アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
july.17.2016 ハルのお泊り 2
-
「いいこと思いついた。」
チェックをしているギイさんが僕の肩をポンポン。いいこと?
「キイは明日休みだろ?」
「ですね。」
「今日一緒に帰ろうぜ。んでヒロの家に泊まれ。」
「は?」
マスターが横で困った顔をしている。僕も同じ顔していますね、きっと。
「儀、いきなり何を言い出すんだよ。」
「ヒロに頼って俺をスルーとか不公平だろ。俺にも聞かせろ、恋バナ。」
ギイさん、声大きいです!!
理さんを見れば、すました顔でカードの処理をしている。ああ~あ、助けてくれる気はないのですね。
「そんないきなり、マスターの都合もあるでしょうし。」
「大丈夫、大丈夫。」
大丈夫って、何故にギイさんが言うんですか!
マスターをうかがうと相変わらず困った顔だけど「しょうがないな」って表情がプラスされていた。たぶんギイさんは言い出したら聞かない人ですよね、絶対そうですよね?
「マスターのご迷惑では?」
「儀は言い出したら聞かないんだよね。もし時間があるなら付き合ってくれる?」
「・・・わかりました。」
「んじゃ、俺たち向かいの店にいるから、終わったら合流な。」
ギイさんとマスターは入ってきた時と同じように仲良く出て行った。
これでまた僕はミネさんと一緒に帰ることができなくなりました。残念なような、ホッとしたような。
恋バナか。
マスターに告白されてギイさんが何を思ったのか、答えをだすまで何を考えたのか・・・それを聞いてみたい気もする。
うまくいっている二人を見たら元気をもらえるかもしれない。明日午前中のうちに帰って、いつもの月曜日をミネさんと始めたら仲直りできるかな。
別に喧嘩しているわけじゃないんだけど・・・。
ああ、だからか。ごめんなさいって言えれば簡単だけど、僕もミネさんもゴメンなさいを言う必要がないから余計におかしい事になっちゃっているんだろうな。
その後まもなくラストオーダーになりお客さんが1組、また1組と帰っていく。最後のお客さんが帰られて本日も無事閉店です。
後片付けを終えて帰るころになってようやく僕はミネさんのところに行った。
「あの、ミネさん・・・僕、今日。」
「あ~聞こえてたよ。合流するんだろ?さっきの人たちと。」
「あ、はい。」
「そんじゃこれ持っていくといい。」
「えっ・・・。」
渡されたのはテイクアウト用のビニールに入った何か。中をのぞくとタッパーとジョアンの紙袋が見えた。
「あの人たちは満腹だろうけど、ハルは違うだろ。ジョアンは月がかわったからね。今月はプチタルトだった。レモンがきいたチーズケーキの味だって。今晩一緒に食べようと思ったんだけどね。
あとタッパーはつまみに何品か。カラ酒は胃袋をダメにするからダメ。」
なんで・・・なんで・・・。
「ミネさん・・・どうしてですか。」
「なにが?」
「どうしてこんなに優しいんですか。」
ミネさんはう~んと言いながら腕組みをしてフニャっとほほ笑んだ。
「そりゃ、ハルが大事だし、好きだから。」
僕と違う好きだから、こんなに簡単に言えるんですね、ミネさん。
ほっぺたをムギュっとされた。
「なんでそんな顔してるの。これから楽しい時間を過ごすんだろ?笑ってないと。」
「・・・僕もミネさんが好きですよ。」
頭をワシャワシャされた。
「そっか~俺たち両想いか。」
そんな・・・簡単に!!
僕の気持ちを知らないからそんな冗談言えるんですね。
「お疲れさまです、ありがとうございました!」
僕はこれ以上ミネさんの顔を見たら変なことを言ってしまいそうだった。
怒ったり泣いたりしそうで怖くなった。
だからぺこりと頭を下げてミネさんの手を振り払って離れる。
好きすぎると・・・一緒にいるのがツライって・・・離れたくなるって
初めて・・・知りました。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
277 / 474