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March.27.2016 トアの電波デビュー その3
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夕方に鳴った電話。掛けてきたのは高村さんだ。
高村さんの依頼があって今日UPした日記に関しての状況を聞かせろという電話だろう。結果は高村さんの狙いどおり・・・とはいえ、私的にはしっくりきていない。しっくり・・・というか割り切れない感じ。
「よかったんですか?これで。」
私の第一声はちょっとつっけんどんになってしまったけれど仕方がない。
『ああ、いいんだよ。』
「私、あそこはオープンにしたくなかったのに。」
『それはお前の都合だろう。あの店はもっともっといい場所になる。そしてそこに来る客が何かを拾ったり掴んで帰るんだ。そしてそれがまた誰かに繋がる。そのためには種まきをしなくてはな。
それに今や世の中「中食」時代だ。』
「なかしょく?」
『外食ではなく、家で食べることだ。』
「それ普通に家で食べる御飯じゃないですか。」
『違うんだよ。惣菜や弁当を買って家で食べることを言う。料理をするってことじゃない。外食に出なくなっているのは現実で、祝い事があって家族皆で食事に出るよりオードブルを注文する数がけっこう多いわけだ。
SABUROも同様で客数は伸びているが、今後のことを考えると食べに来てくれる客も、オードブルや弁当を頼む客も増やしていきたい。』
「なるほど。」
高村さんが無駄なことをするはずもなく、データを取ったうえでの動きなのだろう。中食ね~、その単語の意味をしらずに中食三昧の人間は沢山いるだろう。外食と違って着替える必要もないし、一人でも問題ない。テレビを見ながら好きなものを食べられる。食器を洗う必要もない。
「ブログで以前紹介したお店がテレビの撮影に使われたようです。都内じゃありませんよ。を含んだ今日の日記にコメントが沢山つきました。高村さんの言ったとおりです。さっそく北海道の人でしょうね、番組を見た!というコメントが続々きて、見られなかった地域の人の熱望やそのレスで大盛り上がり。
15:00にはネット上に映像がUPされているから見放題状態。局が削除するでしょうけど。」
『おまえのブログはすっげ~のな。』
「一応・・・反響は色々ありますから。将来のことを心配するのはわかりますけど、あまり露出しなくてもSABUROは大丈夫だと思いますけどね。」
10秒ほどの間。まずい事言ったわけではないはずなのに、何かしら。
『あの店は本当ならな、20代の頃に作り上げて自分達の手で育てるはずだった。でも俺は一抜けしてしがないサラリーマンになったわけだ。』
「高村さんがしがない?有り得ないでしょう。そんなハードルあげたら、世の中かゴミか塵かって男だらけになりますよ?」
『お前は相変わらずだな。さっきの話しに戻すぞ。本来ならもっと昔にやらなければならないことを今やっている。その時間は戻せないのさ、残念ながらな。俺にとっては落し物を探しているようなものだ。絶対に見つからない落し物ってやつだ。だから当時出来ていたであろうことをひたすら追い求めている。これでいい、今のままでいい、そう考えてしまったら退化してしまう。退化は過去に戻ることではない。退化は劣化と同義で、過去は想い出の意味だ。
俺の想い出をちゃんと形にしなくちゃいけないんだ。実巳の父親とその兄貴の為に俺はSABUROを特別にする義務がある。
だから、お前の力が必要なんだよ。』
・・・まったく。
石田さんといいこの人といい、北川さんも!どうしたらこの人たちに抵抗できるというのか。仕事をすれば抜群に楽しくてウキウキする。こういう心の中を時たま見せるものだから、絆されてしまうわけで・・・ホント性質が悪いオジサマ達だこと!
「わかりましたよ・・・仰せのとおりにいたします。」
『助かるよ。お前の構成力はピカイチだ。頼りにしてるぜ。次も頼む。』
で・・・結局私は全力を出すはめになる。
でもいいか・・・誰かの役に立つのなら。
特にそれがオジサマ達とSABUROの為となれば持てる能力を発揮するべきだろう。
さて、トアさん。次は何にしましょうか?
どんな映画がピックアップされるのか。私はそれをかなり楽しみにしている。
だって今回の映画も期待を裏切らない洒落た一本だった。
・・・SABUROに行きたくなってきた。
フライトの予約をするためサイトに移動。
ほらね、こんなちょっと考えたくらいで飛行機に乗れちゃうんだから・・・もう充分特別な場所になっていると思いますよ?高村さん。
トア君と打ち合わせもしたいし丁度いい。そう理由をつけてフライトの予約をする。
何かを拾ったり、掴んだりか・・・。
今回の訪問は私に何を気づかせてくれるかしら。それがとても楽しみ。
誰が何と言おうと、SABUROは特別な店に決まっている。
「私だけの」じゃないあたりが、少々悔しいけれど。
私と同じように残念に思ったり、悔しいなんて考えちゃう常連さんが一杯いるんだろうな。
高村さんの目指す「特別」はどこにあるのだろう。
たぶん私には想像のつかない高い所にあるはず。焦らず自分のペースでオジサマ達について行こう。
切れたスマホを指で弾くとクルクル回る。それを見詰めながら、また一つ肩の力が抜けたことを自覚した。
高村さん自身が高い場所で特別なんじゃないの?
そんなことを考えながら回転をやめないスマホをずっと眺め続けた。
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1月にUPした「ほうほうが形になった」でこの番組の内容を書きました。
忘れてしまった方もいるかもしれないですね。私も委細を忘れてしまっていたので読み返しましたw
レンタル屋さんの名前とか、すずさんのお友達の名前なんだっけ?とか。
本日はサブキャラさん達に登場してもらいました。(久々の西山です)
明日はトアの視点でUP予定です。
更新が不定期かつドカっとなりまして申し訳ないです。毎日更新できるのが一番いいのですが、なかなか上手くいかないもので・・・。
3月ももうすぐ終わりですね。決算やら新学期に進級、入学、転勤。
慌ただしい時期で季節の変わり目、花粉症などなど外的攻撃を受けやすい身体を労わってあげてくださいね。
北海道は桜が咲くまで、たっぷり一か月あります。春を楽しみにしつつ更新がんばりま~す。
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