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may.17.2016 むくむく膨らむ好奇心
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「そんで?昨日は何してたわけ?」
トアは壁を背にして逃げ場がない。俺はトアの肩をポンと叩いて聞いてみた。何故そんなことを聞いているかって?
昨日の月曜日の朝っぱら、おじさんから電話が来た。
『悪いがちびっこを借りるぞ。』
・・・・?
何故ハルを?なんで?
?だらけの俺の頭の中を覗いたのか、おじさんは電話の向こうでクスクス笑っている。笑われる覚えもなければ、ハルの借しだし要求はさらに解せない。
『安心しろ、ミツも一緒だから。』
・・・・?
トアも一緒?なんで?
「んじゃあ、俺も一緒でいいですか?」
『ダメ。』
くそう、なぜに即答なわけ?
『SABUROの為だから。安心しろ。』
そしてハルは出掛けて行った。「ミネさんの為になるって言われちゃったら僕断れませんし。」そうすまなそうに言うハルを見て、魔道士の野郎!となったがハルが悪いわけじゃない。
「俺のために頑張ってきたまえ。」
そう言って送り出した昨日の午前中。仕方ないから一人で買い物行って、一人で料理を作って、適当に掃除したり洗濯をした。そんなことをしていたら誕生日のことを思い出したり。つまんね~~って思った一日のスタート。サプライズによって俺の気持ちは最高に盛り上がったけど、今日はサプライズがある予感がない。
チンタラ進めた作業は効率が悪いし楽しくない。空腹で酒のんじゃったり、賄が面倒でカップメンばっかり食べている料理人はけっこういたりする。拘束時間が長いし休みも少ない、おまけに体を壊すと収入がない。いやはや何十苦なの、俺・・・いや、まだ健康だし、そうならないための食生活だ。
まあ、明日の朝は「いただきま~す。」とハルが言ってくれるだろうから・・・頑張ってやっつけるか。
などとくだらない思考を回しに回しつつ作業をこなした。
そして15:00すぎに帰ってきたハルは少々お疲れぎみだった。当然俺は聞くだろう?
「んで?ハル、なにしてきたの?」
それに返ってきたのは・・・
「言えないのです、お願いですから聞かないでください。高村さんの厳命には背けません。」
はああ?おじさん・・・なに企んでるわけ?ハルとトア二人セットで?
「でも僕、精一杯頑張りましたよ。ミネさんの為だと思って乗り切りました。」
そんで結局俺はそんな可愛いこと言うハルをそれ以上困らせることができないので、山ほどある質問を飲み込んだってわけ。
しか~~し、相手がトアならもう少し突っ込めるだろう。明日問い詰めてやる!と決めて翌日を待ちに待ったというわけだ。
それで冒頭のトアを壁ドンでもないけど、隅っこに拉致したので~す。
そしてデジャブな返答。
「言えません。高村さんには頭があがらないというか下げっぱなしです。僕は逆らえないのです!!」
「へえ~トアさ、俺とおじさんどっちが大事なわけ?」
トアは目を虚ろにしながら身体の力を抜いた。
「ええと・・・そういうセリフは女性に言って欲しい度NO.1ですが、まさか同性の・・・それもミネさんに言われると何だか複雑ですね、僕は何と返したらいいのでしょうか?」
質問返しの技を使いやがった。大人は無意識にこれをやるよね~やるよね~。
トアを追いつめたら最終的には口を割りそうだけど、それをしちゃったらヒトデナシなのは俺ってことになる。トアもハルも店の為に何だかしらんが頑張った。俺はそれを知りたいっていう好奇心のみ。そうなると立場が弱いのは俺だったりする。
まあ、いっか・・・糸口はもう一つある。かなり手強いが・・・。
トアを解放したあと、ニコニコ笑顔をはりつけてサトルの前に座る。ノートパソコンから視線をあげたサトルは俺の顔を見ておかしそうに笑った。含み満載の笑顔は手強いの最上級っていう感じだ。飯塚はこんな顔したサトルをどうやってギャフンと言わせるのだろうか。
「問答無用!」なんて言いながらチューしちゃうとか?
・・・・・。
本人目の前にして、よく知った男とチューな図を想像するって、するって!おいおい!ダメだろ俺!
「どうしたのミネ。変な顔しちゃってさ。」
「いえ・・・どうもしません。」
「まあ、だいたい察しはつくけどね?」
え・・・。変なイマジネーションが画像で現れたとか?(そんなわけない。)
「昨日のことだろ?」
「おじさんから何か聞いてる?」
「んん~~報告だけね。電話でちょろっと。かなり乗り気みたいなんだよ。」
「乗り気?誰が?」
「レンタe-zo。」
あ~あの番組のスポンサーか。な~んだ、それならそうと言ってくれればいいのに。
ん?
ん?
トアはわかるぞ、なんてたってレギュラーだしブログも担当している。それでなんでハルがそこに居る必要があるわけ?
「次のエピソードにハルもセットで登場とか?西山さんのシナリオがそんなだったとか?」
サトルはパタンとノートパソコンを閉じるとニヤリと笑った。
「さあ、どうかな。でもそれが答えだとしたら、なんでここで撮影しないのかな~って俺なら思うけど?」
・・・俺だって思うよ、それくらい思えます!
「俺もよく知らないんだ。たぶんトアも正明もちゃんと聞いていないと思うな。充さんだけじゃないかな、全部わかっているの。」
「サトルも知らないということ?」
「そ、ざっくりしか知らない。相当ザックリ。さて仕事しようかな~~。」
サトルは椅子の背もたれに掛けていたギャルソンエプロンを手に立ち上がった。話しはこれでお終いですよ、さあ仕事しましょうオーナーシェフ!漫画ならそんな吹き出しに文字が並んだことだろう。
俺の謎に答えはなく、好奇心はブラブラと宙ぶらりんのままだ。
この先なにが待っていると思います?
皆さん知ってる?
俺は知りたい!猛烈に!!!
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