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March.27.2016 トアの電波デビュー その2
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「章吾始まるわよ!」
「わかった、わかった。美也ちゃんの企画だからってそんなに意気込むなよ。」
「確かに美也だけど、きっかけは私だし。おまけに実巳君にとっても一大事。あのお店が有名になるかもしれないのよ?」
「俺としてはあのままでいてくれた方がいいけどな。」
「まあ・・・それはそうなんだけど。」
私としては心中複雑だったりする。あの店に人が大挙して押し寄せて、有名なお店になって欲しい。そして沢山の人があの場所で笑顔になればいいと思う。本気でそう思う。
でも章吾の言うように、知る人ぞ知るって所であって欲しくもある。切っ掛けを与えてしまったのが自分だから、今後のSABUROを思うと心配もあったりする。しかし賽は投げられた、もうどうしようもない。それに美也が手ごたえを感じているらしから、局内でも評判がいいのだろう。反響は気になるところだけど、まずはオンエアを確認しよう。
VTRはなかなか洒落ていたしトア君がとても自然。SABUROの雰囲気もちゃんと出ているし、働く女性のちょっと疲れた時の癒されるひとときを描いているは好感が持てる。スポンサーの名前もわざとらしくない。これ誰が構成したんだろう・・・・美也じゃないことは確かなんだけど。
「へえ、これローカルのワンコーナーの割にはいいじゃないか。毎週見てもいいかな。」
「章吾でもいけるってこと?じゃあ男性でもOKってことなのかな。」
「問題ないと思うな。頑張っている女性、自分の身近にいる女性のことを思い出す男がいるかもしれないぞ。奥さんや恋人、友達のことをね。そういうことを日曜に考えるのはいい事に思えるし。
これ男性バージョンがあってもよくないか?「彼女と喧嘩しちゃってね。」「奥さんを怒らせてしまったんだ。」そんな男性がトア君に聞くんだよ。「仲直りの切っ掛けになるような映画ありませんか?」ってさ。男バージョンも捨てがたい。」
「章吾!さすが章吾!」
私はギュウギュウ章吾を抱き締めた後、スマホに手を伸ばした。
「おい、直美、今電話はいらないだろ?」
「今のアイディア、美也にメールしなくちゃ!」
「じゃあ、さっさと送りなさい。」
「なんで?」
「抱きついて俺をその気にしたのは直美だぞ?」
顎をすくわれて軽く唇が重なった。
「・・・章吾。」
「ほら、早く。」
逆上せたように顔が熱いままスマホを操作する。メール画面に移動したら章吾がスマホを取りあげた。『章吾のアイディア。男性バージョンもいけると思うの。午後に電話するね。』簡潔なメールが送信された。
「中身は電話で言えばいい。さて移動だ。」
立ち上がった章吾に腕を引っ張られて立ち上がる。
なんでこんなことになっちゃったんだろ・・・断る理由もないけれど。
まさかトア君にこんなパワーがあったとは・・・。
私、見くびってたかな?
余計なことは後で考えよう。今は章吾のことだけでいい。
キュッと手を握ると握り返されることに心が浮き立つ。
やっぱり、章吾は最高の男よね!
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