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october.26.2016 Xデー・・・遠し
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10代の頃は見るたびに格好いいって感じたのに、なんでしょうね・・・ちょっと笑ってしまうのはこの映画に関わった人たちに失礼だと少し反省。僕の生まれた年に公開ですから当時と現代のギャップが少し恥ずかしくなる気持ちってありますよね。それで笑ってしまったのです(言い訳)
ダイアン・レイン若い!最近マイケル・パレの姿を見ていないです、ちゃんと映画にでたりしているのでしょうか。「プラトーン」を見てから彼はどんな役をしていても「エリアスさん」と認識してしまう・・・ええとええと名前何でしたっけ。
ええと
ええと
あっ!ウィレム・デフォーです!!です!!
この映画を最初に見たのは小学生の頃だったような気がします。テレビのロードショーでした(何曜日ロードショーか忘れましたが)
夢中になってみている兄の横で画面を眺めていた僕。子供すぎたせいか感想は「助けたのに何で一緒にいかないの?」だった。兄は「そこが格好いいじゃないか!」と言ったあと、もう少し大人になったらわかるさと僕の頭を撫ぜてくれた。
何故今頃この映画がCSで放映されているのかわかりませんが、なんとなく最後まで見てしまったのはそんな思い出のせいかもしれません。
兄が想定していたよりもずっと大人になっている僕です。「助けたのに何で一緒にいかないの?」
ちびっこの僕、答えてあげよう!
それはね、二人の世界が違いすぎてうまくいきっこないからなんだ。別れることが決定的だから傷にならないうちに別の道を選らんだというわけ。わかるかな~?
「ふうう。」
別れることが決定的って・・・今の僕にはキツイ現実だったりします。なんで見ちゃったんだろ!この映画!
なんとなく気持ちが沈んでいるのは月曜日の出来事だということ・・・は理解しております。坂口さんと食事をして楽しい夜を過ごしていました。料理は美味しかったですし、ワインのおかげで会話も弾んだ(僕の感想です・・・あくまでも)
中島公園の地下鉄の駅を出た後、公園を通って帰ることにしました。車が沢山走っている道路を歩くより静かな公園のほうがいいからです。僕たちは朝も同じコースなので、自然と足が向いたというのもあります。でも・・・車の音がうるさくて「え?聞こえませんでした。もう一度言ってもらえます?」なんていう環境の方がよかったのかもしれません。
「そういえば日曜日はびっくりしました。」
「日曜日ですか?」
「トアさんがお店の前を歩いていたじゃないですか、一緒の方はお店の人ですか?」
「あああ~スタバに行ったのです。ハルさんがネクターなんたらピーチ味の季節商品を試したいと言い出しまして。」(本当はモンキー理さんが敵情視察だ!って言ったのですが。)
「ハルさん?」
「3人の中では一番背が低い。」
「ああ!かわいいほうですね。」
「じゃあ、もう一方は?」
坂口さんは「ええと・・。」と首を少しだけかしげた。そのしぐさが可愛いな~とデレっとした僕です。
「なんていうか、スッキリしているというか、なんでも出来そうというか、でも優しそうな人。」
「まさしくその通りです、はい。」
「同僚の人はSABUROに何回か行っているみたいで、料理は美味しいしスタッフのレベルが高くて最高って大のお気に入りです。スタッフのレベルってサービスの事を言っているのかと思っていましたが、違いましたね。サービス「も」だったんだ。」
「あ~僕は枠外です。」
坂口さんはポンと僕の肩を叩いた、ニッコリしながら。
「トアさんはりっぱに枠内です。」
ドキン!ギュウ~~うう、うれしすぎる!心臓がギュウとか本当だった!映画ではよくありますが、自分事でなったのが初めてです。やはり今までとは違うのかもと納得。
「店員さん目当てで女性のお客さんが多そうですね。」
「どうでしょうか。そういう方もいるでしょうけど、アプローチするお客さんを今までみたことがないので、わからないですね。」
あ・・・忘れていた。ソバカスの外国人女性がいましたね!飯塚さんが指輪にキスをするという驚きの撃退法を目撃したんだった。あれは凄すぎて僕のほうがテレました。指輪をネックレスにしてぶら下げていたのも知りませんでしたから、イヤハヤもうびっくりでしたね、あれは。
「狙っている女子が沢山いそう。」
「ん~なんとも。でも僕以外は皆さん決まった相手がいるのでなびくと思えませんしね。」
坂口さんの足がちょっと止まった。僕は何事かと思い立ち止まる。僕をみて少し笑顔になった坂口さんが手に持っていたバッグを肩にかけた。そしていつものペースで歩き出したので、僕もそのまま足を進める。
「同僚の子が悲しがるかも。」
「アンジョリナ・ジョリーが出現してもなびかないと思いますよ。皆さん自分の相手は「特別」だって言っていましたから。」
「特別・・・ですか。アンジーでも勝てない特別って凄いですね。」
「ほんとですよね。僕の目から見てもピッタリすぎて羨ましいですよ。」
僕は女性としか恋愛をしたことがないし、それも薄っぺらいものだと思う。理さんと飯塚さん、ミネさんとハルさん。同性同士だってことが気にならないほど皆幸せそうだ。そして一緒にいることが当たり前のことだという想いが伝わってくる。同じ仕事をしながら沢山の笑顔をお客さんにプレゼントしている。
いいなって思います心から。横を向けば自分に微笑みを返してくれる人がいるって幸せでしょうね。
「「特別」って・・・いつわかるのかな。誰かを好きになったら毎回特別になっていくような気もするし。今回は特別って、その時は感じることができるものなのかな。」
ドキドキがバクバクに切り替わった。僕にとっては坂口さんが特別ですって・・・今言うチャンスかも?
今なら言えるかも?
言・・・う?
いやいやいや、少し落ち着こう。
「僕が思うに・・・特別って思える相手は今までと違うっていう事じゃないかと。」
「いままでと・・・違う・・・ですか?」
「今までしてきた恋愛と違う、この人は今までの人たちとは違うという感覚?うまくいえないのですが。」
「なるほど・・・その時がきたら私も感じるのかな、楽しみ。」
んん?・・・も・・もしや。
ガーン
ガーン
ガーン
淡い期待感を持ってしまっていた僕が悪いのです。けっして坂口さんが悪いとかそういうことではないのですが、ですが、このがっかり感がものすごい。
結構なショックっぷりに自分が一番驚いてしまった。
今までとは違う、特別だって感じちゃっているのは僕だけってことですよね。
僕・・・だけが好きってことですよね。
ですよね・・・。
「トアさん、どうかされました?」
「・・あ、いえいえ、大丈夫です。現れるといいですね、特別な人。」
「そうですね、トアさんにも。」
ドキドキバクバクしていた心臓はすっかりおとなしくなって、自分の頭がやけに冷え冷えになったようなクリアな感覚。夜風の冷たさが急に体に染み込んでくる。
「ふうう~~。」
坂口さんはどうしました?という顔で僕を見た。
「息がもう白いです。冬はもうすぐですね。」
「道路がツルツルになる時期がきちゃいますね。ウンザリです。」
僕の吐き出した息はふわっと一瞬で消えてしまう。もっと寒かったらしばらく白く漂ったはずなのに。ツルツルになったらお互い転ばないように手を繋いで歩けたりするのかな。
そんな日がくるのかな。
「お休みが終わってしまう!残念だけど1週間またがんばらなくっちゃ。」
僕たちの住んでいる建物が目の前に迫り、二人の休日が終わっていく。
「じゃあ、トアさん、また明日。」
「明日・・・。」
「ん?明日早く出勤するとか?」
「いえいえいえ、大丈夫です。いつもどおりです。」
「それじゃ、おやすみなさい!」
「はい、おやすみなさい。」
ピョコンと頭を下げて手を振りながら坂口さんは自分の住む場所に帰っていった。背中が見えなくなって僕は自分の部屋に向かって歩き出す。
「また明日か・・・。」
相手にとっての「特別」っていうポジションを得るには何をしたらいいのだろう。
僕には難問すぎてまるで答えがみつからなかった。
月曜の夜をまたもや思い出してしまい、スッキリしない気持ちがムクムク。
「ディナーラッシュ」で気分を変えようかな。
それより何も考えずに寝ちゃったほうがいいかもしれないですね。くよくよしたって仕方がないとわかっているけど、どうしようもない。
好きになった人に好きになってもらうって・・・本当にもうなんて難しい問題なんだ!!
明日・・・ハルさんにこっそり聞いてみようかな。ミネさんはどうしてハルさんを好きになったのですか?何か特別なことをしたのですか?
・・・でもそれってミネさんに聞くべき質問ですよね。うわ~聞けるかな、ええ~逆に根掘り葉掘り聞かれて丸裸にされるのは僕の方?
飯塚さんにコッソリ聞く?
理さんに教えを乞う?
もう皆さん!どうやって難問をクリアしたんですか!
明日・・・聞いてみよう。
そう決めたら少し気持ちが楽になった。歯を磨いて眠ることにします。
明日もいい日でありますように。
皆さん、おやすみなさい。
<<<<その頃
「特別・・・今までと違う。」
声に出てしまった。トアさんには特別だって思える人がいるのかな?休みが同じだし、出勤時間と方向が一緒だからずいぶん一緒にいるような気になっていたけれど。
朝の時間と休日の日、それ以外のトアさんを私は知らない。
決まった相手はいないって言ってたけど、決まってない相手はいるってこと?ええええ!それどういうことかな?それにトアさん目当てのお客さん絶対いるよね、いないわけないよね。
トアさん以外のスタッフさんを見たのは日曜日が初めてだったけど・・・私一回お店にいったほうがいいような気がしてきた。
なんで?ええ?なんでそんな気がするのかなって、なに考えているのよ!
不思議とトアさんの前では構えなくていいって思える。私が私のままで話してもいいって気がする。着る服やメイクだって自分が選んだものを身に着けることができる。
こんなふうに思われたい、あんなふうに思われたくない。そんな事考えることがなくって、気持ちはいつも穏やか。
トアさんといると楽しい、そして楽ちんで安心する。
臆病なくせにどこか自意識過剰な所があって、本音をなかなか言わない私。自分から声をかけるなんて一度もしたことがなかったのに、自然に呼びかけていた。
あの映画が面白かったせいもあって、録画して毎月番組をみるようになった。何故か遠い人っていう気がしなくって・・・そしてラーメン屋さんで偶然また逢えた。
住んでいる場所は目と鼻の先。
お休みも一緒。
出勤時間も向かう方向も一緒。
今までと全然違う・・・私自身も、気持ちも、重なる偶然も
え?え?えええええ~~~~!!
私はクッションを抱きかかえて床をゴロゴロ転がった。
何故?理由を聞かれても困る!もうそうするしかなかったからゴロゴロ転がり続けた。
もう寝よう。睡眠は大事だ。
今は何だかよくわからない状態になっているけど、きっと明日の朝「おはよう。」ってトアさんに言ったら気持ちが凪ぐはず。
トアさんの「おはようございます。」を聞いたらいつものように一日が始まるはず。
うん・・・そのはず。
うん・・・きっと。
おやすみなさい。
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