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december.25.2017 特別な日 その1
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「9時覚悟だったけど、早めに終わったな」
ミネさんがウーンと伸びをしながら言いました。今日はクリスマスの25日。SABUROの定休日にあたる月曜日ですが、さすがに25日をクローズにはできない。ランチを通常営業、そして夜は予約のみ受け付けることにしたのです。
厨房チームは23日からオードブルとBOXの仕出し部門と、クリスマス用のランチとディナーで大忙しだった。休みなしで年末を迎えるのはつらいですよね。それで25日は少し緩めのスケジュールになったのです。
20:00過ぎに最後のお客様が帰りました。理さんはクリスマスの装飾をテキパキ片付けているので、僕とハルさんはホールの掃除。
厨房のシンクには洗う皿もさほどなく、ミネさんと飯塚さんで手が足りている。月曜日にクリスマスをする人はあまりいないだろう。週末でクリスマスを終え、週の初めである今日は大部分の会社が「師走」モードに突入したはずだ。家も会社も慌ただしくなる年末。クリスマス気分に浸れるほど日本のビジネスシーンは暇ではない(暇になってもいいと思いますが)
「ほい、これトアのBOXね」
「ありがとうございます!」
「今日はこれでクリスマス?」
「はい。当てにしているみたいで申し訳ないですが、楽しみにしてました、BOX」
「味を確かめる意味もあるしね。俺とハルも帰って食べるよ」
「少しだけ早く帰るだけでいい気分です」
「だ~~~な」
ハルさんがトコトコやってきて二つのBOXを見たあと「あれ?」な顔をしている。
「理さんたちのBOXは?」
「いらないんだと。飯塚とサトルはクリスマスをスルーしているらしい」
「えええ!!!」「何故に!」
僕とハルさんの驚きに気が付いた理さんがこっちを見る。僕がもっているBOXを見て察したのでしょう。
「正直疲れてるだろ?だからクリスマスは年末にむけて体力温存しないとね。ミネと正明はクリスマスを大事にしているみたいだし、トアもね。でも俺にとっては特別じゃないんだ。バレンタインのほうが大事。人それぞれなんじゃないの?大事な日ってのはさ」
飾りをまとめながら理さんは言いました。あ~そうか、人それぞれですよね。節目になった日、思い出に残る日……僕はクリスマスが特別です。うっかり眠ってしまってやり直しをしたクリスマス。
「体力温存には一理ありますね」
ハルさんがボソっと呟き、ミネさんが「えー!」と言っているのを横目に僕はメールをした。
『まもなく帰ります』
僕達のクリスマスをするために、一分でも早く帰らなくては!
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