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俺は寝不足のまま、学校へと行く。最近は牧野に会いたくて早めに登校をしていたが、今日は久々にギリギリの時間を狙って家を出た。
牧野に会ったら俺、どんな顔をすればいいんだ?
教室に着くと同時に予鈴が鳴る。
ジャスト! 俺流石!
なんて心の中で思ってみるも、ただそれだけ。
窓際の席に座っている牧野を見ずに自分の席に座ったものだから、牧野が今どんな顔をしているのかも分からない。
牧野……
「おい、日坂!」
「え?」
「お前、今日日直!」
突然前の奴が俺の名前を呼んだかと思ったら、どうやら俺の号令を生徒全員が待っている状況らしい。
そうか、俺は日直なのか。
ハッとなって急いで朝のホームルーム前の号令をかけた。
黒板には、前の日直だった奴が今日の日直の奴の名前を書き込んでいた。白い文字で日坂と、牧野の字。
え?
牧野?
俺、今日牧野と一緒?
俺は一人戸惑いながらもホームルームで先生が話していることを聞くふりをした。
俺のクラスでは日直の決め方が変わっていた。というか、担任が変わっているのだ。出席番号順で二人ずつ日直をする制度にすればいいのに、担任はあみだくじでペアを決めてしまったのだ。
少し前の俺だったら、今日がとてもハッピーだっただろう。
だが、今の俺にとってはこの担任の行為が迷惑極まりない。
ま、牧野とペアだということを忘れていたのだけれども。
ちなみに、最初の号令は出席番号の前の奴が行って、最後の号令は後ろの奴が行う。
だから、ハ行の俺がマ行の牧野よりも前だから俺が最初の号令をかけたのだ。
チラリと、ホントにチラリと牧野の方へと視線をやってみた。
牧野は先生の話を聞く素振りをしながら、机の下を見つめていた。きっと、本でも読んでいるのだろう。
今日の本は、なんだろうか。
いつの間にか、俺は牧野をずっと見ていた。
先生の話が一通り終わったらしい。牧野はだるそうに号令をかけた。生徒のみんなもその低くて若干掠れている声に従う。
一瞬、着席した後、牧野と目があった気がした。
多分、気のせい。
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