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chapter28 めざせオーナーシェフ <2月>
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「お疲れさん、太郎とハルあがっていいよ。」
「おつかれで~す。」
太郎はバックヤードにスタスタ歩いていく。悪いヤツじゃないけど、気配りに関しては「ん?」ってとこが多い。
「ミネさん、お客様まだお一人いらっしゃいますけど、あがっていいんですか?やることあったら後片付けしながらやっつけますよ。お帰りになるまで時間かかるかもしれないし。」
合格!ハルは自分でいうほどドSじゃない。実に心配りがよくて、わざとらしさがないから気持ちがいい。
「知り合いなんだ。だから厳密にいうと客じゃない。金もらうけど。」
「お知り合いですか。」
「親父の友達っていうか、死んだ伯父さんの友達の人なんだ。小さい頃から可愛がってくれて、俺あの人大好きなの。」
「へえ。」
「それじゃ、厨房の掃除手伝ってもらおうかな。」
「わかりました。看板消して入れてもいいですか?」
「ラストオーダー過ぎたし、閉めよう。」
サトルさま様だ。太郎の後釜を探さなくちゃと頭を抱えていたタイミングで、上玉が転がり込んできた。コンビニの接客と飲食店は違うけれど、相手が気持ちよくなるってことはどんなサービス業でも一緒だと思う。飯塚が関わるようになってから、色々と変わりつつある予感で毎日わくわくする。
「実巳、飯塚呼んでくれるか?ちょっと借りても大丈夫?」
そこに充おじさんの声。なんで飯塚?あげく呼び捨て?
裏口のドアの前で飯塚はノートパソンを膝にのせて格闘中だった。オードブルの反応に気をよくした俺達は、弁当メニューに着手した。試作品を作ってはハルと太郎に食わせたり、写真と原価率をまとめて紙にする。
それに目を通すのはサトル。
サトルのダメだしは的確だし俺は助かっているのだが、この鉄仮面は違うらしい。
ダメだしされると、本気で傷ついたような顔をするからだ、子供かっ?こんな顔してるくせに。
そんなこんなで、ダメだしのダメージを貰わないようにかなり必死なわけ、笑える。
「俺の知り合いがお前に逢いたいって。」
「あれ?客ひけたんだろ?太郎帰ったぞ。」
「一人残ってんの。」
「で、今?俺こっちやりたいんだけど。」
「俺にとって大事な人だから紹介させてよ。」
仕方ないといった顔でノートを閉じると立ち上がる。
「さっさとすませようぜ。」
はいはい、わかりました。
「よ、飯塚。元気にしてるようだな。」
「な、なんで課長がいるんですか!」
「なんでって、お前に用事があるからに決まってるだろう。」
「課長?充おじさんって課長なの?」
「村崎てめえ!こんな大事なこと隠しやがって!」
「ちょ、お前こそ何?隠す?ってか俺全然わかんないんだけど。二人は知り合いなの?」
「ふざけんな!この人は俺の元上司だ!ついでに言うと武本の上司だ!」
「えええ~サトルを人質にしてるのって、おじさんだったの!」
一人冷静なハルがオシゴトモードの顔でやってきた。
「何かお飲みになりますか?」
「鉄仮面が沸騰してるからビールがいいかな。おじさんもそれでいい?」
「いいね~」
鉄仮面は怒り心頭の怖ろしい顔のまま無言です。ああ、怖い怖い。
どうでもいいけど、世間は狭すぎる・・・・・。
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