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july.12.2016 マスターとキイちゃん 1
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ミネさん朝帰りの翌日。
僕がいつもの時間に目を覚ますと、ミネさんがもう起きていた。そしてコーヒーが用意されていて更にびっくりした僕はポカンと間抜けな顔でミネさんを見てしまった。
「おはようさん。」
「お・・・はようございます。」
どうしたんですか?
なんで早起きしてるのですか?
そんな疑問が沸いてきたけど、僕は何も言えなかった。ミネさんは昨日のしょんぼりモードから脱出できたみたいで、とても穏やかな顔をしていた。
いつも以上に僕にやさしい笑顔をくれる。
でも・・・ミネさんは女の人と寝てきたんだよね。
それって僕には絶対太刀打ちできない分野で、勝ち負け以前に同じ土俵に乗れない場所。
勝手な言葉や都合を押し付けることは僕にもできる。
でも柔らかい身体で包んであげることはできない。どんなに頑張っても僕は男であってそれ以外の生き物になることはできないから。
せっかくコーヒーを淹れてくれたのに、僕はミネさんに言ってしまった。
「ミネさん、僕今晩遅くなります。」
「どうして?」
ミネさんの表情が曇る。そんなに心配しなくていいのにね。年下かもしれないけれど、立派な成人男子なんだから。
「マスターのお店に顔を出そうと思います。」
「マスター?」
「お店にたまに来てくれますよ。僕が通っていたお店のマスターです。」
「通っていた・・・。」
「ええ、僕みたいな男の人ばかりが通うお店です。たまに仲間の人に逢いたくなったりしますからね。でもちゃんと帰ってきます。1:00でお店はクローズしますから。心配無用です。」
何か言いたげなミネさんが言葉にする前に僕は急いで付け加えた。
「コーヒー淹れてもらったので、朝ごはんは僕が作りますね。」
くるっと振り向いてミネさんに背を向ける。
僕がどんな顔をしているのかわからないから、ミネさんに知られたくなかった。
そしてミネさんがどんな顔をして立っているのか、それはもっと知りたくなかった。
子供っぽい仕返しに、僕の心がささくれだってザワザワ揺れた・・・。
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