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september.8.2016 腹のさぐりあい
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「ずいぶん真剣ですね、飯塚さん。」
ミネさんは食後のまどろみ中。というかテーブルに突っ伏して撃沈しています。そりゃあね、さっさと寝ないからですよ。それに付き合っていると僕も眠れなくなるので、そういう時は「自分の部屋に帰ってください。」と言うことにしています。それでもちょっかいだしてくるようならガバっとベッドに起き上がって「ソファに寝ます。おやすみなさい。」で最後通牒。
ここでようやく「わかったよ~ちょっとからかっただけだけじゃないの、冷たいなハルは。」とかなんとか。
この攻防をやっているせいで睡眠時間が削られるのです。
もうね・・・休みの前日以外はサクサク寝ましょうって気分です。体力勝負の仕事なんですから。
撃沈ミネさんを放置して僕は珍しく飯塚さんの向かいに座っています。コーヒーフロートが飲みたい病にかかった理さんにトアさんが付き合う形で30分くらい前に出かけたのです。
とことん理さんはブラックコーヒーが飲めないくせにコーヒーアレンジドリンクが大好きですよね、ラテにコーヒーフロート・・・。僕はアイス食べながらコーヒー飲む方を選びますけど。
そして飯塚さんはスマホに真剣に向かい合ってニヤっとしたり眉間にしわを寄せたいり何やら忙しそうにしている。・・・気になる。
「本の検索ですか?」
「いや違う・・・パーカーだ。」
「飯塚さんがパーカー?」
「いや・・・理のだ。」
ああ、理さんですか。そういえば11月はお誕生日ですもんね、お二人とも。
ん?でも二人で使えるものをお互いに買うっていうのがモットーですよね。僕もそれに準じるプレゼントを考えているんですから。最初は万年筆で、次がグラス。今年はどうしたものだろう・・・。ミネさんと相談してみようかな。
「てっきり二人で使えるものにするのかと思っていました、プレゼント。」
「・・・ある意味俺のためでもある。」
うわ・・・これは聞いてはいけない領域っぽい。へえ~くらい言って無かったことにしてしまおう。このお二人のちょっとプライベートなことを聞くとスタバで再生された脳内映像が再上映されそうになるのです。これはいけません、本当にダメなのです。
「へえ~なんでサトルのパーカーが飯塚の為になるわけ?」
ぐああああ、どうしてここでミネさん起きるの~~。そのままテーブルとデートしていてください。眠いままだと夜の営業に響きますから!
「理はパーカーが似合う。」
「あ、そ、それで?」
「嫌がるけど、フードをかぶせたら殺人的にかわいい。」
うわ~~なにシレっとそういうこと言えるのですか飯塚さん!
ミネさん相手だと恥ずかしくないってこと?
付き合い長いから?
セントバーナードにまたがるモンキー・・・フードかぶったモンキー・・・いやいやダメダメ!
「うわ、かわいいとか言うのかよ。サトルだぞ?かわいいとか、そういうタイプじゃないだろう。」
「そんなことはない。」
無理やり会話に乱入しなければ大変なことになってしまいます!
「僕は時々飯塚さんが可愛いって思いますよ。」
「北川に言われても嬉しくもなんともない。」
「一番かわいいのはハル!これ決定事項。ゆずらないよ、俺。」
「北川は四六時中かわいいでしょモードだが、理は俺の前限定だからレア度が違う。」
「はああ?お前なに恥ずかしいこと言ってるの?ハルは四六時中かわいくて俺の前だと必殺で最強になるんだぞ?知らないだろ。」
あああ・・・みなさん、誰でもいいです。助けてください!!
押し売りセールスマンでも迷惑な人でも誰でもいいですから、このカオスから僕を救い出してください!!
変なところで負けず嫌いを発揮しないでくれませんか?厨房チームのお二人!!
「男相手に可愛いとかな、俺だってハル限定なんだよ!」
「俺だって同じだ。理以外はただの男にしかみえない。」
「それは俺も同じだって。ハル以外はただの男にしか・・・ん?」
ミネさんが僕をピタっと見つめた・・・なんの「ん?」ですか?ロクなことじゃないですよね、たぶん。壮絶にどうでもいいことですよね、この流れからいくと。
「ちょっとまて、ハルは俺限定じゃないってことだよな。俺以外の男子にも素敵~とか思えちゃったりするってことだよな。」
「・・・なんですか、それ。」
「俺のほうこそナニソレ~だって。うわ~ハルは俺限定じゃないってことだろ?メチャメチャ悔しいんだけど。」
「ミネさん、それを言うなら、僕以外の女性に可愛いって思うってことと一緒ですよ。これはお互いどうしようもないことです。」
「えええ~どうしようもないってミもフタもないでしょ、それ。」
「だから僕はつねに女の人に勝てないからビクビクしているわけです。」
「素敵男子に横取りされるかとビクビクしてるよ、俺だって。」
そこで飯塚さんが勝ち誇ったようにニヤリ。男前ニヤリ、それもかなり上から目線のです。
「俺は理限定。理も俺限定。だから俺たちは何の心配もいらない。」
「なんですか飯塚さん!うわ~~なにそれ!」
本当はこれ嫌いだけど、思わず口からでちゃいました。なにそれ~って便利かもしれません。
いや!そうじゃなくって。
いきなりミネさんが僕の後ろにまわり羽交い絞めに。
「ちょっとミネさん、なんですか!」
「よく見ろ、飯塚!」
いきなりシャツをめくられてペロっとお腹が丸見えです。いや!ちょっとなに見せているんですか!僕のお腹ですよ、これ僕のものですから。
「なにやってんだ、村崎。ここ店だぞ?」
「俺は正気だ。どうだ、この真っ白スベスベ感、実際スベスベだぞ?タプタプもしてないし、しなやかだろ?これ見よがしの筋肉もなくて触りたくなるだろう?」
飯塚さんの呆れ顔を正面から見ることになった僕(そしてお腹まるだし)
いたたまれない、恥ずかしい、もうやめて、なにそれ~~
「言っただろ、理限定だって。俺には北川が腹だしているってだけにしか見えないぞ。」
「うぐぐぐ・・・飯塚め。」
ようやくミネさんの力が緩んだので腕の中から脱出です。一体何をさせたいのですか!飯塚さんに見せたって「あっそ。」の反応しか返ってきませんって。
「飯塚・・・腹だせ。」
「はあ?ネジがとんだのか?大丈夫か村崎。」
「飯塚ほどの男前の素肌を見てもハルが「あっそ。」な反応だったなら俺が安心する。というか安心したい。頼むよ、俺はハル限定なのに、ハルは俺限定じゃないわけよ?わかるこの切なさ。」
頭が痛い・・・。
「北川・・・大変だな。こんなのと一緒に暮らしていて。」
「・・・はあ。」
「気が済むまで諦めないのが村崎だしな。しょうがないから腹ぐらいだしてやるよ。」
なんだかんだで二人の付き合いが長く続いている訳がわかりました。普通ここでお腹だしますか?
ヤレヤレ。
そして僕は飯塚さんのお腹を見ることになりました。うっすら腹筋が割れている、素敵なお腹ですが・・・僕にしてみれば変な映像が噴出しないようにひたすらセントバーナードを連想です。
「別にどうも思いませんけど。」
「ほんとか?ハル。」
「ほんとですよ。ミネさんだって女性のお腹見て「おおお~」とか「ええ・・・と」とかあるでしょう?誰でもいいわけじゃないって覚えていてくださいね。僕は十分ミネさん限定なんですから。それを疑うってなんか悲しいです。」
「ほんとだな、ごめんよハル。俺が悪かった~~というか訳がわからなくなってヘンテコになったようだ。ハルが相手だと俺は時に狂う。」
どこまでが真面目で本気なのか・・・まだ僕は把握しておりません。ミネさんは底が深すぎて勉強のし甲斐があります。いや、もしかして浅いのか?う~ん。
「村崎、腹見せろ。」
「は?」
飯塚さん?飯塚さん?何を仰ったのですか?
「前に理が村崎の腹を見たいと言ったことがある。それで喧嘩になりかけた。」
「なにそれ~何で喧嘩議題に俺がなったわけ?」
「うっすら筋肉がついているに違いないとか。想像したってことじゃないか!俺は理以外の裸なんか想像したことがないっていうのに。」
理さん・・なに言ったんですか。セントバーナードの心に楔を打ったのですか?さすがモンキー、種族が違いすぎる。
「単なる言葉のアヤじゃないの?そんないいもんじゃないよ、俺のお腹なんか。」
「いえ!ミネさんのお腹、僕好きです。」
「ハル・・・やっぱハルはかわいい。」
「いいから腹だせ!!」
飯塚さんミネさんの白衣をむんずとつかんで下に着ているTシャツごとまくりあげました。適度に鍛えられたミネさんのお腹~~。僕の大好きなお腹~(お腹以外も全部好き!)
「セクハラだ!気持ち悪いぞ飯塚!恋に狂うと判断基準がおかしくなるんじゃね?」
「さっきまでの村崎と大差ない!」
「ただいま~~~。」
ピキーーーーンと店内の空気が張り詰めた音がしました。
飯塚さんはパっと手を放したのでミネさんのお腹は無事白衣で覆われ、理さんの目触れることはなかったから一安心。僕だって見せたくないですしね。
「なにやってんの?」
キョトンとした理さんとトアさん。
「コーヒーフロート美味しかったですか?」
「うん。で?正明なにがあった?」
「あああ~えええと。」
「ええと?」
モンキーは種族が違う。こういうとき猫は知らんぷりです。犬は命令には逆らえません。
「飯塚さんは理さん限定で、理さんも飯塚さん限定。ミネさんは僕限定、でも僕はミネさん限定じゃないってことになりまして・・・。飯塚さんのお腹を見るはめになり、飯塚さんはミネさんのお腹が見たかったらしく・・という状況です。」
呆れ顔の理さん。そりゃそうですよね、今晩怒られないといいけどね、飯塚さん。
「んで、衛は気がすんだわけ?ミネのお腹がどうしたこうしたってのはもう終わったことだと思ってたけどね俺。」
「・・・そうなんだが、なんとなく流れで。俺も村崎も負けず嫌いというか・・・で。」
「正明に制御できないよ、まったく何やってるんだか。」
「サトルもおなかペロっとしてみる?」
「ミネ・・・するわけないだろ。」
シュタっと手を挙げたのはトアさんだった。
まさか更なる混乱の爆弾をここに投げ込むのですか。もうやめて~~~。
「僕のおなかを披露しましょう。」
「はあ?」←トアさん以外できれいにシンクロ
シャツのボタンをプチプチはずしてTシャツをめくると・・・・めくると・・・
「ええええ!!!」←またもやシンクロ
トアさんのおなかは素敵なシックスパックに割れていた。まさかこんなものを装備しているとは意外すぎて驚き以外ありません。トアさんスポーツとは無縁ですよね?えええ~なんで~~
「重光家の家訓です。『人とは腹を割って話しをしなければならない。』その証に実際にお腹を割るっていう伝統がありまして。本の虫の兄もバッキンパッキンですよ。義姉さんはその意外性にコロっときたって内緒で教えてくれました。役に立つ日がくるか不明ですが僕も備えています。ちなみに翔はすでに100回腹筋できるんですよ。将来が楽しみです。」
トアさんのおうちって・・・ズレていたのはトアさんだけじゃなく一族みんなだったのですか。
いや・・でも確かに「こうみえて脱いだらすごいです。」の意外性はMAXレベルです。
「なにそれ~~~~~!!!」
トアさんを指さしながら絶叫したミネさん。
唖然とする理さん。
なぜか自分のお腹をさすっている飯塚さん。
僕ですか?
ミネさんが触りたくなるお腹だって言ってくれたので、このままをキープすることにします。
でも、ミネさんと飯塚さん負けず嫌いだし。
ワンダーコアとか・・・通販で買ったりしないですよね?
今晩釘を刺さなくちゃ。
「今のミネさんが一番好きです」って。
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