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August 20.2015 お兄様現る その2
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「あの・・・いったいどうされたのですか。」
「ん?どうって、たまには出てきてもいいじゃないの。もともと住んでいたわけだしね。
それで、ハルのおススメはなに?」
「今日は、カレーと冷製パスタです!」
「んじゃ、カレーにする。それで、飯塚ってのはあのデカイほう?」
「・・・はい。」
「ふ~~ん。なるほどね。」
「オーダー通してきます!」
「あ、ハル。その飯塚に言ってくれる?お兄様に是非食べてほしい一皿をオーダーしますって。」
・・・・・・・・・・・・・。
やはり、この人はタダものではないのです。抵抗する気力が奪われてしまい、わがままだろうがヘンテコな事だろうが「やらせていただきます。」と言ってしまう魔力を持っています。
コンビニバイト時代は割と事前に予定を組み込んでおけばシフトで調整できたから、タケさんの所に散髪に行くのは問題なかった。
でもSABUROに来るようになると、そうそう休むわけにもいかないわけで・・・。
なにより僕がここに来たいわけで・・・。
理さんも仕事に加えてSABUROの事をこまごまやっているし、高村さんに連れ出されて日曜が休めなくなったりしたりで、僕たちが揃ってタケさんに髪を切ってもらうのが難しくなったのです。
『いいよ、いいよ。でもたまには来いよ、って言ってた。』
しばらく行けない事を言うとタケさんはそんな感じで理さんに言ったようですが・・・。
僕の頭をガン見していました!変だってこと?この髪じゃダメってこと?
急に不安になってきました。(腕は確かなんですよね、タケさん。)
「オーダー入ります。12番さんカレーです!」
「あいよ~。あれ、ハルの知り合い?」
「ええ・・というか、皆さんにもかかわりがあるというか・・・あっ!飯塚さんオーダーです。」
「テイクアウトか?」
「いえ、12番さんです。『お兄様に是非食べてほしい一皿』を承りました!」
「お兄様?」
「飯塚さん・・・あの人、理さんのお兄さんですよ!」
「あの姉さんの旦那ってことか?」
「はい!」(お姉さんに逢った事ないでしょ、飯塚さん)
「わかった。」
ミネさんはさりげなくタケさんを見た後、手元に視線をもどしてニンマリしている。
面白くなりそうだとか思っていますね?ミネさん、それは大間違いです!
とばっちりきますよ・・・。僕なんか事情もわからないまま田舎につれていかれて、いきなり髪形変えられたあげく、スパイにされたんですから!ついでにホッペにチューもされました!
(未読の方は『chapter18 正明、由樹とご対面』をどうぞ~)
セットのスープとサラダを運ぶとタケさんは「うまそ~」と言いました。会話ができたのはそれまでで、お客さんがみえられたので仕事に追われてタケさんには構っていられなくなってしまいました。
ちなみに「お兄様」に捧げる飯塚さんの一皿は・・・だし巻玉子。
揚げ野菜がゴージャスに盛られたカレーとのギャップに正直僕は震えがきましたよ。
飯塚さん、このチョイスはなに?抵抗ですか、バカにしているのですか、それともタケさん卵好きなんていう情報でもあるのですか?
細長い黒の洋皿に黄色のふわふわ卵は美味しそうでしたよ?
大根おろしも真ん丸に成形されて可愛かったし。
しかし・・・もっとお洒落な一皿があったのでは?
大人の男のすることはわかりません。
そしてラストオーダーの時間になって追加ナシとなった瞬間。
現れました・・・タケさんが。
「イイヅカ君、ちょい、つきあってくれる?」
飯塚さん・・・黙って従うの図。
「タダもんじゃねえな、あの兄ちゃん」
「ええ、ミネさんより先に僕のことハルって呼んでいますからね。」
「まじかよ!」
「ええ。ミネさんにハル言われて、タケさんと一緒の思考回路の人なのかと思いましたもん。」
僕とミネさん、タケさんに拉致られる飯塚さんを見送るの巻・・・。
次回につづく!
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