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july.25.2016 ミネのケジメ その3
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「ただいま~。」
玄関で靴を脱ぎながらただいま~を言ったけど家の中はシーンとしている。
うわ、これ相当へそ曲げちゃったかな。いやでもさ、俺なりのケジメもあったし、それを実行するには強い精神力が必要で。あげく日に日にどんどんハルが可愛くみえるだしで、拷問のような1週間であった。でもとりあえず、ハル実家探訪が済んで肩の荷が下りた。
「ただいま、ハル?」
リビングのソファに座っているハルの後頭部が見えるけど、俺を見る気がないのか振り向く気配はない。やれやれ、これはちゃんと話をしなくちゃいけないね。
「ハル?ただいまです。」
俺に視線を合わすことなく膝の上に握っている両こぶしを見詰めている。最上級の拗ね拗ねモードかもしれん。心してかからなくては。
床に腰を下ろして握られた手を包み込んでハルを見上げる。ハルの目からポロっと涙がこぼれて手の甲に落ちた。
「ハル、ごめんって。ちゃんと説明するから。」
「・・・お母さんからメールきた。」
「ありゃりゃ、広美さんに先をこされちゃったか。」
「・・・ミネさん。」
「はい。」
「なんで言ってくれないの?僕・・・ミネさんが僕の好きと違うんじゃないかとか色々考えて、この1週間ずっと苦しかったのに。なんでも自分で決めて済ませちゃって、僕をのけ者。ひどいです、悲しい。僕も一緒に行きたかったのに。」
「ん~ええとね。俺さ、ハルと同居しようと思いますを北川さんと広美さんに言うとき、けっこう偉そうに色々いっちゃったのよ。変な虫つかないように守ります。俺だけじゃなくてスタッフ全員でハルを守りますって。それなのに俺が虫になっちゃったわけだ。だからね、ちゃんとハルの両親に俺の気持ちをわかってもらいたかったの。ハルとの関係を大事にしたいから、絶対必要だったんだわ。」
ハルにギリっと睨まれる。
「じゃあ、そうやって言ってくれればよかったんです。生殺しみたいにして!僕だけ悩んで!」
「言ってもよかったんだけどさ~。言ったらハルは一緒に行くっていったでしょ?」
「言いました。」
「だよね。北川さんと広美さんはハルがお願いしますって言ったら反対できなくなるだろうなって思ったのよ。俺はね、お願いをするつもりはなかったからさ。反対されても引き下がる気はないけど、しぶしぶ承諾なんてのは嫌だったし。ハルが一緒にいなくても二人に「うん、わかりました」って言ってほしかった。俺の変な拘り?我儘?ん~そんな感じ。わかる?」
「・・・なんとなくですけど、はい。」
「そして次がもっとも重要なこと。俺が挨拶ちゃんと済ませてからにします宣言したとするよ。ハルは「そんな順番どっちが先でもいいじゃないですか。」って言うような気がしたのよね。」
ハルは困った顔に変わった。やっぱりね。
「言ったかもしれないです。」
「そうなったらね、ほら俺の拘りというかケジメの危機になるわけ。おまけにハルが可愛すぎて俺の忍耐もちぎれる寸前だったから、もしハルに押し倒されて「いいじゃないですか!」って言われたら、間違いなく「いいと思います!」って言ってたし。
そうなると・・・ほらね、なんかさ、ちゃんと挨拶してからハルとの関係を進めようっていう俺の決意が霧散してしまうわけ。
俺そんなに忍耐力ないから。」
「ミネさん・・・じゃあ。僕が男だし、その・・・男の身体は抵抗あるな。っていうのとは違うの?」
「違うに決まってんじゃん!なに言い出すのかと思えば、ああ・・・俺が言わせちゃったのか。
ごめんな。だって好きっていうのはそれコミで好きなわけだし、好きな相手には触れたいです。
だからハルをちゃんと抱きしめたいよ、俺。」
「ミネさんのバカアア!!!」
ソファから転がり落ちてきたハルを抱きしめる。ちゃんと言えばよかったんだけど、俺の力不足といいますか、ようは決心をあっさり覆しそうだった自分がね・・・弱いな俺。
「ねえ、ハル。」
「なんですか・・・。」
「今晩ハルのお部屋に泊まりにいってもいいですか。」
ハルの体が俺の腕からがばっと離れた。
「ミネさん。」
「なんですか・・・。」
「今晩じゃ遅すぎます。今から遊びにきてください。」
あははは、やっぱりハルは最高だ!
頬っぺたをムギュウとつかんで引き寄せる。そして俺たちは初めてちゃんとしたキスをした。
さあ、ハルのお部屋に遊びに行こうか。
ようやく畳ベッドを堪能できる。
なんてね、ハルを堪能しますのマチガイデ~~ス。
今までは仲良しの挨拶。
これからの「おはよう」と「おやすみ」は恋人同士が交わす言葉になる。
それがとっても嬉しい俺なのです。
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