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may.2.2016 9:54am トア
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10:00少し前に店に行くと、すでにいい香りが漂っています。
「おはようございます。」
「トアさん、おはようございます。」
厨房では何やら忙しげにしているハルさんがいます。てっきりオーブンの前で本を読んだりしているのかと思っていました。予想が外れたようです。
「何をしているのですか?」
「常備菜作りです。毎週月曜日ミネさんと作るのですが、今日は僕一人で頑張ってみます。というか頑張っている最中です。」
鍋の中で豚肉と厚揚げがクツクツ煮えています。うわ、美味しそう。小皿に少し煮汁を入れてくれました。
「トアさん、味見してください。」
「もちろんです!」
フーフーしてから煮汁を口に含むと・・・おおお~これはなんとも優しい味じゃないですか。出汁?なんか旨みがすごいです。
「美味しいですね!旨みがある。」
「相乗効果らしいです。」
「なんの相乗効果ですか?」
「ええとですね、まだ覚えたててこんがらがるのですが、昆布の旨みはグルタミン酸で、カツオはイノシン酸というらしいです。それが合わさるとすごい旨みになるとか。だからカツオと昆布の出汁は最強なのです。グルタミン酸単独の時より100倍違うと数値化した人もいるらしいですよ。」
「えええ!そんなにですか!」
「そうなのです、それでイノシン酸と豚肉がこれまた相乗効果があって、旨みが7倍になるらしいです。」
「凄すぎる!知らないで食べていました。」
「だからただ厚揚げを煮るだけじゃなくって、豚肉も加えてカツオと昆布のダシで煮含めると格段に美味しくなるのです。そしてこの厚揚げ「江別の大豆でつくった生揚げ」っていうのですが、これ美味しい厚揚げです。ちょっとの工夫と理屈がわかっていると、いつもより美味しいものが作れるという仕組みなんですね、料理って。」
「ハルさん・・・それ全部ミネさんから?」
「そうで~~す。色々勉強になります!」
素直だ・・・素直ですね、ハルさん。対してミネさんスパルタですね・・・テクニックだけではなく知識や仕組みまで叩きこんでいるとは!
タッパーには湯気をたてている「おから」とこんにゃくが料理されたものがあります。8:00にはターキーを焼き始めると飯塚さんが言っていました。ターキーをオーブンにいれたあと、一人でずっと料理していたのですね、ハルさん。
「最後にスリゴマを入れます。」
鍋にスリゴマを結構な量いれました。
「ゴマ、身体にいいですからね。それにただの厚揚げ煮よりずっと美味しいです。」
「いや・・・すごいですね、ハルさん。」
「ミネさんの教え方が上手なんでしょうね。」
いえいえ、僕はこんな短期間でここまでは無理です。沢山切ったりしなくちゃいけませんよね。おまけに出汁?ひけるわけがない。いいです僕は「ほんだし」で。
ハルさんは出汁をひいたあとの昆布とカツオを包丁で細かく切ったあと鍋で料理し始めた。
「無駄なく食材を頂くのが村崎家のしきたりだそうです。」
「そんな~ハルさん、ミネさんのお嫁さんですか?村崎家のしきたりなんて言っちゃって~。」
ハルさんの肩がピクっとしました。あれ?なんで?僕変なこといいましたかね。
「あははは。ですね。」
やけに乾いた笑いですよ、ハルさん。
話題を変えよう、話題を!バイ・ザ・ウェイ!
「僕、買い物行ってきていいですか?」
「あ、魚肉ソーセージですね。」
「あとペンネもです。」
「ちゃんとお留守番していますから、いってらっしゃい。」
そそくさと店を出た僕は気を付けようと今一度自分に確認です。
ハルさんにミネさんとのこと不用意に言っちゃダメってこと。なにが悪いのかよくわかりませんが、ハルさんが気まずそうになることは避けたいですよね。
実はスパルタにホトホト疲れているとか?
毎週月曜に色々作るから遊びにいけないな~とか?
違う気がする・・・。
まあ、どっちにしてもハルさんがミネさんのお嫁さんになることは絶対ないでしょうからね~。
ハルさんも冗談として笑ってくれたらいいのに。
さて、ソーセージ何本買いましょうか。
・・・ターキーの脇だと、かなり貧弱な姿だろうな・・・ギョニケチャ。
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