アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
june.26.2017 北広島三井アウトレットパーク 2
-
「これどうかな」
坂口さんが広げたのはフレンチテリーポロシャツ。衿が開襟シャツのようなデザインになっている。袖の長さもちょうどいい半袖。あるじゃないですか、ちょっと短めの袖でオレのパンプアップした筋肉を見てくれ!みたいなデザイン。はい、僕はアレ苦手です。
「よさげです。どっちの色がいいですかね」
坂口さんは僕の身体に2枚のポロシャツを代わる代わる当てた。僕は横目で鏡を確認。どちらの色も捨てがたい。
「どっちもいいですよね。セルリアンブルーは爽やかだし、ネイビーは使い勝手がよさそう」
「半額だから2枚買っちゃおうかな」
「半額って魔法の言葉ですよね」
「ええ、ある意味危険ですが」
店内をブラブラ物色して、ダブルレイヤーのTシャツも買うことにする。ダブルレイヤーなら一枚着でも、ちょっと気をつかっている感がだせますよね。便利アイテムです。
「トアさん、これ似合うと思います!」
坂口さんが探してきたのはノンアイロンのシャツ。シャツは何枚あってもいいですが、この色は着たことがない。どうでしょう……ハードル高すぎませんか?
「この色似合いますか?紫ですよ?」
「紫というより薄いバイオレットだから合わせやすそう。トアさんブルー系とダークな色が多いからコーデも楽そうだし。ダークブラウンと合わせても素敵ですよ、きっと」
真剣な顔でまたもや僕の身体にシャツをあてて満足そうに頷いている。一人でする買い物に何も疑問を感じていませんでしたが、こういうの……いいですよね。自分では選ばない色やデザインを似合いますって合わせてくれる。新しいアイテムがワードローブに増えていくって一人ではできない。
「じゃあ、これも買うことにします」
「半額ですから」
ニッコリ微笑む坂口さんを見て、僕の中にむくむくと温かいものが沸いて来る。この人はいつだって僕をこんな気持ちにさせる……すごい人だ。
「僕はこのくらいにしておきます。坂口さんは?」
「気になるワンピースがあったけど柄がどうかなって。スタンドカラーだったし、似合うかどうかわからなくって」
「喜んで僕が見立てましょう」
坂口さんが言ったワンピースは共布のサッシュがついたスタンドカラーのロングワンピース。はっきりしたコントラストのホワイト&ブラック。もう一色はライトグレー&ホワイト。アバウトな花のプリントだった。
「けっこう大柄だから、負けちゃうかな」
「どっちも捨てがたいですね……両方試着しましょう」
「やっぱり着た方がいいかな」
「ええ、勿論。両方とも買うという選択もありますよ」
「半額マジックですね」
坂口さんは笑いながらワンピースを手に試着ブースに行った。まさかカーテンの前までいけませんから、なんとなく入り口で待つ。¥18,000が¥6,900!これは半額以下じゃないですか。これはお買い得ですね。
その時後ろからドンと何かが僕にぶつかってよろける。とっさに什器を掴んで転倒を逃れましたが突然のことで何がなんだかわからない。
「とっちゃん!!とっちゃん!」
振り向くとそこには翔が目をキラキラさせて僕の腰に抱き着いている。え?え?えええ??
「奇遇だな、買い物か」
「兄さん……」
「こんにちは、稔明さん」
微笑みを通りこしてしてやったり顔の義姉さんが兄さんの後ろに立っている。え?今日月曜日ですよね?兄さん仕事は?
「運動会の代休なんですよ。平日のほうが空いてるだろうから出かけてきたの」
「とっちゃん!!おそば食べる?僕玉子の天ぷらも食べるんだ。とっちゃんもおそば行こうよ」
ああ……ええと、ええと、ええと!
「トアさん、どうかな。やっぱりグレーの方が……」
試着室から出てきた坂口さん。ホワイト&ブラックのコントラストがいい感じです。念のためグレーも来て比較しましょうねと言いそうになり今の状況を思い出す僕。
「ああ!かわいい坂口さんだ!僕のこと覚えてる?」
小学1年生にしてこんな会話術を!!ぐぬぬ……負けております。
「ああ……ええと。稔明、こちら様は?」
……坂口様……です。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
415 / 474