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september.1.2016 hava nice day!!
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「そうだった!今日は少し早めに出なければ。」
本日理さんの入りがオープンギリギリになるとのことで(高村さんと何処かで打ち合わせらしいです)ホールをハルさんと二人で整えなくてはいけないからです。
だいたい9:00目指しで行くのですが、今日は地下鉄を何本か早めなくては。
チーム厨房は8:00~8:30の間に来て動いています。そしてシェフと暮らしているお二人も同じ時間にやってくる。僕は少し遅めでいいよと言われているのはレンタe-zo絡みの作業をする時間が必要だろう?という理さんの有り難いお心遣いです。ブログのレスや様々な細かいお仕事が増えつつある僕。
ファンレターとかきちゃったりするんですよ!びっくりですよね!長文の返事は難しいのでハガキを用意しました。西山さんの知り合いの方が描いたJ・モローの素敵なイラストの絵葉書。それに3行程度のお礼の言葉でお返事です。レンタe-zoさんも企画を練っている最中らしく、ちょこちょこメールが来たりなんだり。
でも僕の本業はあくまでもSABUROですから。
皆さんの迷惑にならないように日々頑張っています。自分の好きな映画のことですし、頑張りがいもありますよね。
支度を整えて地下鉄駅に向かいます。道路をスタスタ歩いていけばいいのですが、やはり中島公園に入らないと気が済まない僕です。一日の大半をSABUROで過ごしていますし、外にでるのは出勤と帰宅の時だけ。帰りは日付が変わりそうな時間帯でもちろん真っ暗です。季節を感じることができる貴重な通勤時間。色を変えていく自然に触れるって大事だなって思ったのです。これは理さんの実家にお邪魔したりオーヴェルジュに行ったことで物凄く感じたこと。本当に真っ暗で人工の灯りがない空に映る星の綺麗さとか、馬がのんびり草を食んでいる姿やたくさんの緑。詰めていた息がふっと吐きだされるようなリラックスといいますか、あの感覚を忘れたくない。
中島公園の移ろいは僕には毎日大事な時間なのです。
「9月か・・・。」
自然に口をついてでる言葉。まもなく気温が下がり始めて木々の葉が色を変える。冬を目前にした秋は実りと鮮やかな色に満ちている季節。去年はハロウィーンにミネさんがプレゼントをくれたっけ。
1年たつのですね。
僕がSABUROに来てまだ1年と少しだなんて信じられません。いろいろなことがあって、今まで感じたり考えなかったような事に思いがいくようになって・・・好きな映画に関わって。
幸せ者ですね、僕って!
足取りも軽やかに地下に潜り改札をくぐる。乗る車両は一番後ろと決まっています。この車両を降りて目の前の階段を登ればすぐにポールタウンの入り口。朝の貴重な時間を無駄にはできません。
あれ?
あれ?あれれれれ?
どうみても、どうみてもその後ろ姿は・・・坂口さん。
違ったらどうしよう、でもどうみても坂口さんです。ここで素通りするほうが失礼ですよね?そうですよね?
真横に立って横顔を見れば、やっぱり坂口さんです。行先は同じ駅だし、乗る駅だって同じ。今まで時間が合わなかったのは地下鉄何本かの差だったわけですね。
「坂口さん?」
びっくりしたのかサっと僕のほうに向いた坂口さんはすぐに笑顔になった。
「あれ?トアさんじゃないですか。おはようございます!通勤が一緒になるの初めてですね。」
「ええ、僕はいつもこの3本あとなんですが、今日は少し早めに行くことになっておりまして。
坂口さんはいつもこの時間ですか?」
「そうなんですよ。」
「すすきのじゃなくて僕は大通りで降ります。」
「一駅通り越すことになるけど、なんかすすきのは飲みに行くとき以外降りたくないというか、朝から仕事モードをキープするには大通りですよね。」
僕はいつも不思議に思うのです。坂口さんと初めて会ったのはスーパーに買い物に行った時。その次はラーメン屋、そしてその次は住んでいる場所の目の前で。そして今日は通勤時間。
すべてが特別なタイミングではなく僕たちにとっては「日常」である当たり前の時に顔を合わせている。それが一度ではなく何度も。
そして一駅余計に通り越して降りる駅も一緒。
食事も肩肘張らずにお蕎麦屋さん(言っておきますけど、おしゃれな部類にはいるお蕎麦屋さんですからね。「夜まるき」は定期的に開催することになりました。美味しかったし。)
朝のギュウギュウ地下鉄ではちゃんと話をすることもできず。でもドア横の広告にレンタe-zoの掲載があって坂口さんがそれを見てほほ笑んだ。「この後ろ姿、この人ですよって大声で言ったらどうなるかな。」クスクス笑う坂口さんを見て僕はホンワカします。
そうなんですよね、この人は僕をいつもホンワカさせるんです。
押し出されるようにして車両を降りて一斉に階段を登る。階段に小さい文字が貼ってあるのです。
「ここまでであがると1.1kcal」なんていう表示。一番上まで登って確か3kcalだったかな?
3kcal程度なら「エスカレーターでいいじゃないか」派と「されど3kcal」派に分かれそうです。
「この表示見て毎朝思いますけど、いつも乗る車両からはこの階段登るしかないですよね。ここエスカレーターないし。3kcal頑張ったって思うことにしてます、気休めだけど。」
なるほど。3kcal頑張った派もいるわけか。
「ちりも積もれば山となるって言いますから。」
「やだな~トアさん。3kcalなんてご飯粒何粒ですか?」
「いや・・・わかりません。」
「塵すぎて山にはならなさそう~。」
やっぱりホンワカです。いいですね、ホンワカ。
改札をでてポールタウンを歩く。すすきの方向に向かう流れは左側を歩くのが暗黙のルール。坂口さんはシネマレストランの感想を言ってくれた。さすが有名どころのティム・バートン、坂口さんもご存じの監督だったらしく「シザーハンズ」は見たことがあったらしいです。地上波でも何度か放映されていますしね。そしてなんと今までと違い古すぎるとか単館系の映画ではなかった為、職場の人がDVDを持っていたらしい。今日借りることになっていて早速今晩見るつもりですと嬉しそうに言ってくれた。
「是非幸せ気分になって泣いてください。」
楽しみ~と坂口さんが言ったところでちょうど半分。僕は4丁目側から地上にでる。坂口さんは3丁目側。ここで東と西に分かれて、僕たちそれぞれの一日が始まる。
でもなんとなくいつもと違う朝に思えて正直僕は嬉しかった。
「それじゃ、今日もお仕事頑張ってくださいね。」
「ええ、坂口さんも。」
「DVD見たら感想メールしちゃいます。」
坂口さんは手を振って地上に向かうドアをくぐっていった。
感想のメールが来たら・・・思い切って提案してみようかな。
『明日の朝も同じ時間ですか?せっかくだから一緒に通勤しませんか?』
うん、そうしよう。時間決めて玄関を出る。マンションをでて道路にでれば坂口さんがいて・・・。
そして中島公園を歩いて駅に向かう。
僕の一日の始まりが少しだけ素敵になるに違いない。
そして僕はまたホンワカして・・・気持ちが温かくなるのだろう。
SABUROのお客様にそれをお裾分けするのです。
にっこり笑いながら「いらっしゃいませ」に気持ちを乗せて。
「have a nice day」
自然にそんな言葉を呟いてしまいちょっと照れくさくなった。
そうなんです、僕は今すれ違う人みんなにそう声をかけたいくらいです。
ですからあなたにも!!
「have a nice day!!」
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