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october.29.2016 寒い朝
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寒い・・・だんだん朝がつらくなってきた。日の出も遅くなるから気温とともに早起きを激しく妨害してくるのです。太陽が弱くなってしまうとドンヨリしますよね、冬季鬱っていうアレでしょうか。
・・・でも、寒いけど温かい、えへへ。
一人で眠っていない事が幸せだ!と一番感じることができるのも冬だったりします!
あ、でもこれ・・・一人じゃない人限定ですけどね。
トアさんにも早くこの幸せな気持ちを経験してほしいのです。いえ、トアさんに経験がないということではなく、特別な人だって感じている人に出会えたわけですから絶対一緒にいられるようになってほしい。
「好きな人に好きになってもらうって、ものすごい難題ですよね?」
トアさんの質問に僕はギイさんの言葉を言いました。「口説いてモノにしろ。」
「くどくぅ??」ひっくり返ったトアさんの声に我慢できずに噴出してしまいました。トアさんウンウン唸りながら「口説きに最適な言葉とは?」「ラブストーリー映画もっと見ておくべきだった。」とかなんとかブツブツ言うわけです。
僕は坂口さんとお話ししたことがないのでどういう人かわかりません。どんな言葉が響くかなんて見当もつかないのです。それはやはり長い時間過ごして色々な話をしたトアさんにしかわからない事ですよね。僕のアドバイスはトアさんに難問をまた一つ増やしてしまったようです。
理さんは「だから秘密だって。」と必殺の口説き文句を言ってくれなかったらしい。飯塚さんがコロっとなるような言葉ってどんな?僕も実は知りたかったりしますが、理さんが言わないと宣言した以上一生聞けないスペシャル口説き文句!気になる。
飯塚さんは「聞くな。」とそっけなかったらしい。しょぼんとしたトアさんに飯塚さんはコッソリ教えてくれたそうです。「俺はシャツをため込んだ。理は包丁をくれた。」
トアさんは言いました。「シャツをため込むって何でしょうね?汚れたシャツでしょうか。」といつものズレ感満載の疑問で頭がいっぱいになったようです。
シャツをため込む?理さんが家に帰っても「シャツがない!」な状況に追い込むためにコソコソとシャツを飯塚宅にため込む?そんなわけ・・・はない。気になるけど聞けない。何故かあのお二人は不可侵の領域がしっかりハッキリあって迂闊に踏み込めないっていう雰囲気があるのです。
秘密の口説き文句・・・ため込んだシャツと包丁、軽くサスペンスです。
だからトアさん、やっぱり自分なりに自分の言葉で坂口さんに「スキ~。」って言えばいいんです!なにそれ~って言われてもめげずに攻めればいいのです。
ワシャワシャワシャ!!
「うわっ!」
「うわっ!じゃないよ、おはようハル。」
考え事に没頭しすぎていてミネさんが起きているのを見逃してしまった!
「お、おはようございます!」
「あ~~なんだハル。俺じゃない男のこと考えてただろ?白状しろ。」
ワシャワシャ!!
「なんでそうなるんですか!」
「だって、ピトっ・・・ミネさんむにゅむにゅみたいなのしてないでしょ今朝。」
恥ずかしい!何言い出すかと思えば、もおお。
「男ってトアさんの事ですよ。ついでに言えば割れたお腹でもなんでもなく悩めるトアさんであって、変なことではありません。そういえば、ミネさんは聞かれませんでした?」
「何を?」
「口説き文句教えてくださいとか、好きになってもらうのってどうしたらいいのでしょうか、というお悩みです。」
「ああ~聞かれた。好きだって自覚してハルさんに言って、ええ~無理ですって言われていたらどうしてました?って聞かれたな。」
無理ですなんて僕が言うはずないのに!トアさんのズレコローマン(←ミネさん得意のオヤジギャグを拝借)
「なんて答えたのですか?」
「好きになってくれ~って毎日頼み込む覚悟だったって言ったよ、正直に。」
えへへ。
「トアさんも頼んだらいいのに。好きになってくださいって。」
「へんな気合で練り上げた口説き文句より、トアらしいと思うけどね。お願いしますってさ。確かに人間情に絆されるってあるじゃない。「好きです」「好きなんだけど」「付き合わない?」って言われたらさ、気にもなるしドキドキもするしテンションも上がるじゃない。一緒にいれば好きになれるもんだし。」
「・・・。」
「どした?そういうもんじゃないの?ハルは違う?好きっていわれたら好きになれそうな気にならない?」
「なんかそれって・・・僕がミネさんを好きなのがスケスケで、それで絆されちゃってこんなことに的なのですか?ショックです・・・。」
「あ~~もう。」
ミネさんはワシャワシャ攻撃をやめて僕をギュウギュウ抱きしめた。耳をかぷってされた後ささやき声が耳元にほわん。
「拗ねてるハル、かわいい。」
恥ずかしくなってミネさんの腕の中でバタバタしたけど離してもらえなかった。耳元ほわん攻撃は更に続く。
「おはよう、おやすみ、おつかれ、コーヒー、なんでも全部どれもこれもハルがいいって思っちゃったのって俺言ったよね?ちゃんと自分から俺はハルを好きになったの。絆されたわけじゃない・・・いや、どうかな、かわいいっ!ってなるのは絆されたのかな。」
どっちでもいいです・・・嬉しいから、どっちでもいいです。
ようやくミネさんの腕の力が緩んだ。少しだけ僕たちの間に距離ができたおかげで、ミネさんの顔がちゃんと見える。
「さっきの絆された~とか好きって言われてその気になったとか、ん?そんな歌あったよな。そうそう、洋食の山藤さんだ、あのひと真狩出身なんだわ。そうなると細川たかしってことになるらしくって。」
僕はミネさんの唇をムギュウとつまんでおしゃべりを止めた。今細川たかしの話をしている場合じゃないのです。
「好きになってその気になるって・・・それミネさんのパターンだったってことですか?手を離しますから正直にお答えください。」
ミネさんはちょっと困った顔をしたけど、茶化す雰囲気はなかった。「はいどうぞ。」と言いながら唇を開放してあげる。
「ん~まあ、そうかな。だからハルのことはレアケースだったから俺いっぱい悩んだりグルグルしたり考えたりしたわけ。ん~でも最終的にはさっきの話じゃないけど「お願いして、断れないくらいお願いしまくる。」という結論に至ったわけだ。逆に「好きになってください」お願いをハルがするから、も~~俺嬉しさ炸裂ドッカ~ンだったなあ。思い出すとニヤけてしまうなあ。」
「女の人に好きって言われた時は言ってください。ミネさんがどうしたいか聞いて自分の方向性を決めます。」
「ああ?何言ってんのハル。今俺はハルで満タン状態なのに、好きって言われてその気になんてならないよ、そんなキャパないし。目の前で細川たかしが歌っても無理。」
「細川たかしはいらないです。」
「はい、俺のテレ隠しです。」
ミネさん今度はやさしく抱きしめてくれた。
「人間ゆたんぽ~~~。」
確かに温かいです。お互いが湯たんぽですよね、温かいって気持ちがいい。・・・でもきっと女の人はこれに柔らかいっていうオプションがつくんですよ、きっと。フワフワぷにぷにしているはずです。ぽっちゃりさんじゃなくたって僕より絶対柔らかふんわり。気持ちよさ度は完全に僕の負けですね。
「ああ~あ、ハル。またへんな事考えてるだろ。」
「考えてませんよ。」
「嘘つけ~~。言いたまえ、さっき俺正直に言ったじゃんか。」
なんか違う気もしますが、正直に言ってくれたのは確かなので言うことにします。
「・・・女の人は柔らかそう。だからきっと暖かくて気持ちいいんだろうなって。」
「ハルだって柔らかいぞ。」
なんでそこでおしりをプニプニするのです!エッチ!
「湯たんぽは二人とも裸んぼのほうが断然あったかいよな。よし!日曜日は裸んぼ湯たんぽデーにしよう。」
「日曜の夜から月曜日に起きる時は・・・大抵裸んぼ湯たんぽ状態ですよ。」
「むふふふ~その通り!だから継続決定ね。さて・・・さみ~けど起きるか。今日という日を始めますかね。」
バフンと布団が蹴り上げられて、一気に寒い空気にさらされてビクっとなった。
いきなりすぎです!裸んぼデーじゃなくてよかったですよ。
ミネさんはウ~~ンと伸びをしながら立ち上がった。
「シャワー俺先ね。ストーブつけておくからもうちょっと布団にくるまってるといいよ。」
ベッドの下に落ちた布団が戻ってきて一安心。上からポスポス叩いてくれたので掛け布団が僕の体を包むようにフワフワになった。
「ハル、それともう一つ言っておこう。」
「なんですか?」
「温かくて気持ちいい、これ正解。柔らかくて気持ちいい、これ否定はしない。」
やっぱり。
「一番気持ちいいのは、一緒にいたい人の体温。その人が自分を想ってくれているっていう温かさ。心を温められるのは一人しかいないの、わかった?」
「ミネ・・・さん。」
「やべえ、なんて顔すんだよハル。この反則大魔王め!」
ミネさんが僕のほっぺにチュっとキスをしたから、僕は迷わず唇に返して首に腕をまわす。
「シャワー一緒に行きます、いいでしょ?」
「さらにおねだり大魔王か!」
ミネさんは笑いながら僕を抱きかかえて引き起こす。それは一緒にいきましょうってことですよね。
「いらん心配してションボリしたときは、俺がハルを好きだってこと思い出してくれる?それで温まってよ。俺はいつもそうしてるから。」
「ミネさんしょんぼりするのですか?」
「そりゃそうよ。ハルに愛想つかされたらどうしよっかな~って。」
「それこそいらん心配です。シャワー行きましょうよ、行かないの?」
ミネさんは困ったように笑って「しょうがないな、まいったね、メロメロなんだけど。」とこれまた恥ずかしいことを言った。
ホントだね、恥ずかしいけどミネさんの言葉を聞くと胸がポカポカします。
ミネさんと一緒なら寒い朝も素敵な朝。
僕たちの朝がずっと続きますように。
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