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jan.15.2017 きゅーと
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「伊藤頑張ったけど、沙羅ちゃん残念だったな。」
さらちゃん?
さ~~ら~~ちゃん?
儀が俺のを見てキョトンとした顔。こっちこそキョトンとしたい。
「ヒロ、何そんな嫌そ~な顔してるんだ?」
顔に出ていたらしい。
「いや・・・なんか意外な単語が聞こえてきたから。」
「俺へんな事言ったか?」
言っただろ!
「伊藤は呼び捨てで、なんで高梨はちゃん呼びしてるんだ?」
「は?ヒロこそ何言ってんだよ。沙羅ちゃんと真央ちゃんは「ちゃん」に決まっているだろうが。」
「知らないし。浅田もちゃんなのか!」
「いやいや、真央ちゃんを「浅田」呼びするほうがわかんね~けど。真央ちゃんは真央ちゃんだろ?」
こんなところに俺達の違いがあったのか・・・。
女性との接点がほぼない俺。店に女性がくることはないし、客の話に女性がでてくるといえば、家族程度のものだ。酒屋の配達だって男だし、せいぜいスーパーやコンビニの店員くらい・・・ああ、買い物に行くと女性と話すことになるのか。それ以外は全くないことに今気が付いた。
「俺がちゃんづけするのって、男なんだけど。」
儀の眉がピクリと上がる。沙羅ちゃんや真央ちゃんよりしっくりくるぞ、男のほうが。
「なんかチラっと嫌だな、男かよ。」
「キイちゃんだってちゃんじゃないか。」
「俺はキイだし。」
ますますわけがわからない。
「儀は会社の女子社員にも「ちゃん」なのか?」
儀は呆れたように口を歪める。
「んなわけあるか。「さん」に決まっているだろ。最近は気を付けないと何でもセクハラになったりするから大変なんだぞ?
『ちゃん、さん、その区別って何ですか?』なんて言われかねないからな。全員「さん」だ。」
「へえ~。」
「へえ~って俺をどんな会社員だと思ってるんだか。じゃあヒロは客を全員「ちゃん」なのか?」
「いや・・・かわいいやつは「ちゃん。」普通は「くん。」いい男は「さん。」かな。」
儀はまたしても眉をピクリとさせた。
「まじか!」
「まじかって・・・言うほどのことか?キイちゃんにキイくん、キイさんは変だろ。断然キイちゃんだと思うけどな。」
「普通の男に「君」はまあいいとして、いい男に「さん。」ってなんかムカツクな。」
面倒くさい男が出現。俺としてはどうでもいいというか、当たり前すぎて気にもならなかった。沙羅ちゃんよりずっといいだろうが。
「じゃあ、なんで俺はただの「ただし」なんだよ。うわっ!シャレじゃないからな!」
俺は我慢できずに噴き出してしまった。ただのただし・・多田野正って人いそうじゃないか?
笑いの連鎖が起こって腹筋が痛い!
「そんなに笑うことないだろ!」
「いや・・・だって、可笑しすぎるだろ。ギイがただしになっただけだって。そもそも俺が呼び捨てなのは儀くらいだしな。」
「え・・・。」
なんだよ、そのまんざらでもないって顔。かわいいけどな。
「気の置けない男は儀くらいなもんだよ。客はお金払ってくれるし、距離感を保つうえでも呼び捨てとかない。俺は女性に「ちゃん」なんてガキの頃だけだったよ。」
「だから男だけか。」
「当たり前だろ。俺の生活に女性が登場することはかなり少ない。店員くらいだってことにさっき気が付いた。あ、病院とか歯医者にもいるな。でもOOちゃんとか呼ぶなんてシチュエーションないし。」
「俺だって沙羅ちゃんと真央ちゃんだけだ。」
「あっそ。」
「かわいいだろ、だって。」
かわいいか。男でも女でも可愛いものはカワイイってのは認める。ついでに動物(特に子供)も。
「初めて聞いたからちょっとびっくりしただけだよ。でも俺は高梨&浅田で。」
「俺は沙羅ちゃん、真央ちゃんで。」
お互い顔を見合わせて噴き出した。俺達いい歳して何の話をしているんだって事。もう少し社会情勢とかニュースの話題を取り上げるべきじゃないだろうか。
「ヒロちゃん・・・は合わないな。」
俺は可笑しくなって儀の肩をべしべし叩いた。あり得なさすぎだろ、それ!
「なんの冗談だよ。それを言ったら・・・ギイちゃん・・・ただしちゃん・・・ただしちゃん!なんだこれ!コントみたいだ!」
「人の名前で遊ぶな!ただしちゃんは・・・ばあちゃんが・・・。」
「え?いまだに?」
「ばあちゃんってそういうもんだろう?」
「俺はヒロちゃんとか呼ばれたことないし。」
「へえ~。」
ゴロンと横になり、膝枕ポジションをゲットした。
「なに甘えてんだよ・・・。」
「あのなあ。」
「・・・なんだよ。」
「ただしちゃんは無しだけど、俺にとってお前が一番カワイイよ。」
「・・・っくそ!」
「なんだよ!悪態返しってひどすぎる!」
「・・・ヒロちゃんってのは、まあ・・そのなんだ、俺にとっては沙羅ちゃんや真央ちゃんよりダントツ・・ヒロのほうが・・ってことを言いたかったのに、先越しやがって!」
可愛すぎる!!
「儀、風呂わかしてくれよ。」
「ああ?」
「バカップルはイチャイチャするもんだろ?」
儀はニヤリと表情を変えた。
俺にとって儀はいい男でかわいい男。儀にとっての俺もそうでありたい。
「ヒロ。どうせなら世界一のバカップルを目指そうぜ。」
ホント、お前は最高の男だな。
「賛成。そうと決まれば善は急げだ。」
笑い合う俺達。他人からみればいい歳したバカかもしれない。
でもさ、当人同士が「これで良し」とするならオールOKだと思うんだよね。
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