわけでもないのに荷造り。気分は夜逃げ?
詰め終わると飯塚さんが床にしゃがみ込み、1と2の山をどんどんダンボールに詰め込んでいきます。
あわわ、僕がやりますって!と飯塚さんに手を伸ばしたら理さんに首根っこをむんずと後ろからされた。
「うがっ。」
「まだ終わってないの。正明、それじゃ3の再選別をするよ。次は「いる」「いらない」を直感で決めてしまおう、いくよ。はいこれ。」
「い・・・らないかな。」
「はいこれ。」
「あったほうが、いいか・・・な。」
そんな調子で、あれだけ手こずった服の荷造りはあっという間に終わってしまった。
『なんということでしょう~。』というテレビ番組のナレーションが頭の中に響きましたよ、本当です。
「それじゃあ、本いくよ。本は持っておきたい、売ってもいい。この2択。」
「理、本は難しいぞ。全部持っていたいものだ。」
わかりますよ、飯塚さん。ですよね、全部買ったものだしとっておきたいです!
「じゃあ、こうしよう。もう一回読む、たぶん、もう読まない。衛、これならどうだ!」
「・・・それなら、出来る。」
「正明もできるな?はい、これ、もっかい読む?」
「・・・読まないです。」
そうやって本の山も2山に。
日用品も2山に。
ありとあらゆるものが2山に変身して、僕の部屋はダンボールだらけになりました。ボストンバックは服や必要な日用品と読みかけの本や充電器といった最低限の物が入り込みパンパンです。
3時間ばかりで、この有様です。さすがサルは聡い!犬にはできません、こんな事。
理さんはスマホを取り出し、誰かに電話をかけ始めた。
「お疲れ~。今どこにいるの?ああ、そうなの。いやさ、正明の荷物まとめたんだ。割にスムーズで、なんなら運んじゃってもいいかなって。あ、そうしてくれる?正明の家に衛もいるから人手は問題ないし。トア?ああ、そうだね。終わったら皆でメシ食うのもいいね。え?いいの?
うわ、楽しみだわ。じゃあそういうことで。」
通話終了~と呟きながらタップしてスマホはポッケにイン。
「話はまとまった。この段ボールは今日中に移動しちゃいます。ミネがトアを拾ってこっちに向かってくれる。車だすっていうから何往復かすれば余裕でしょ。
それで正明とトアと俺はここを掃除しちゃって、飯塚とミネは晩飯担当。
皆でご苦労さんと正明引っ越し記念を祝う会を開催。さあ、気合いいれて働くよ!」
なんでしょう、この手際の良さと潔さ・・・。
沢山のゴミ袋をみれば、随分身軽になったことに気が付きます。というか・・・引っ越しってこんな簡単にできるのですね!驚きです。
そんなこんなで、いつもと同じ月曜日が僕の引っ越し記念日になりました。
⇒<引っ越し記念日>につづく!
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