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november.7.2016 北広島三井アウレトレットパーク 2
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「とっちゃん、あのひとたちなんていっているの?」
翔はしっかり稔明さんの手を握りながら横でピョンピョンはねている。歩くか飛ぶかどっちにしたらいいのにと思う。私には絶対できないけど翔はできてしまう不思議さ。稔明さんが一緒だとジャンプ力も推進力も倍増するのは気のせいではないと思う。
こんなに叔父さん好きな子っているのかしら。歳だって離れているのに。
ぶんぶん腕を振られたり、横で飛んだり絡まったりする翔をひょいと持ち上げたり優しく留めたりしながらちゃんと歩ける稔明さんもすごい。主人は手こずって「まっすぐ歩けないのか。」なんて言ったりする。その度に「とっちゃんはそんなこといわない。」と翔にいわれて面白くなさそうな顔をする主人。でも私はそれを眺めて楽しいと思ってしまう。優しさは一緒でも兄弟だからって性格が一緒とは限らないし。それぞれの翔への接し方をみて私は私の方向性を見極める。なんて偉そうなことを言っているけど、全然そんなことができるはずもなく、日々格闘しているのが現実だったり。
今日のお買い物は主人のクリスマスプレゼント。背格好が似ているから稔明さんに付き合ってもらうことにした。翔はお父さんへのプレゼントのほかにとっちゃんのも選ぶと朝からテンションが高かった。
翔のお年玉は稔明さんの誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントを捻出する財源になっている。もちろん全額ではなく一部だしてもらうのだけれど、選ぶのは翔。稔明さんは着るブランドが決まっているからとっても助かる。小さい子供をつれて長時間あちこち目的がないまま歩きまわるのは困難を極めるし、決まったショップから選ぶとなれば子供の忍耐でも十分だ。
それに札幌にバナリパはアウトレットモールにしかないからお財布にも優しい。いいことずくめだったりする。何事も控えめで優しい稔明さんは選ぶ服まで私たちに優しい。
「ねえ、とっちゃん。はややぁ~~ん、ほややぉ~~ん、はあ~ん、ほぉ~ろ~ん。ってナニいってるの。」
「翔!静かにしてよ。」
アジアンな御一行様がバスで到着して大きな声でワイワイしながらフードコートの各店を物色している。翔はフードコートが大好きで、買い物をする前にここに寄って腹ごしらえからスタートが定番。だから到着はいつも13:00すぎの時間になる。予定がなんとなく決まるのは色々助かるけれど、翔のテンションは本日MAXだ。
「ねえ!とっちゃん!こんなさむいのになんであのおじさん、はんそでなの?冬にはんそできないってしらないのかな!」
ああ~~もう。確かに私も思ったわよ、なんで冬なのにポロシャツなのって!黄色とか赤とか見まいとしても目に入るカラーチョイスなのも・・・私だって聞きたい。
日本語わかる人がいるかもしれないじゃない、どうするのよ、もお。
「翔、ええとですね。日本に観光にきた外国の人の皆さんですよ。」
「かんこー?」
「海外旅行です。」
「ヒコーキ乗って?」
「ですよ。そこは日本より暑い所なので、どの位寒いかわからなかったのかもしれないですね。」
「えええ~へんなの。」
「じゃあ、翔は50度の砂漠の国に行ったら何を着ます?」
「ごじゅーど?まなつのさんじゅーどよりもすごい!ごじゅーど?」
「そうです。太陽ギラギラでラクダさんがいます。」
「ずかんでみた!ラクダ。ボクはハダカになるよ。」
「それが砂漠の人は長袖長ズボンで頭も顔にも布を巻くんですよ。」
「えええ~あつくないの?」
「ですよね。だから行ってみないとわからないのです。きっと半袖で大丈夫だって思ったんですよ。でもきっとここでダウン買うと思います。」
「だよね、アウトドアいっぱいうってるしね。」
「だからお話しする言葉も日本とは違うのです。」
「ボクもおしゃべりできるようになる?」
「お勉強しだいですね。」
「べんきょー・・・。」
「たぶんあの人達は香港から来たのではないかと思いますよ。」
「ほんこん?ええ!とっちゃんべんきょーしたの?」
「いえいえ、意味はわかりませんがアクセントに覚えありといいますか、映画を見たのでなんとなくです。」
「エイガみたらわかるの?」
「無理ですね、見ればみるほどわかるなら、僕は英語ペラペラでフランス語もちょいちょいな感じになっているはずですから。おうちに帰ったらお父さんに聞いてみるといいです。」
「なにを?」
「兄さんはユン・ピョウのファンだったのでDVDを持っているかもしれません。」
「ゆんぴょう?それほんこん?」
「そうです、ほんこんです!」
「とっちゃん!ほんこん!ゆんゆん!」
「あははは、ユン・ピョウですよ。翔おそばにしますか?」
「うん!ゆでたまごのてんぷらも!」
「義姉さん、翔はお蕎麦がいいみたいです。」
「私は冷やしたぬきにしようかな。」
「たぬきにすべきか・・・かき揚げをトッピングにするか悩むな~」
「とっちゃん、ボクたまご~~たまご~~。」
「はいはい。」
稔明さんがいると翔を任せられて、私がとても楽だったりする。でもユン・ピョウは初耳だわ。というかジャッキー・チェン以外知らないけど。
ユン・ピョウ?
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