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恋人…恋人…恋人っ?! 3
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「そ、そうか?」
照れくさくなりながらも、手は離さない。俺の手は確かに冷たいが、牧野の頬と手は驚く程温かい。俺たちの中に言葉は無くなった。牧野と目が合い、どことなく甘い空気が漂う。その雰囲気を感じて、ああそうか俺たちは恋人になったんだった等と呑気に思った。
二人だけの時間なんてあっという間に過ぎてしまう。直ぐにクラスメイトの奴らが賑やかに廊下を歩く音が聞こえて、俺たちは重ね合わせた手を直ぐに離した。
「おはよう! いつも朝早いなお前ら。」
にこやかに、教室のドアを開けて俺たちに挨拶を交わすクラスメイト。ニッと笑った時の八重歯が特徴的だ。コイツの名前は……忘れた。多分、適当に話したんだろうけど、記憶に残るほどでもなかったのだろう。牧野の方を見れば、無表情で彼を見ていた。話す気がないのだろう。俺はため息を一つ付いてそいつに挨拶を軽くした。
「おはよう。」
普通、挨拶をすればその場から去っていくのだろうが、そいつは違った。
「なあなあ、俺さ、牧野と話したことなかったんだよな! 声かけ辛くてさ。でも日坂が楽しそうに話してるの見て、俺も牧野と話してみたいなって!」
牧野は未だに無表情で、目だけがそいつの方向を見ていた。
「あ、わりぃ。気分を害しちゃった?」
気まずそうにそう言ったそいつは、そそくさと自分の席へと帰っていった。
その後、ぞろぞろとクラスメイト等が教室に入ってきたため、俺はそいつのことを特別気にも止めずに、牧野の方を見た。
俺と二人でいた時はあんなにも穏やかな顔をしていたのに、今は無表情に戻ってしまっている。それがなんだか少し悲しかった。
「なあ、牧野。」
「何だ。」
「さっきの態度はまずいって。せっかく友達になろうって思ってくれた子無視すんなよ。」
小声でそう言うと、牧野は眉をぴくりと動かせた。
「……いいんだ。」
「え?」
「俺の特別は、お前だから。」
顔が熱くなりながらも、周りに聞こえていないか焦って見渡す。どうやら、賑わっているせいでさっきの声はかき消されていたらしい。ほっと胸をなでおろす。
「牧野、お前。それは嬉しいけどさ、俺はお前にも友達は作って欲しいよ。」
俺の発言を疑問に感じたらしい牧野は、首をかしげていた。だが、そのあとすぐに牧野は縦に首を頷かせた。「日坂が、そういうんなら。」と。
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