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december.26.2016 トアの25日 お仕事終了
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「トア、これ。」
ミネさんにテイクアウト用の白いビニールに包まれた何かを渡された。さて?ハロウィーンの時みたいなクリスマスバージョン?
でも僕にだけみたいだし。
「これは?」
「SABURO特製クリスマスBOX2人用。」
「キャンセルでましたっけ?」
ミネさんは「ああ、もう!」って顔です。なんだか今日はそんな顔ばかり皆さんにさせている気がします。疲れた体とともに気持ちがズンと沈みます。ああ・・・僕も自分に「ああ!もう!」と言ってやりたい。言うのも聞くのも落ち込みそうですが。
「キャンセルじゃないよ。俺がトア用に作ったの。というか坂口さんに。」
「・・・坂口さんに・・・ですか?」
「そうだよ。感想聞きたいじゃない。食べてどうですか?盛り付けはどうですか?価格はいかがでしょうか?っていうさ、か・ん・そ・う。」
「つまりこれを渡して感想を聞いてきなさいということ・・・ですか?」
「そういうことです。俺のお願い、俺の強制ミッション、オーナーの押しつけ、なんでもいいけど。要はそれもって坂口さんとクリスマスしてきなさいってこと。」
「いや・・でも、もうこんな時間ですよ。」
「どんな時間でも、今日だってことが大事。うん、すごく大事。ちなみに俺は素晴らしいクリスマスをした。ハルがくれたプレゼントも俺が贈ったプレゼントもお互いの大切なものになったよ。やっぱりね、贈ると決めたなら手渡さないと。どうしてプレゼントしたいって思ったのか言わないと。それはトアが一番よくわかってるんだろ?」
「・・・はい。」
「言っておくけどね、俺なんかかなり恥ずかしい君だったんだよ。おろおろしたり落ち込んだり、悩んだりさ。否定と肯定を繰り返していたら何がなんだかわかんなくなったりね。でもね、やっぱり自分に聞いたらちゃんと答えは返ってきた。トアだってとっくに答えはでてるんだろ?」
「・・・はい。」
「格好良くなくていいんだよ。格好悪くていいじゃんか。お店の商品の感想きかせてくれませんか?でいいじゃないの。とにかく動くこと、これ大事。ということで感想ミッションよろしく。」
ミネさんは僕の返事を聞くことなく背を向けた。格好悪い?どこかですか。そんなふうに認めて、正直に人に話している。それに大事な時間を過ごせたって堂々と言えている。
格好良すぎます。
渡されたBOXを無駄にすることはできない。クリスマスしませんか?は言えなくても商品の感想を聞きたいっていうのは言えそうな気がします。
僕は気が変わらないうちにスマホをガっと握った。
気が変わらないうちに。
あれ?気が変わらないうちに・・・電話したような
あれ?なんだろう、ここは何処なのかな
まあ、いいっか
ZZZZZZZ
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