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お泊り 7
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チュンチュン
雀が外で呑気に朝を告げる。ゆっくりと瞼を開けると、壁側を向いていたはずなのに牧野の顔がドアップで映る。
「!!」
驚きと、寝起きだったのとで声さえも出ない。更に驚いたのが、目の前のコイツが余裕の笑みで俺を見ていたことだ。
「おはよう、日坂。」
空いている右手で俺の頬にゆるりと触れる。
「お、おはよう……」
昨日の夜に引き続き、未だ甘い空気が醸し出されているのは何故だろうか。
「牧野さ」
「ん?」
「何か、学校と雰囲気が違うくね?」
違いすぎて恥ずかしいんだよ!
若干睨みつければ、考え込む表情をされた。
メガネのない牧野。前髪は下に垂れているせいで、整った顔立ちが露になっている。しかも、俺を見つめる目は甘い。甘すぎてとろけそうだ。
その顔、クラスの女子に見せてやれよ。ぜってー人気でっから。
一人でそう考えて、やっぱり見せないで欲しいとか思ってしまう。
「日坂、俺の顔に何かついているのか?」
ぐいっと顔を近づけた牧野がそう言った。
「ち、近い!」
「仕方がないだろう。俺は今、メガネがない。つまり、この距離じゃないとお前の顔が見えないのだから。」
淡々とそう言われれば、俺が意識しすぎだったのかと思ってしまう。
「そ、そうかよ。じゃ、さっさと眼鏡つけろよな!」
そう言って照れをごまかそうと、そっぽを向く。いや、向こうとしたが、牧野が右手で俺の顎を抑えていたから全く動かせなかった。
「なんだよ、この手は。」
「そんなに怒るな。」
くすりと笑って牧野は俺に口づけをした。
チュッと部屋に響くリップ音。固まる俺。
「おはようのキスだ。」
やんわりと微笑んで、牧野は俺から離れてベッドを降りた。
この野郎、キザなことしやがって……
二人っきりになると、纏っている雰囲気がコロッと変わる牧野に、俺は翻弄されるばかりだった。
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