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november.7.2016 そして・・・1
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なんであんなグズグズしちゃったのかな、情けない。
家に戻って野菜の始末をしたらお腹がすいてきた。18:00・・・いつもより少し早いけどご飯にしよう。
自分の為に作る料理は簡単でいい。トアさんはまだペンネを食べているのだろうか。
いやだなあ、もう。
認めるってプレゼントのことだけだって思っていたのに、何だかなし崩し。今日の出来事が決定打だったー自覚していた以上に私は欲張りになっていて、その理由だって明確。
「ふう。」
ため息がでた。
気をとりなおして鍋を火にかける。ニンニクのみじん切りとスライス、オリーブオイルをフライパンに入れた。ローリエ一枚と鷹の爪を一本。悩んで種を抜かないことにした。きっとこの唐辛子は辛くないはず。
弱火でゆっくりオイルに香りを移す。シュワシュワいっているニンニクをぼ~と見ていたらお湯が沸いた。このパスタのときは塩を強めに入れる。自己流ペペロンチーノはソースにコンソメを使っていたけど、料理番組でやっていた通りに作ってみたら塩だけで十分美味しい出来上がりになることに目からウロコ。
ニンニクをじっくりいためる、塩をしっかり、じゃぶんと乳化。これだけで美味しくなるのだから料理って不思議。
パスタをお湯にいれる。スライスしたニンニクはいい感じにチップになったから取り出した。
ちゃんとタイマーをセットして買ってきたベビーリーフを洗う。
ニンニクが焦げないうちにゆで汁をじゅわ~と入れる。こんなじゃぶじゃぶにするの?というくらい入れるのがポイントなのよね。私のレシピじゃないけど。味をみると塩味はばっちり、唐辛子は勘が外れて思いのほか辛い!すぐにフライパンから取り出した。けっこうなピリピリになってしまったけどしょうがない。
麺はあと30秒。さらにオリーブオイルを加えて、トングを持つ。ピピピピのタイマー音と同時に火を止めて取っ手付きのザルに麺を移す。軽く水気をきってフライパンにドボン。ベイリーフをここで加える。適当に混ぜて皿に盛れば、野菜たっぷりのペペロンチーノになった。
ああ!ベーコン忘れちゃった!ま・・・いっか。
テレビをつけて出来上がったパスタをもぐもぐ。我ながら美味しい仕上がりだと褒めてみる。
テレビはニュースばかりでつまらなかった。時間的に仕方がない。
70gのパスタは10分くらいで空になった。一人で食べるとゆっくり時間をかけるのが難しくなる。ささっと作ってパクパク食べるのが定番。
面倒になる前に鍋と食器を洗うと、今日はもうすることがなくなってお休みも残りわずか。
お腹がいっぱいになると少し気持ちが上向いた。グズグズしても仕方がないことを考えてしまうのは、そうね・・・自分の気持ちを認めちゃったからなんだろうな。
オイリーなパスタを食べたせいかシュワっとしたものが飲みたくなった。チューハイでも買ってこようか。秋限定で色々なフレーバーがコンビニの冷蔵庫に並んでいるし。
コートを着て財布とスマホをポケットにいれて出発。
コンビニは雑誌をぐるっと見渡す(買わないけど)
ドリンクコーナーで350ccの缶を4つカゴにいれた。今日飲めなかったら明日飲めばいいし。アーモンドとカシューナッツのミックスナッツを一袋追加。
今日Qさまあったかな?しくじり先生だったら別の番組を探さなくちゃ。
昼間溶けてザクザクになったまま凍った道が歩きにくい。グシュ、ザクっと踏みしめているとポケットの中でスマホがブーブー鳴っている。誰だろう?
『トアさん』
え・・・。
指をスライド、簡単ね。こんな指一本でトアさんと繋がるなんて。
「もしもし、どうしました?」
「あ・・・いえ、大丈夫かなと思いまして。」
「え・・・と?大丈夫ですよ。」
「もしかして外でした?すいません取り込み中でしたね。」
ただのコンビニなのに。顔が見えないって便利な時もあるけど気詰まりな時だってある。今がそれで、あまり電話で話さない私たちはどこかぎこちない。
「コンビニに行って家に戻るところです。」
「そう・・でしたか。」
「トア・・・さん?」
「いえ・・・あ、あの・・・昼間。」
私はトアさんの言葉を遮るように言葉を重ねてしまった。
「昼間は!・・・お邪魔しちゃってごめんなさい。本当に偶然だったんです。いいお買い物できました?」
言いながら3人の姿が蘇ってきたー私の知らないトアさん。1/100よりもたくさんのトアさん。
「元気がなかったように見えて心配で・・・電話してしまいました。」
「大丈夫ですよ。明日はいつもどおりですか?」
「はい。」
「私もう家につくので、じゃあ、また明日!」
我ながらわざとらしい快活さが惨めに変わる前に電話を強引に終わらせた。また明日って言えたし大丈夫。明日の朝「おはよう。」を言い合って仕事に向かう1週間を始めれば大丈夫。
和梨、ピンクレモネードなんて飲んだことのない秋限定のチューハイを試して今日を終えよう。
ザク、ザク
グシャ、ザク
一歩を進めるたびにブーツの底が氷を潰していく。
なんだろうね、今日の私はちょっと・・・ヘンテコリンだ・・・ね。
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