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仲直り
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あの後、直ぐに予鈴がなったので二人で急いで教室に戻った。
そして今、放課後に至る。
「日坂。」
俺はいつもの様に牧野の前の席に座っている。日誌を書いている姿をじっと見ていると、牧野が俺の名前を呼んだ。
「え? あ、何?」
ずっと下ばかり見ていたはずの牧野だが、俺の視線に気づいてしまったのだろうか。だとしたら、それはちょっと恥ずかしい。
「何、見てるの?」
くすりとあたふたしている俺にそう問いかける牧野。
「べ、別に。早く日誌書き終わんないかなーって見てただけだよ。」
「そう。」
「何がおかしいんだよ。」
「おかしくない。嬉しいだけだ。」
「な……」
幸せそうなその表情を見て、俺の中の感情も何かで満たされた。
「ほら、書いたぞ。」
「痛っ!」
あまりにも牧野が真面目に書くものだから、時間がかかってしまった。俺はいつの間にかウトウトしていたらしいし。牧野は、日誌で俺の頭を軽く叩いたあと黒板に目を移した。
「あとは黒板に次の当番を書いて日誌を職員室に届けたら、一緒に帰れるな。」
一緒に……か。
俺はこのことをすっかり忘れていた。
「どうした? まだ、一緒には帰りたくないか?」
「ち、違う。」
「じゃ、何だ?」
「牧野には、言わなきゃなんねーことがあんだよ。」
「言わなければならないこと?」
「そうだ。」
席を立とうとしていた牧野は、また椅子に座り直した。
「で、それはどんな内容だ?」
「えっと……」
俺は正直に話すことにした。だって、仲直りしたのに、俺がついた嘘のせいでまた喧嘩したら嫌だと思ったから。
「俺の家、正反対。」
「は?」
「だから、俺の家は牧野の家と正反対の場所にあるん……ですよ。」
何を言っているのか理解が出来ないとでも言いたげな顔をされている。
どうしよう。
「何故だ。何故そんな嘘ついた。」
やっぱり、聞かれた!!
どうしよう、どうしよう、どうしよう
牧野と少しでも長い時間一緒にいたかったから、嘘ついたとか言えねーよ!!
「日坂、黙ってないで教えてくれ。」
心配そうに俺を見ている牧野。
心配かけるのも……嫌だな……
俺は意を決して、口を開いた。
「牧野と、一緒に……帰りたかったから……」
恥ずかしかったが、牧野をチラリと見た。すると、牧野は驚いた顔をしていた。心なしか、頬も赤く見える。
「日坂、今日、俺の家に来い。」
「え?」
「いいから。」
「えっと……じゃ、行く。」
なんでだろう。牧野と話すと嬉しいし、楽しいのに、ドキドキして顔が熱くなる。
男友達の家に遊びに行くってだけで、なんでこうも心臓が破裂しそうになるのだろう。
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