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june.6.2016 ハニーマスタード3本勝負 その2
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「ハニーマスタード?」
ミネさんの素っ頓狂な声を朝から聞いている僕です。
先輩が来たあの日、少しおかしかったミネさんですが今はいつもの姿に戻っています。ただ違うところは何故かよく目が合うこと。それは僕がミネさんをついつい見ちゃうってことですが、前より断然タイミングが合うことが多いのです。それで聞いてみたら「ハルがちゃんと見ろって言ったから。」との返事が返って来まして・・・そういう意味じゃないのになって思いながら「見すぎですよ~いやだな。」って言ってしまう僕。
本当は「どうして目が合うかわかります?僕がしょっちゅうミネさんを目で追っているからです、その意味わかります?」と言ってしまいたい。
でもそれって僕が自分で言うんじゃなくて、ミネさんに気がついて欲しい。
だから意地になってミネさんを見る僕なのです。
ああ、ハニーマスタードの件でしたね。トアさんが飯塚さんにレシピを聞いていたので、僕も便乗してレシピをゲットしました。レシピはたくさんあるほうがいいし、どんどん欲しい。
「だめですか?ハニーマスタード。」
「だめってわけじゃないけどさ、知ってる?その料理、サトルを見初めました記念の品だぞ。」
「は?」
「それを旨そうに食べたらしいのよ、サトルが。もっとその顔を見たいっていう動機で餌付けをはじめて惚れちゃったっていう顛末。」
「ハニーマスタードがですか・・・。」
「そ、甘ったるいだろ?あんな鉄仮面のくせに!」
「ミネさん作ってみましょうよ。飯塚さんは甘いもの食べないですから甘ったるいレシピじゃないと思いませんか?僕は食べてみたいです!」
渾身の食べてみたい顔(どんな顔?)をミネさんに発射してみた。ミネさんの眉がぴくっとして少ししかめていた表情が緩み始めた。そのあとちょっと考えてニヤリとする。
「よし、作ろう!ただし飯塚レシピの再現で満足する俺ではない!ミネハルバージョンを構築するぞ!」
僕の頭には見栄晴っていうボヤンとした顔が浮かんだ。その次に巨人のピッチャー高木。
ミネハル・・・この定着は阻止しようと心に決めました。
<<< 少し時間が経って夕方
「うわ!おいしそうですよ!ピカピカ光っています!」
「だろ?俺の手にかかれば飯塚レシピなんか木っ端ミジンコだぜ!」
ライバル意識なのか負けず嫌いなのか、子供みたいです。でもそのモチベーションがスペシャルな料理を生み出しました。ああ~これは今すぐ食べたい!ビールとともに食したい!
赤いお皿にのせると一層映えます、綺麗です。
取り皿とビールをそれぞれ手にしてリビングに急ぎ足で向かって定位置についたら「いただきます!」
パクリ
むおおお~美味しい、美味しい、おいしい!!
「ミネさん美味しいですよ!」
「なるほどだな。はちみつとマスタードがこんなに合うとは思いつかなかった、飯塚め。」
ミネさんは材料から変更しまくりました。
まずジャガイモは「きたあかり」と「インカのめざめ」の2種類使いです。きたあかりは男爵よりホクホクなので食感を楽しむため。インカのめざめは鮮やかな黄色なので見た目にもこだわってということらしい。
くし型に切らずに大きめの乱切りにしてじっくり素揚げ。
そしてベーコンじゃなくてミネさんが選んだのはスペアリブのぶつ切り。軽く焼いたあと、酒と醤油、ママレードを入れて圧力鍋でトロトロに。それをオーブンで焼いたんですよ!トロトロ&カリカリです。
それをジャガイモと玉ねぎと混ぜ合わせて、ハニーマスタード投下!はちみつはアルコールをとばした白ワインでのばしていました。ちょっとのひと手間がポイントです。
「ミネさんが連れて行ってくれたお店のスペアリブより美味しいですよ。」
「思った以上にいい感じになったな、これ。はちみつの甘味が豚肉に合うな。」
ミネさんは僕を見てフニャっと笑う。
「いいよフォークなんか使わなくて。骨付き肉は手づかみが美味しいからさ。」
「はい。」
カリカリトロトロ~~。きっと僕の口は脂でテラテラですよ。でもいいのです、美味しいものを食べているときは形振り構っていられません。
「そんなに旨い?」
「旨すぎです。」
ミネさんはとびきり優しい笑顔を僕にくれた。
「ハルと料理するの最高~。んで美味しい美味しい言ってる顔も最高~。飯塚の気持ちもわからんでもないな。まあ、それがわかっただけでも今日の料理は大成功かな。」
飯塚さんの気持ちって?ミネさん。
「すでにあるレシピを改造していくの楽しいかもしれないな。時々やらない?」
やるに決まってるじゃないですか。僕はミネさんと同じことをするのが大好きなんですから。
「でもミネハルはダサダサですからだめです。」
でも僕の口は別のことを言うんだよね、結構な確率で。
「飯塚のところだとなんだ?マモサト?うわ、かなりダサい。」
「ミネハルだっていい勝負です。」
ミネさんはケラケラ笑って楽しそうだ。それを見て僕も楽しくて嬉しい。この人を誰よりも笑顔にできる、そんな僕でありたいです。
「ハルは最高だな。よし「ブラックリスト」見るか。」
「ですね。その前にビール持ってきます。」
リモコンに手を伸ばしたミネさんを見て僕は立ち上がってビールを取りに行く。
戻ると向かい合わせになっていた取り皿は隣に位置を変えていた。もちろんグラスも。
ミネさんが並んでテレビを見れるように変えてくれたみたいです。
『ハル、隣においで。』
そんなふうい言ってもらえたような気がして笑みがこぼれる。
これからのことはわからない、でも今日はとってもいい日だった。
また明日から頑張れそうです。
ミネさん、やっぱりあなたは最高です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ミネのために弁解を一つ。
「木っ端ミジンコ」はおやじギャグではありません(笑)
相原コージという漫画家の「コージ苑」という作品にでてくるフレーズです。ミネ自作の言葉ではありませんよ~。
「勝手にシロクマ」を書いた人ですが聞いたことありませんか?この方も北海道出身です。
山本直樹も北海道・・・やはりフロンティアスピリッツのなせる業かww
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