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september 20.2015 本日の中休み
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「秋ですね~。ナナカマドの実が赤くなりだしました。」
中休みのボケボケタイムにトアさんがそんなことを言った。
秋です。牛の丸焼きとか、新そば祭りとか、秋の味覚フェア的な催しが広い北海道のアチコチで開催しておりますが、正直行った事がない。道民はあまり道内をウロウロしないせいでしょうか。
住んでいると北海道一周とかしないものです。道外から来ている大学の友人は夏休みになればアチコチ足を運び、冬はパウダーパウダー!とスキー場にくりだします。
「トアさんスキーに行ったりします?」
「・・・・ハルさん。僕は運動神経がないどころか切れまくっています。ウィンターであろうと球技、陸上、オールナッシングです。ラスイニのおかげでこの歳で野球に目覚めた男ですよ?
スキーって・・・難易度高すぎですよ!それにドクターストップです、スキーは。」
うが、ドクターストップ・・・聞いてはいけない事を聞いてしまったパターンでしょうか!
そんなパチクリ&スイマセンな僕の顔を見てトアさんは慌てたように顔の前で手をバタバタ振った。
「いやいや、そんな深刻なものじゃないのです。股関節亜脱臼という状態で生まれたもので上半身と下半身を逆方向に動かす運動に適していないというだけです。日常生活には問題ありません。開脚が90度マックスですとか、女性なら自然分娩が厳しいですといった具合です。幸い男の僕には影響はありませんよ。」
開脚90度?トアさん正常位は難しそうですね・・・と言おうとしてゴクンと飲み込んだ。
いけません、半裸女子の写真をガン見する以上にマズイ発言をしてしまうところでした!
(トアが受け?・・・ほおぉ~。なんていう想像は皆さんナシですよ、妄想ストップ宜しくです!)
「じゃあ冬はおとなしく籠っているのですね。」
「冬といわず、オールシーズン籠りマンです。」
籠りマンって・・・なんですか。なんか音だけ聞くとヘンですよね。コモリマン・・・コモリマン。
「高校のスキー授業はバスの中で一人レポートを書いていましたよ。先生はレポートのネタを考えていなかったらしく、「教科書を最初から写せ。」って。バスの中で2Pばかり書いてバカバカしくなって本読んでいました。」
「無駄な時間ですね。それなら家にいたほうがマシじゃないですか。」
「ですよね。でもバスのってスキー場いかないと単位くれないって言うもんで、行くしかなかった。
でも考えていればあれが僕にとって唯一のスキー場体験です。そう考えるとまあ、いいっかって気になります。」
「ものは考え様ですね、前にもスキーの話しになったことがあって判明したんですが、実は理さんがスキー経験ゼロなんです。」
「ええ~何でもできそうなのに、スキーが苦手というかウィンタースポーツはダメとか?
なんだか親近感わきますね!」
いいえ・・・違うのですよ、トアさん。親近感なんてわきませんよ。
「「スキーはしないけどスケートは余裕で滑れる。」だそうです。」
「・・・まさか羽生君みたいにクルクルしたり飛んじゃったりのアレですか!」
「・・・いいえ。スピードスケートです。」
トアさんの眼鏡がズリって下がるかと思うくらい、びっくり顔です。
ですよね、予想外ですよねスピードスケートですよ。
「あの全身タイツみたいのですか!いやぁ~理さんが全身タイツ。」
全身タイツ、コモリマン・・・いや!そうじゃなくて!
「あれは着たとこないらしいですけど、ちょっと想像しちゃいますよね。あのユニフォーム着た理さん。」
「あれって顔しか見えないじゃないですか。髪も収納されていますしね、本当の顔だけですから
理さんの顔が引き立ちそうですよ。真っ黒タイツで理さんの顔・・・逆に格好よくないですか?」
そういわれてみれば確かに・・・。
腕を振りながらシャーっとすべって、格好よくコーナーを回ってラストスパート!ゴール!
「ゴールして上気した顔、サングラス外して頭ボハってだして胸のチャックをグイって下ろしてですよ。
ちょっと目を細めてタイム確認とか・・・なんか見入ってしまいそうです。理さんならスケートありです。
ハルさん、理さんのスケートいいです。フィギュアではない、断じてスピードです。」
ミネさんがタイツ着たら、うかれたコスプレみたいになりそうですが理さんはアリだなと同意です。
飯塚さんが着たら・・・ちょっと怖いかも。謎の軍団の御頭に見えてしまいそうです。
「ハルさん、僕たちのおしゃべりのネタはダントツ理さんですよね。」
「いわれてみればそうですね。」
「どんだけ理さん好きなのかと考えてしまいますよ。あのイケメン飯塚さんがメロメロなのは納得です。
10月いっぱいで仕事やめて毎日SABUROに来てくれるのは嬉しいのですが、ハルさんとの理談義ができなくなるのは残念です。」
「そうですね。じゃあ「トアさん談義」に切り替えますか?」
「なんですと!?」
「最初はギョっとしましたが、トアさんのエンタメ話が最近面白い。トアさんのおかげで映画にも結構くわしくなりました。レンタルにいっても監督で借りるのを選んだりとかバリエーションが広がったし。監督さんとか俳優の名前はまだまだですが、いつかトアさんとバキバキのエンタメ談義をしてみたいです。」
「ハルさん!」
いきなり抱きつかれて持ち上げられました。何事ですか!理さんの胸の中は優しさ満載でしたが、トアさんのこれは拘束、いえ違います・・・高速回転木馬的な抱擁です。
グルグル回られて、B級ドラマのバカップル状態に見えるだろう図を想像してゲンナリです。
おまけに完全に足浮き上がってるし・・・僕は子供ですか!
「僕が話し出すと大抵の人は下をむいちゃうから、あまり話をしないようにしているのです。
それが!それが!僕とバキバキ談義だなんて夢のようじゃないですか!うわ~~ハルさん、弟でも友達でもなんでもいいですから、僕と仲良くしてください!うわ~~。」
うわ~~じゃなくて!降ろしてくださいってば!
「おうおう~、また今日もジャレちゃってるね、君たち。何?新しい遊び?」
ミネさんの笑いを含んだ声に、ようやく正気にもどったトアさんが僕を降ろしてくれた。
ハアハア言ってる・・・運動神経切れ切れなのは本当ですね、この若さで僕を持ち上げてクルクルで息切れです、救心飲んだほうがいいかもしれませんよ?
「ハルさんが僕の弟になってくれました!」
いつ承諾しました?
「へえ~そうなの。じゃあ、俺も~。」
今度はミネさんにギュウギュウされる。やはり思います、理さんのが一番いい!
「ハルは来春から俺の同居人だからね。弟を同居人に上書きだ。うりゃ!」
どうしてここでお姫様ダッコになるのですか!意味不明すぎます。この負けず嫌い!
「なんか似合いますね、ハルさんがお姫様ダッコされている絵。いいです、かわいい。」
「まじ?俺も見たい。トア、タッチ交代。」
僕は荷物のように受け渡されて今度はトアさんに抱えらえました。背がミネさんより高いから、ちょっと怖くて首にしがみついてしまいました。
「おお~ホントだ、かわいいじゃないの。そのしがみついてる感がいい!」
「ですよね~ハルさん最強ですね。」
「鉄仮面の御姫様ダッコされている図なんて怖いだけだよな~。」
「お前ら何やってんだ?休みは終わりだ!村崎、トマトの湯剥き終わらせないと仕事にならない。」
おっかない・・・やはり全身タイツだったら悪の軍団の御頭に間違いなし。
ふと沸いた疑問。言っちゃおうかな~言っちゃおうかな~言ってしまおう!
「飯塚さん、理さんをお姫様ダッコしたことあります?」
「ああ?」
ボン!っとスイッチを入れたかの如く、飯塚さんの顔が真っ赤に染まりました。
「ぶっ。」(堪えられなくて思わず噴いてしまった)
「マジですか。」(トアさん茫然)
「へええ~。」(意地悪ガキ大将の企みのような微笑みは、もちろんミネさん。)
「いいから仕事しろ!!」
グルンと音が聞こえるぐらいに背をむけてズンズン歩いていく飯塚さんを見送りながら僕たちは納得です。
「さすが理だな・・・。すげえな。なぁ?」
「ええ。」
「おそるべしです。」
僕はニヤニヤしながら思いました。
10月末ギリギリまで、僕たちの「理談義」はまだしばらく継続しそうです!
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