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november.14.2016 ふたりでお祝い-1
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「朝から準備するって聞いていたけどさ。」
台所に立っていると後ろから不満をにじませた声。
「上に何か着ろよ、まったく。」
「ちょっと様子を見に来ただけだし、火は使っていないから大丈夫。」
ペタペタと足音が真後ろに。
「おはよ。」
「おはよう。」
後ろから肩に乗ったのは理の顎。俺と同じようにバットに入った肉を見つめている。
今日は誕生日の宴だ。どこかに食べに行ってもいいぞと言ったが理はウンと言わなかった。プレゼントに貰ったワインを飲みたいし、なによりゆっくりしたいと言って。
それには俺も賛成だったので、いつもと違う材料を料理することにした。
「これなに?」
「子羊。マリネしたあと焼く。がりっと塩で食べるつもり。」
「おおお~骨ついてる!なんかいいな、骨付き肉。」
理が話すたびに肩口がモゾモゾ動くのがくすぐったい。起きたのを確認してからベッドを出てもよかったが、やはりいつもと違うものを作るときはワクワクする。理は自分が先に目覚めていると相変わらず思い込んでいるのが可笑しくて可愛い。俺の芝居がいつまでバレずに過ごせるのか楽しみでもある。
今度は理の腕が回ってきて両手の手の平で俺の腹をペチペチ叩いた。
「寒くないの?」
「大丈夫。」
「上半身裸で台所姿は悪くないけどさ、冬はやめろよ風邪をひく。」
「悪くないんだ。」
「あ~まあね。俺しか知らない事のひとつだろうし。俺だけが目撃できる事はなんでも「悪くない」ことなんだよ。」
悪くない・・・か。後ろから抱き着かれるのだって悪くない。
「絶対ミネはこんな格好で料理しないよ?きっと。」
「なんで、そこに村崎なんだよ。」
「たぶん正明が『も~~ミネさん、ちゃんとしてください。』とかなんとか言いそう。着るまで言いそうじゃない?俺はなんだかんだで衛を尊重しているし。」
「成程、尊重か。物は言いようだな。」
「なあ、その肉どうすんの?」
「昼めがけてオーブンにいれるよ。あと一品あるけど、それはまだいい。」
「ふ~ん。」
理はペチペチしていた手の平を俺の肌にぐっと当てたから背中に感じる理の存在が大きくなる。タオルで手を拭いてから自分の手を重ねた。まだ今日はちゃんと朝の儀式をしていない。当たり前になったこと。やはりそれはちゃんと毎日して普通を強固にしなくちゃいけない。
「衛、シャワーまだだろ?」
「いいよ、先に浴びて。ここ片付けるから。」
いきなり理が俺の耳たぶを甘噛みした。
「一緒にいこう。一緒がいい。」
反論に意味はナシ。うなじにキス以上の申し出に気をよくした俺は理の手をとり、二人で浴室に向かった。
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